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2020.6.9 UP

6月16日は和菓子の日、NEOな和菓子を召し上がれ。

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和菓子の日のスタートは848年(嘉祥元年)。当時、菓子は疫病を除ける健康祈願の象徴でした。16という数字はとびっきりの吉数で、6月16日には16種類の菓子を食べるという驚きの習わしがあったようです。2020年、世界は甚大な疫病に見舞われました。今年の和菓子の日、伊勢丹新宿店は和菓子との素敵一日をお届けするとともに、皆様の健康をお祈り申し上げます。

和でも洋でもないところから、新たな和菓子が生まれる

今回「和菓子の日」の企画を担当したのはアシスタントマーチャンダイザーの村田絵里。「伝統を重んじながら、新たな挑戦を和菓子屋さんは多くありますが、お客さまにとっては「昔ながらの和菓子」のイメージを持たれているようで、もったいないなと感じます。今年の和菓子の日は、菓子の原点を和菓子・洋菓子という分類ではないところにおいて、美味しい、素敵と思ったら和菓子だった!と思ってもらえるものをご紹介して、新たな和菓子ファンを増やしたい。題してNEO和菓子です」

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和菓子 アシスタントマーチャンダイザー 村田絵里

洋菓子、グローサリー、惣菜を担当し、昨年度和菓子担当に着任。和菓子に出会う喜びをお客さまにお伝えしていきたいです。

 

村田が、「これぞNEO和菓子」というのが群馬県前橋市に拠点を置く<なか又>。「今年8月に2周年を迎える新進気鋭の和菓子店で、親会社はデザイン会社ナニラニです。社員お一人が、名古屋の人気和菓子<一朶(いちだ)で修業されています。今も<一朶>の知恵や技術を借りながら、いわゆる和菓子のバックグラウンドにとらわれない発想で菓子づくりをされています。こちらのお話をぜひ紹介したいです」

6月10日〜16日、<なか又>が伊勢丹新宿店に初登場。新作の味もやってきます。

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ということで、今回はNEO和菓子の世界を現在形で開拓中の<なか又>創業者である村瀬隆明さん、事業マネージャーである榊原慎也さんにお話を伺いました。

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村瀬隆明さん(左)

親会社のデザイン会社ナニラニと和菓子店<なか又>、両社の代表を務める。屋号の<なか又>は、村瀬さんの父まで四代続いた家業、魚の練り物会社の屋号。和菓子という異業が本業にも良い影響を与えていると話す。

 

榊原慎也さん(右)

10年以上ウェブデザイナーとしてキャリアを築いた上で、転職ならぬ並行する職として和菓子屋の店長になった。村瀬さんとは同郷で、名古屋の人気和菓子店にて修業。一からの物作りに興味があり、社内の新規事業に共感した。

きっかけは前橋市のシャッター商店街

村瀬 「実は、初めから菓子店をやるつもりは全くなく、前橋には社員の誰一人、縁もゆかりもありませんでした(笑)。きっかけはデザイン会社のクライアントであるJINSの田中仁社長です。田中さんが前橋市出身で、彼の地域活動にデザインでお手伝いし始めたのがきっかけでした。そこにはかつての繁華街であった商店街が様々な事情でシャッター街になってしまった姿がありました。地域の活性化にデザインの力で貢献できるのではないかと思い始めた矢先、ご縁があり商店街の一角を購入することになったのです。何をするかは土地を買ってから考えました(笑)。今までの知見と経験を活かし役に立てると思いつつも、僕らも過去の習慣や既成概念にとらわれず、自身を変化させ、新しいデザイン会社へ進化しなければ未来はないと思っていた時期でした」

 

編集部 「偶然関わるようになった前橋市が、本業の仕事を見直すきっかけになったということですか?」

 

村瀬 「そうなんです。従来のデザイン会社の仕事は、基本的にクライアントありきの受託型です。前橋で何かを仕掛ける、つまりゼロから自分たちで事業を起こすこととその全ての経験が、仕事のやり方や価値観を変えるきっかけになると思いました。クリエイティビティとビジネスの両輪でブランドをつくりあげていく経験が、デザイン会社として成長でき、地域にも社会にも、もっと貢献できると考えたんです」

 

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<なか又>は、地方都市によくある、街の中心のアーケード街の一角にある。<なか又>を含む新店3店舗の出店もありシャッター街だった街には活気が戻ってきた。

 

編集部 「和菓子にはどうやって辿り着いたのですか」

 

村瀬 「前橋市に通ってみると、観光地に必ずある銘菓、土産菓子の圧倒的な強者がいない。それでお菓子がいいのではと思うようになりました。その時に思い浮かんだのが、中学高校時代の友人で、名古屋の人気和菓子店<一朶>の伊藤誠敏君でした」

 

名古屋市出身の村瀬さんは、同郷の伊藤さんに意見を求めた。自身も老舗の家系から飛び出して新しい和菓子ブランド<一朶>を立ち上げた伊藤さんの協力により、和菓子ブランドで地域を元気にしようという計画は、一気に現実味を帯びる。

 

村瀬「和菓子事業をスタートさせるにあたって、真っ先に手を上げてくれたのが、やはり同郷で中学高校の後輩の榊原でした。彼は5,6年前からすでに名古屋でリモートワークもしていたし、彼しかいないと」

 

編集部「場所事情優先ですか!榊原さんは、和菓子好きだったとか、やってみてもいいかなというのはあったんですか?」

 

榊原 「特別に和菓子が好きという事ではなかったですね(笑)。どっちかといえば音楽や美術が好きなデザイナーでして。でも、デザインという仕事の領域が広がっていると思っていたので、他分野に入るのは面白そうだと思いました。実際に現場に入って思ったのは、デザインの仕事も和菓子作りも、モノ作りには共通項があるということです。菓子職人はデザイナー的な仕事。プロデューサーである経営者がいて、その考えの元、意図にあった形を作り出すという流れです」

 

編集部 「<なか又>らしい和菓子というのは、どういう考えで生み出されるのでしょうか」

 

村瀬 「僕らは、自分たちを和菓子屋ですって名乗るのには抵抗がある。いわゆる伝統和菓子には季節感、所作、行事など、背負っているものが多い。そういった世界は老舗だから果たせるもので、僕らがそこに入るのはちょっと違うかなと。では、どうありたいかといえば、食べて“和む”存在でありたい。これまで東京でずっと仕事をしてきて、今回のご縁で前橋や名古屋という地方都市に行くと、ああ、疲れていたなと気づかされました。地方都市特有の、適度に田舎な感じが人間らしさに気づかせてくれた。都会で気をはっている時間から解放されて和む、そういうお菓子を作りたいというのは実感から生まれた思いです。自由な発想で作るというのもその一つ。当初の目的であった前橋の土産菓子としての役割も意識しています。全ての菓子に、何かしら前橋らしさを忍ばせました」

 

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<なか又>ぷるしずく 486円  限定350個

前橋市の木である「けやき」のしずくをモチーフとしたわらび餅は、本わらび粉ならではのプルプルとした食感が人気。フレーバーは抹茶、アールグレイ。今回は新フレーバーとしてジャスミンが登場する。

 

どら焼きは、プラットフォームだと思います。

村瀬 「以前、フランス料理のシェフとコラボレーションした時にはフォアグラを挟みました。<なか又>ではどら焼きを「わぬき」と名付けているのですが、これは前橋の旧藩主だった松平氏の馬印「輪貫(わぬき)」に因んだもので、シンプルな輪が市章にもなっている。これはまさに、どら焼きの形だ!と。この「わぬき」のシリーズに、「ふわふわ わぬき」というバーションがあるのですが、生地にたっぷりとメレンゲを含んだ新食感でとても人気があります。生地作りには時間がかかりましたが、シンプルな菓子ほど、やり尽くされたようで制約は少ない。まだまだ可能性があると思います」

 

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<なか又>ふわふわ わぬき 抹茶黒豆 346円 限定250個

 

生地の試作を重ねて誕生した自信作。新食感のしっとりふわふわが至福の時間を運ぶ。味の種類はつぶあん、ミルククリーム、レアチーズ、抹茶黒豆、チョコレート、写真の抹茶黒豆。

 

計画的に生まれたわけではなく、縁と偶然が繋がる中で生まれた<なか又>の和菓子。<なか又>が生まれた経緯のように、和菓子を通じて、贈る人と贈られる人が繋がったり、古いものと新しいものが繋がったり、意外な繋がりを自由に紡ぐことがこの<なか又>の真骨頂なのかもしれません。

 

<なか又> 6月10日(水)~16日(火) フードステージ 期間限定出店

 

 

こんなNEO和菓子も登場します

和菓子の日に向けて、他にもこれまでとは見た目も味わいも一味違う和菓子が登場します。老舗ブランドの新たな挑戦にもご注目ください。

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<両口屋是清>虹の架け橋 半棹 2,160円

発売期間 6月16日〜通年

 

2019年8月から伊勢丹新宿店で限定発売している錦玉羹の竿半棹菓子。雲間から現れる虹の表情が、断面を切り進めるごとに変化する。「青空の部分はサイダー味ですか?」という顧客の声から、今回、本当にレモンサイダー味に。サイズもハーフサイズで食べやすくリニューアルした。

 

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<鶴屋吉信>100周年京観世(ほうじ茶) 1個 281円

発売期間 〜6月30日(ほうじ茶)

 

<鶴屋吉信>の代表菓で今年100周年を迎えた京観世。その歴史と完成度ゆえ、変化を加えることはありえなかったが、100周年という特別な節目に今年限定で3ヶ月ごとに新しい味が登場する。1〜3月が柚子、4〜6月がほうじ茶、7〜9月がオレンジ、10〜12月がコーヒー味の予定。

 

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<円果天>円果天ブーケ 7個入 2,592円

発売期間 通年

 

バラをイメージした可憐な形の月餅。味わいはベリー、オレンジ、グリーンアップルのセット。それぞれのフルーツをゼリーのようにジューシーに仕立て、新たな食感と味わいを目指した。これまでの月餅のイメージとは一味違うシリーズ。

 

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<俵屋吉富>京団扇 2個入 972円

発売期間 6月16日

 

和菓子の日だけに発売されるスペシャルな生菓子。同社自慢の小豆を生かし、夏の風物詩である団扇をモチーフにした見た目も涼やかで楽しい和菓子。

▼クレジット

Text:ISETAN FOOD INDEX編集部

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