<京料理 美濃吉>が伊勢丹新宿店に登場!  

2021.3.22 UP

創業享保元年(1716)。創業者、佐竹十郎兵が京都で始めた腰掛茶屋は、今や京の雅な味を全国に届ける美濃吉として知られています。この度、新たに伊勢丹新宿店にオープンした<京料理 美濃吉>では、この店だけの試みあり。美濃吉のこれまでと新店での挑戦についてお伝えします。

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美濃吉らしさとは、京都らしい料理の縮図であること。

美濃の名が示すように、創業者の佐竹十郎兵の出身地は、現在の岐阜県大垣市辺りでした。美濃吉の歴史は、創業者が京都で腰掛茶屋を開いたところからスタートします。当時供していたのは、豆腐田楽や酒などの茶屋メニュー。明治時代になると、生洲料理店に。メインは川魚料理でした。川魚料理は、海から離れた京の都で、非常に大切にされてきた料理の一つです。※明治時代に入ってから美濃屋吉兵衛を名のりました。

 

その名残が感じられる一品が、うなぎ寿司。今も美濃吉名物です。

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うなぎ姿寿司(10貫)4,104円

予約販売のみ。4日前までにご注文ください。

背開きにした鰻を一度白焼きにしてから煮込む。京都は鯖の棒ずしが有名だが、美濃吉といえば鰻の棒ずし。

美濃吉のおせちにも、必ず川魚料理が入ります。鰻、諸子、鯉、すっぽん、鮎料理。店頭で川魚料理を見つけたら、それは美濃吉の歴史を語る一部だと思ってください。

 

美濃吉の料理のベースには、他にも京都らしい食材があります。代表格が大豆を加工した豆腐や湯葉、生麩も然り。いずれも寺院の多い京都ならではの食材。これらを季節の京野菜と合わせます。

美濃吉といえば、こんなエピソードも。1970年代中期から1980年にかけて社会現象と言われたアンノン族(マガジンハウス社の雑誌anan、non noを手に、雑誌に掲載された場所を旅する若い女性達)に京弁当ブームを起こしたと言われるのが、同社の「粟田御膳」でした。

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粟田御膳 ※現在販売しておりません。

先付け、お造り、天ぷら、煮物、口取り、ご飯。京懐石がコンパクトに味わえると大人気になった「粟田御膳」。

身近で手軽なお弁当でも、できうる限り京都料理らしさに手を抜かない。「粟田御膳」はまさに、京都らしい料理の縮図が食べ手の心を満たしたのでしょう。

食卓での京料理の楽しみを伝えたい。

新たな<京料理 美濃吉>でも、京都らしさは変わりなく。ただし、今の食生活に京料理をどう提案するかに工夫を凝らしました。

 

ともすると形式優先で、食事の楽しさや自由さを失いかねない面もある懐石料理。京都にはもう一つ対極的な日常食、おばんさいという食文化があります。新店の目指すところは、この懐石とおばんさいの間のちょうどよいところ。形式張ってもいないけれど、カジュアルすぎない。適度なちゃんと感のある京料理。食卓にのせると品があり、良い気分で食せる和食が目指すところです。

 

そのために、器も新調しました。環境に配慮した土に戻る紙素材で、家で移し替える必要のない、そのまま食卓に出せる器。食べる人の利便性と美意識、社会的な配慮を満たすことを考えました。

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器を一新し、これまでよりサイズを小さく。食べきれるサイズと分量の新店メニュー。そして硬すぎずカジュアルすぎない和食を意識。

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九条ネギの出汁巻き(1個)432円

通年展開している美濃吉の代表的な一品。毎日店内厨房で作られている。

ショーケースの惣菜は、全て店内厨房で美濃吉の料理人により毎日手作りされています。一店舗一料理人は、同社全ての店舗で徹底されているルール。また、2018年には同社独自の暦を導入。和食に求められる季節感を会社全体で共有するためです。一見してわからない部分での頑なさが、美濃吉が長く支持される地盤を作ってきたのかもしれません。

 

暦といえば、二十四節気が一般的には知られていますが、美濃吉の暦は十五暦。季節ごとの旬の食材に、五節句(人日、上巳、端午、七夕、重陽)と春分・夏至・秋分・冬至を考慮し、一年を十五のシーズンで料理を変化させていきます。同じ食材であってもシーズンが変わり、食材が走り・旬・名残へと変わることで、調理方法もまた変えます。因みに3月上旬から中旬にかけての重点食材は、京都たけのこ、天然鯛、京都菜の花。そんなことにも注目すると、食べる楽しみが増えそうです。

美濃吉の前を通りかかったら、少しショーケースを眺めてみてください。きめ細かな季節の移り変わりを、ジワジワと感じていただければと思います。

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(左)京たけのこの木の芽和え 896円と(右)京菜の花の辛子和え 594円

一新した器は伊勢丹新宿店だけでの試み。

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左:舞妓(1折)1,620円 右:円山(1折)1,188円

伊勢丹新宿店限定の春の新作。お子様や女性が無理なく食べきれる「コベントウ」。サイズは小さくても中身は大充実。

▼クレジット

Text:ISETAN FOOD INDEX編集部

Photo:Yu Nakaniwa 

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