ローカル気分満載の香港風土鍋ごはん～ツレヅレハナコ、今日の買物カゴ～

冬の香港で楽しみにしているのが、「ボウチャイファン」。秋口くらいから出始める、期間限定の香港風炊き込み土鍋ごはんです。

時季の夕方になると粥屋などの店頭に細長いコンロが置かれ、専用の小さな片手土鍋がズラリと並べられます。なんと屋外炊き！　でもその様は壮観で、寒い中で順番を待ちながらもワクワクしてしまいます。

おもしろいのは、日本と違って米の上に具をのせて炊き上げること。しかも、最初は米だけを炊き、半煮えの状態で具を加えます。干し肉や腸詰、スペアリブなど具はさまざまで、甘辛い濃いめのタレがからんだボリュームたっぷりの具はそれだけでもつまみになりそうなおいしさ。

とはいえ、この料理の醍醐味は、なんといっても炊き立てのごはんとよく混ぜながら食べること。おこげもできているので、それもよくこそげとって……。食べ終わるころには身体もポカポカ！

今回の具は、ズバリ甘辛い牛肉。初めて現地で食べた時は、「これは……、香港の牛丼だ！」と感激したものです。米の上でやわらかく蒸しあがった牛肉を（余熱で火が入る）卵黄、ごはんと混ぜながらかき込んだ思い出が忘れられず、日本でもアレンジして作るようになりました。

お供は、帆立とチンゲン菜のスープ。帆立缶を使えば、簡単に旨みたっぷりのだしが味わえますよ。

青森県によるサッパリとした味わいのブランド米。

サシと赤身のバランスが良く、旨みもしっかり。

乾物よりも肉厚で歯ごたえの良い生きくらげ。

生食でもおいしい、自然な環境で育った鶏の卵。

上質な貝柱を厳選した水煮缶。漬け汁ごと使用したい。

葉がやわらかく使いやすいミニサイズのチンゲン菜。

※生鮮品は天候などの諸事情により入荷がない場合、また収穫状況により、産地、価格、販売期間が変更になる場合がございます。

材料 （2人分）

帆立缶詰（90g）1缶

チンゲン菜　1株

〔A〕

・しょうが（薄切り）2枚

・酒　大さじ1　

・しょうゆ　小さじ1

・塩　小さじ½

片栗粉　小さじ1

【作り方】

❶チンゲン菜は2㎝幅に切る。鍋に水2 ½カップを入れて沸かし、帆立缶詰、チンゲン菜、A を入れて2～3 分煮る。

❷片栗粉を同量の水で溶き、火を止めて加え、とろみをつける。

材料（2人分）

牛薄切り肉　150g

生きくらげ（細切り）　30g

長ねぎ（斜め薄切り）　4㎝分

〔A〕

・しょうゆ　大さじ2

・紹興酒、オイスターソース　各大さじ1

・豆鼓（刻む）　大さじ½

・片栗粉、ごま油　各小さじ1

・砂糖、おろしにんにく　各小さじ½

米　1合

サラダ油　小さじ½

卵黄　1個分

【作り方】

❶牛肉は食べやすく切り、ボールに入れて〔A〕をもみ込み、生きくらげ、長ねぎを混ぜる。米は洗って水けを切り、小さめの土鍋に入れてサラダ油、米と同量の水を入れる。

❷土鍋にふたをして中火にかけ、沸騰したら弱火にして3分炊き、米の上に牛肉などの具を置いて中心をへこませる。さらに4分炊いて火を止め、2～3分蒸らしたら卵黄をのせ、よく混ぜる。

写真：福田喜一　

スタイリスト：野村奈央　

文：ツレヅレハナコ