2019.10.23 UP
豪華一点主義というよりも、細々としたものに愛着を持つことが多いという小林さん。伊勢丹地下1階に行くとそんな彼女の気持ちに応えてくれる素敵なものが見つかる。“自分が納得したものだけを大切な人に届ける”日々のささやかな買物にも、小林さんならではの揺るがない物差しがある。
「妊娠中の友達に何か贈り物をしたいな。」そう思った時に小林エリカさんが駆け込んだのは地下1階の「プラ ド エピスリー」。ここはコーヒー、紅茶そして調味料やジャムなど、世界の逸品に出合えるセレクトショップ。
小林さんが一瞬でときめいたのは、ベルギーの高級コーヒーブランド<ヴァスコベロ・コーヒー>のドリップパック。どこか“お手紙風”にしつらえられたラッピングがチャーミングだ。
<ヴァスコベロ・コーヒー>
「デカフェ(カフェインレスコーヒー)」
ドリップパック(2個入)日本製 540円
プラ ド エピスリー
「食べ物は味わいももちろん大事ですが、〝ジャケ買い〟することがほとんど(笑)。コーヒーやお茶はしばらくパッケージのまま置いておくことも多いので、そのものが放つ見た目のかわいさは大切にしたい。このデカフェは、体に負担が少なくて飲みやすいところが気に入っています。たくさん購入して友達に配っていますね」
仕事に集中するべく、必要なものを厳選。
机の天板には、作品制作時に飛ぶ、黒いインクの痕跡が。「汚れるのを気にするよりも、絵を描くことにひたすら集中したくて」と小林さん。
白を基調としたシンプルなデスク周り。ヘッドフォンをつけて海外ラジオ「STUDIO360」を聴き、最新のカルチャー情報を入手することも。
過去に制作したドローイングを収納。
パリのキュリー研究所のドローイングや作品に関連したノート。
絵付けに必要な道具も厳選。 “見せない収納”をしてスッキリと。
文房具をこよなく愛する小林さん。大好きで集めているレタリングテンプレートは、作品制作や手紙を書くときに使用。「手書きはデジタルと違い、やり直せないことがすごくいい。インクの滲みもいとおしいんです」
イラストレーター前田ひさえさんと家にあるものを持ち寄り、揃いになったという〈Noritake〉のポットとカップ。仕事の手を休めて、ひとときのコーヒーブレイクを楽しむ。
“自分が納得したものだけを大切な人へ届ける”小林さんならではの揺るがない物差しは、仕事のスタンスにおいてもそう。アンネ・フランクの生涯や放射能の科学史を辿りながら、歴史や目に見えないストーリーに思いを馳せ、長年探求しているテーマを丹念に紡ぐ。今年、本の出版や展示が待機している小林さんの活動が待ち遠しい。
写真:今津聡子
取材・文:矢島聖佳
作家・マンガ家 小林エリカさん
1978年東京都生まれ。 2019年8月28日(水) 〜11月11日(月)、国立新美術館にてグループ展『話 しているのは誰? 現代美術に潜む文学』に参加。 9月〜11月はロンドンでの展覧会に参加中。小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社)が発売された。
『光の子ども3』
小林エリカ著(リトル モア)
放射能の科学史を辿るコミックシリーズ。8月に待望の第3巻を発売。