2021.9.13 UP
〈タケノとおはぎ〉は2016年にオープン。瞬く間に人気店となったおはぎ専門店です。店名の“タケノ”は、店主小川寛貴さんのお祖母様の名前。その誕生までを伺いました。
「昔はおばあちゃんが年中みんなにおはぎをふるまっていました。それもひいばあちゃんのレシピで、その時代は砂糖が貴重だったから砂糖をあまり使わない、豆っぽいおはぎでした。子供の頃、僕はあんこが苦手だったのですが、祖母の甘くないおはぎは美味しかったんです。その祖母が体調を崩して、もう作れないかもしれないとなった時、家族に祖母のおはぎを作れる者が誰もいなかった。このままでは祖母のおはぎが食べられなくなるのは嫌だと、母と僕とで一緒に教えてもらったのがお店を作るきっかけでした」
当時、洋風デリのお店を経営されていた小川さんは、たまたま空いた隣の店舗で、おはぎ専門店を開いてみようと考えます。和菓子の要である「餡」の小豆の炊き方はお店それぞれにこだわりがありますが、それまで和菓子業界とは無縁だった小川さんは、全てお祖母さま仕込み。それも明確なレシピがあったわけではないその味を再現するのに試行錯誤しました。
「祖母は感覚的におはぎを作っていたので、小豆の煮出しから炊き上げまで、砂糖をここで入れて、最後はちょっと塩をいれて、のようなところを都度都度、僕が計量して再現して、祖母に食べてもらう。その繰り返しでした。おばあちゃんにはああだこうだ言われながらでしたが(笑)」
毎日7種類のおはぎを作っている〈タケノとおはぎ〉ですが、粒あんとこしあんだけは必ず変えずにラインナップされています。そこにはお祖母さまから繋がった大切なおはぎを作り続け、伝え続けたいという小川さんの思いがあります。
「お店を出すときは、正直不安も大きかったのですが、2年は続けてみようと始めました。僕は和菓子畑出身ではないので、最初はもっと甘くした方がいいとたくさんの人から言われました。でも、祖母のレシピを変えることは考えられなかったです。祖母は絶対に喜んでくれるに違いないという思いで続けて4年くらい経った頃、この味を支持して下さるお客様が増えてきたのを実感できました。あんこって、皆それぞれに好きなあんこがあると思うのです。だから一番を目指すものではないなと。僕の場合、この、粒あんとこしあんのおはぎを作り続けるために、他の変わり種を作っている感じです」
お祖母さまのレシピを守るために、小川さんが考えたのが和菓子の季節感を生かした変わり種のおはぎと一緒に販売する方法でした。元々やってきた洋総菜につながるところもあり、欧米の鮮やかな単色の総菜が並ぶ風景を参考にして生まれたのが変わり種のおはぎ。「わっぱ」を開けると、ころりと並ぶ小ぶりでカラフルなおはぎに目を惹かれます。ココナッツに人参、ビーツやアールグレイ、果ては「ねまがりたけ」と、これまでの和菓子屋では見かけなかったような食材を使ったおはぎも、小川さんの経歴を知ればある意味納得です。その形はどんどん進化して、洋菓子のクリーム絞り技術を使って花のように仕上げるなど、おはぎとしては実に独創的な印象です。
「小さな店なので、やれることは全部やりたい。欲を言えば、365日違うおはぎを出したいくらいです。今は一週間に2回、季節のおはぎを出しています。毎日いろいろと新メニューの素材を探していると、スタッフの皆が目にとまったものを教えてくれたり、お子様との会話、旅行のこと、色々なヒントをくれます。そこから僕が形にしていきます」
店舗のある桜新町には八重桜が通りにたくさんあり、生まれたのが八重桜のおはぎ。八重桜が咲き始めたらはじめて、散ったらやめる。メニューを作らないからできる、季節を大切にした一期一会のおはぎ体験なのです。
今の小川さんの活躍を、お祖母様のタケノさんは、さぞ喜ばれているに違いありません。そしてこのお店から、タケノさんの味は家族を超えて、ファンやスタッフの人たちにも伝わり、記憶されていくのでしょう。
〈タケノとおはぎ〉日替わり7種おはぎ(7個入)1,881円 限定数:各日30点
つぶあん・こしあん・麻の実ときな粉・カボチャと焼きリンゴ・抹茶とスパイスカカオ・ココナッツとレモンピール・コスモス(オレンジと黒すぐりの伊勢丹新宿店限定おはぎ)の7種
三越伊勢丹オンラインストアにてご注文を9月15日(水)午前10時よりご注文を承ります。
(上記、商品情報ページへのリンクは9月12日(日)より遷移できます)
受注期間:9月15日(水)10:00〜 9月20日(月)10:00まで
お渡し日時:9月24日(金)・ 9月25日(土)各日15:00~18:00
お渡し場所:伊勢丹新宿店 本館地下1階「甘の味」特設カウンター
*7種の内1種は伊勢丹新宿店限定味入りです。
*商品は季節に応じて作られますので写真はイメージです。掲載写真とは中身が変わる旨ご了承ください。
この時期伊勢丹新宿店に並ぶ、すべてのおはぎのご紹介です。
〈仙太郎〉
〈仙太郎〉そばおはぎ(1個)216円
販売期間:9月15日(水)〜28日(火)
煎った蕎麦の実を混ぜ込んだ八分づきのもち米で、こだわりの粒あんを包みました。蕎麦の実の香ばしさと隠し味の青じそがあんこの甘みを引き立てます。伊勢丹新宿店限定です。
〈仙太郎〉おはぎ〈きなこ・粒〉(各1個)195円
販売期間:通年
〈とらや〉
〈とらや〉(手前から時計回り)おはぎ 小倉餡、白餡、黒糖餡(各1個)324円
販売期間:9月20日(月)~26日(日)
粳(うるち)米と糯(もち)米を合わせて炊き、軽くつぶしているので、ほどよい米の食感も味わえます。小豆の風味がしっかりと感じられる小倉餡、希少な白小豆でおつくりした白餡、コクのある味わいの黒糖餡をご用意しました。
〈鈴懸〉
〈鈴懸〉(左から)おはぎ、黒豆黄粉のおはぎ(各1個)238円
栗おはぎ(1個)324円
販売期間:栗おはぎのみ10月4日(月)まで
おはぎの小豆は十勝産の粒餡で、挽き割り羽二重糯(もち)の滑らかさとのコントラストが抜群。黒豆黄粉のおはぎは、たっぷり上掛けされた黒豆黄粉の風味に奥行きがあり、栗おはぎは粒あんのおはぎに大粒の栗をのせた秋ならではの味わいです。
〈叶匠寿庵〉
〈叶 匠寿庵〉おはぎ(2個) 486円
販売期間:9月20日(月)~23日(木)
粒感を残して炊き上げた大納言小豆の粒餡でボリューム感のあるおはぎ。中のお米は柔らかいお餅タイプで、比較的あっさりとした味わい。
〈鶴屋𠮷信〉
〈鶴屋𠮷信〉おはぎ〈こしあん・粒あん〉(各1個)292円
販売期間:9月22日(水)〜23日(木)
きめ細やかな餡が口当たりよく上品な味わいの「こし」、小豆の粒感と自然な甘みを感じられる「粒」の2種類。特にこだわっているのは、もち米と餡の相性。もち米に、口どけのよい道明寺を使用し、餡ともち米が口のなかで織りなすハーモニーはやみつきになりそう。
〈笹屋伊織〉
〈笹屋伊織〉おはぎ〈きな粉・こし・つぶ〉(各1個)292円
販売期間:9月22日(水)〜24日(金)
職人が丹精込めて作った「きな粉(粒あん)」「こし」「つぶ」の3種類のおはぎ。濃口きな粉の風味豊かな味わいが広がる「きな粉」は、中でもイチオシの品。きめ細やかなきな粉にふっくら炊き上げられた近江米が絡み、絶妙な食感です。
〈中松屋〉
〈中松屋〉栗おはぎ(2個入)501円
販売期間:9月23日(木)~25日(金)
栗菓子の名店のおはぎ。自慢のしっとりした栗餡が、病みつきになる美味しさ。餡の中は、こしのあるもち米を半殺しにしています。
〈たねや〉
〈たねや〉おはぎ(2個入)476円 /(4個入)951円
販売期間:9月20日(月)〜26日(日)
北海道産小豆の瑞々しい粒餡と、芳ばしいきな粉をかけていただく二種類。近江羽二重糯に十穀をあわせ、ふくよかに仕上げた一品を米どころ近江からお届けいたします。
〈七里香〉
〈七里香〉きなことおはぎ(各1個計2個入)432円
販売期間:9月22日(水)~28日(火)
山形県産こゆきもちを100%使用しており、銅窯で炊いた自家製餡の小豆の風味がしっかりと感じられるおはぎ。きなこは焦がしきな粉を使っており、香ばしい香りが引き立ちます。
※数量には限りがございますので、予めご了承ください。
Text: Yukako Yasuda