ローストポーク、完全マニュアル。料理家、樋口直哉さんが教える三大「ロースト料理」完結編

2021.11.29 UP

「三大肉を焼く」シリーズの完結編です。これまでに、樋口直哉さんの当連載で「ローストビーフ」「ローストチキン」をご紹介しました。今回は「ローストポーク」。三つを制覇したら、肉料理に自信がつきますよ!

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一昨年、こちらのサイトでローストビーフの作り方をご紹介し、昨年はローストチキンを取り上げました。今年、解説するのはローストポークです。

 

ローストポークは最も手頃なロースト料理かもしれません。ローストビーフはできたてが一番おいしいのですが、ローストポークは冷めてもおいしいのが長所。豚肉は牛肉と比べると脂肪の融点が低いので、口に入れるとちゃんと溶けてくれるのです。特に最近の豚肉は飼育方法や餌が工夫され、おいしくなりました。肉の種類は違えども、基本は同じ。大事なことは肉に的確に火を通し、ジューシーな状態に持っていくことです。

まずは肉を選ぶ

さて、訪れたのは伊勢丹新宿店の地下食品売り場。

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I’S MEAT SELECTIONさんで選んだのは、肩ロースのブロックです。肩ロースは脂が入った部位で、ジューシーさが特徴。脂身が嫌い、という方はモモ肉やロース肉を使ってください。

 

肩ロースやモモ肉のブロックにはネットがかけられ、円筒形に整えられています。肉に薄い部分と厚い部分があると火を通すのが難しいのですが、これなら失敗がありません。やはり、肉はプロ(精肉店)に用意してもらうのが一番。

 

肩ロースやモモ肉は安価ですが、食べてみると味が濃い部位です。特に肩ロースは筋肉とそれを動かす結合組織が豊富で、焼いても煮てもいい万能な部位肉です。

 

豚肉をジューシーに焼く秘訣

(材料) 4人前

ローストポーク 
豚肉(肩ロースやもも肉など) 500g前後
塩     5g(肉の重量の1%)
玉ねぎ  小1個

 

付け合せ

サラダ菜 1/2玉
にんじんやブロッコリーの塩ゆで 適宜

 

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ローストビーフが上手に作れれば、ローストポークも簡単です。まず、肉に塩をすり込むようにして、下味をつけます。ローストビーフと違い、豚肉は比較的、しっかりと火を通した方がおいしいので、このあたりの原理はローストチキンと同じ。

 

ただ、ローストチキンとは違い、肉に塩をすり込んだらすぐに焼いていきます。塩が肉に浸透するとジューシーにはなりますが、ハムのような食感になってしまうからです。様々な焼き方がありますが、今日はオーブンで焼いていきましょう。

 

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時々、皿にくっついてしまうことがあるので、1cmの輪切りにした玉ねぎを皿に敷き、その上に肉を置きました。玉ねぎの香りもつくので一石二鳥です。

 

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110℃のオーブンで90分焼きます。ポイントは125℃以下のオーブンで焼くこと。125℃以下のオーブンで焼くと、肉の表面が蒸発する水分による気化熱で冷やされるので、結果的に70℃前後の状態で加熱されます。豚肉は中心温度65℃〜70℃のあいだくらいまで加熱したいので、このアプローチがちょうどいいのです。

 

穏やかな加熱なので、加熱し過ぎのリスクも低くなりますし、オーブンに入れておけばあとはほっておくだけ。このあいだに他の料理も準備できますし、別のことをしてもいいのがメリット。

 

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そのあいだに付け合せの野菜を準備しました。にんじんとズッキーニは4〜5cm長さに切り、1%の塩水でやわらかくなるまで茹でました。ブロッコリーも小房に分け、同様に茹でています。サラダ菜は適当な大きさに切りましょう。

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さて、90分経ちました。肉に焦げ目がついていないため、心配になりますが、温度計で中心温度を調べたところ66〜67℃といったところ。

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アルミホイルをかぶせて、5分ほど休ませます。

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焦げ目がついていないので、少量のオリーブオイルをしき、熱くしたフライパンで表面に焦げ目をつけます。肉にはもう火が通っているので、表面を焼くだけで大丈夫です。

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肉を焼いたフライパンで、玉ねぎを炒めます。玉ねぎは豚の肉汁を含んでいるので、ソースに利用します。酒50mlとしょう油大さじ1、はちみつ大さじ1を加えて沸かしました。

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出来上がり。切ってお皿に盛ります。

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ローストビーフと比べるとローストポークはカジュアルな料理です。ローストポークが余ったら冷蔵庫で保存し、翌日はサラダに入れるといいでしょう。

今回は塩で下味をつけましたが、しょう油50ml、砂糖50ml、オイスターソース10mlを混ぜたものに漬け込めばチャーシューになります。おいしさのポイントは各国共通。料理の基本原理を知れば、ジャンルを問わずあらゆる料理に応用が効きます。

 

 

Text & photo Naoya Higuchi

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