シリーズ　寅年、虎の菓子　その３「老舗の“虎の子”銘菓」

「桂新堂の歴史を物語る海老菓子です。小さな渦巻きの中には、創業当時から守り続ける製法と現代の技が詰まっています。その製法は複雑で、一次焼成、海苔の巻きこみ、冷却、裁断、乾燥後に水分が均一になじむまで熟成して仕上げの二次焼成をしてようやく完成となります。手間と時間を惜しまぬ、桂新堂の矜持です。」

「こだわりの富山県産の新大正もち米を使った赤坂柿山の代表商品です。

もち米の姿をそっくりそのまま生かした薄焼きおかきは、つぶつぶとした食感と旨味、風味を存分に味わっていただけます。慶長の名前は江戸時代初期の天下泰平の縁起物『慶長小判』からその名を頂戴しています。創業当時から形や味を時代に合わせて変化・進化し続けながら、作り続けているロングセラー商品です。」

「『丸ごと一粒の栗が入っていて贅沢！』ということで、発売当初からたちまち人気になったもなかです。いまだに根強いファンの方も多く、国産もち米を使ったさっくり香ばしいもなか皮・風味のよい丸ごとの完熟栗・自社工場で丁寧に炊き上げたあんが美味しさをひきたてあいます。

北海道産小豆を使った小倉あんは、ふっくら粒の残った濃厚でコクのある味わい。

北海道産大手亡豆の白あんは、くせのないさっぱりとした味わいに仕上げています。」

「創業間もない明治30年頃、外国人からもらったお菓子をもとに初代が試行錯誤の末、鳩サブレーを完成させました。鶴岡八幡宮を崇敬していた初代は、八幡さまに因んだお菓子を作りたいと思っており、本殿の掲額の”八”の字が鳩の抱き合わせであることや、境内にいる鳩が子供達に親しまれていることから『鳩サブレー』と名付けられました。原材料の配合『ワリ』は販売当時から全く変えずに、今も作られています。」

「『塩おかき』は歴史に裏打ちされた熟練の技と確かな味を今に伝えています。

魚沼産のこがねもち米を100%使用し、そのもち米を蒸してお餅から製造しています。機械乾燥ではなく、天気の良い日に丁寧にひとつひとつ手作業で天日干しをし、人の手が入ることで不思議と機械では出せない美味しさになります。240度の高温の米油と胡麻油でカリッと揚げ、サッと塩を振るう昔ながらの製法で今も作られています。」

「中国でも古くから親しまれてきた月餅をより多くのお客様にもっと美味しく召し上がって頂きたいと思い、小さく、愛らしい『円果天』の月餅が2007年に誕生しました。

純度の高い白双糖を使い職人が直火窯で丹念に煉り上げた餡は、キレのある上品な甘みに仕上げております。極薄の生地で包み込み、１つ１つ丁寧に型抜きし、しっとりと焼き上げました。北海道産の小豆、国産のくるみとピーナッツ、手作りの冬瓜蜜漬け等、素材のこだわりを存分にお楽しみ頂けます。」

「『旅まくら』は、北海道産小豆を使用したこし餡を、薄い玉子皮で包んだ茶通です。昭和25年、愛知国体にご出席された昭和天皇皇后両陛下への献上菓子として誕生し、旅枕型の花入れから『旅まくら』と命名されました。なめらかな餡と胡麻が絶妙なハーモニーの『旅まくら』は、長年たくさんのお客様から支持され、両口屋是清を代表する菓子となりました。ひとつふたつ…と食べたくなる、どこか懐かしさを感じる焼菓子です。」

Text : Yukako Yasuda