2022.1.17 UP
職人の手仕事が生み出す繊細な味わいと、アートのような装いを五感で味わう。
工場の中に入った瞬間、チョコレートの甘〜い香りに包まれる。お菓子大好きな子どもたちでなくても、思わず心が躍る憧れのチョコレート工場だ。2003年に立ち上がった〈ベル アメール〉は、「四季に寄り添うショコラ」をコンセプトに、老若男女多くの人々に愛されるショコラを目指し、パレショコラ、ボンボンショコラ、焼菓子から生菓子までショコラを使ったあらゆるスイーツを届けるショコラ専門店。そんな〈ベル アメール〉のショコラの骨格を担うのがオリジナルのクーベルチュールチョコレート。
「繊細な日本人の口に合うように、口どけ、アフターの余韻を追い求め、中南米のフレーバービーンズを配合した理想のブレンドです。私は、いかようにもアレンジが楽しめるカカオの持つ素材の素晴らしさに惚れ込んでいるんです」と、エグゼクティブシェフの小杉和之さん。そこには、日本でも爆発的に増えているビーントゥーバーとは一線を画す、ショコラティエとしての矜持が窺える。そしてショコラのおいしさを最大限に引き出し、美しく四季の彩りを添えるのが旬の果実や自家製のセミドライフルーツ。素材選びはもちろん、果実の香り、酸味と糖度のバランス、そして食感を追求して、徹底した温度と湿度管理によりショコラに合う最適なドライフルーツが生み出される。ガナッシュやキャラメルなど多彩な味わいを演出する、同社のもう一つの柱だ。
美しいたたずまいは丹念な手作業の賜物。
〈ベル アメール〉が表現する四季とは、香りや味わいだけにとどまらない。その商品のどれもがアート作品のように繊細で美しく、ワクワクするような遊び心がちりばめられている。中でもブランドの顔である「パレショコラ」は、直径約6㎝、厚さ約6㎜という小さな丸いチョコレートをキャンバスに見立て、さまざまな表情で多くのファンの心を掴む。
これまで発表されたパレショコラの見本。
「ショコラでここまで季節感を表現できるブランドは、なかなかありません。年間を通して食べたくなる商品を次々に展開できるのは〈ベルアメール〉ならではですね」と、洋菓子バイヤーの井上孝も絶大な信頼を寄せる。
2021年の新作「ショコラアップルパイ」の製造風景。
キャンディのようにポップなボンボンショコラは2022 年のバレンタインに向けて。
果実感のあるオレンジのコンフィとホワイトチョコの「オレンジブラン」、プラリネピスタチオ入りのビターチョコ「センタープラリネ ピスタチオ」、チョコレートの中からオレンジキャラメルがトロッととけ出す「オレンジキャラメル」、そして定番の「ナッツベア」は、はちみつ風味のホワイトチョコにアーモンドを抱えたベア形のミルクチョコをデコレーションした愛らしさ抜群の一枚である。これまで発表されたパレショコラは、実に通算1000種類以上に及ぶ。
〈ベル アメール〉がこれほどデザイン性に特化した商品を発表できる背景には、優秀なデザインチームの存在も欠かせない。
デザインチームによるパッケージのデザイン画。カカオの表現一つにもこだわりが窺える。
ショコラのデザインから型作り、パッケージやカタログまで一貫して自社で制作している。ショコラティエが生み出す高級ショコラの味わいと、オリジナリティを追求するデザインチームの自由な発想とのコラボレーションによって唯一無二の〈ベルアメール〉のショコラが生み出されているのだ。そしてドライフルーツから「ナッツべア」の鼻のパーツ一つまで、そのすべてが手作り。
熟練の職人技で、素早く繊細に線を描き「センタープラリネ ピスタチオ」を仕上げる。
専用乾燥機から上がったばかりのセミドライオレンジ。絶妙な食感に仕上げる。
フランボワーズやアカスグリなど3種のフレーズのピューレからガナッシュを作る。
「ホッとするようなやさしいおいしさ」を表現したオリジナルのホワイトチョコレート。
「ホッとするようなやさしいおいしさ」を表現したオリジナルのホワイトチョコレート。
土台の上にミルクチョコレートのベアを置き、チョコで鼻先を描いて仕上げていく
パーツごとにそれぞれ型を取り、キャンバスの上に手作業で配置する。〈ベル アメール〉の商品が美しいだけでなく、どこか温かみを感じさせるのは、こうした手仕事ゆえか
もしれない。ショコラの命である香り、口どけを表現する繊細で丁寧な職人の手仕事は、創業時から変わることのない同社のもう一つのこだわりでもある。
今季はどんな新作で楽しませてくれるのか。伊勢丹新宿店本館地下1階へ、おいしいワクワクとドキドキを探しに行こう。
〈ベル アメール〉ほか多彩な事業を手がけるジェイ・ワークスの大平哲代表取締役社長。
〈ベル アメール〉ショコラギフト(10個入) 2,916円
伊勢丹新宿店本館地下1階 カフェ エ シュクレ
〈ベル アメール〉パレショコラ (1枚) 292円
伊勢丹新宿店本館 カフェ エ シュクレ
写真 太田隆生
取材・文 西野入智紗