国民的ブーム、バスクチーズケーキ伝承の店 〈GAZTA〉の進化が新宿で始まります  

2022.3.18 UP

※2023.4.22追記

またたく間に日本中に広がったバスクチーズケーキブーム。スペイン・バスク地方の地方菓子と思いきや、それは一つのバルで生まれた伝説的人気のチーズケーキでした。このチーズケーキの製法を唯一、正攻法で伝授されたのが白金高輪のバスクチースケーキ専門店〈GAZTA〉。シェフパティシエの戸谷尚弘さんは、ブームでなく長く愛されるスイーツとして伊勢丹新宿店でも伝えていきたいと話します。2022年3月30日、伊勢丹新宿店<GAZTA>がオープンします。

このページをシェアする

ph

バスクチーズケーキとの出会い

スペインとフランスにまたがるバスク地方。独自のルーツを持つといわれるバスク民族の文化が注目され、近年は美食の地としても有名です。人口密度に対するミシュランの星付きレストランの数が多いことでも知られており、世界各国から美食目的に観光客が訪れます。

 

そして、食のもう一つの魅力として知られるのがバル文化。街には気軽に美味しいワインとおつまみが食べられるバルがひしめき、地元の人々も観光客もバルホッピングを楽しんでいます。数々のバルの評判店の一つに、バスクチーズケーキが大人気となった La Vina〈ラ・ヴィーニャ〉があります。

store

2014年当時、フランス・バスク地方ビアリッツの老舗パティスリー〈ミルモン〉で修業中だったパティシエの戸谷尚弘さんは、フランスで美味しいと評判のパティスリーには勉強の為に足を運ぶようにしていました。ある時、バスク地方で隣国スペインにも評判の高い店があると聞いて訪れます。それが〈ラ・ヴィーニャ〉でした。

 

store

ラ・ヴィーニャのバルカウンターの並び、厨房と隣接する壁面には、チーズケーキ専用の陳列棚が設けられている。

※写真提供:〈GAZTA〉

「初めて食べた時、衝撃が走りました。フランス菓子のチーズケーキの手法では想像のつかない食感だったのです。レアチーズケーキのような非加熱タイプでもない、ベイクドチーズケーキというのでもない、メレンゲで軽さを出す焼き菓子のスフレでもない。外側のしっかり焼いた部分と中身のしっとりとろりとしたコントラスト、そしてチーズの存在感。どうやって作るのだろうと強烈に印象に残りました。」

 

帰国後は、日本にバスク菓子の専門店を作ろうと決めていた戸谷さん。いつか、この〈ラ・ヴィーニャ〉のチーズケーキの魅力もたくさんの人に伝えたいと心に決めます。

 

image

戸谷尚弘さん

フランスで菓子を学ぶ。パリの〈ラヴィエイユ・フランス〉、バスク地方ビアリッツでは1872年創業の名店〈ミルモン〉で修業。バスク地方の魅力の虜となる。帰国後2015年、バスクの地方菓子、ガトーバスクをメインに据えた〈メゾン・ダーニ〉を開業。開業まもなく話題に。2018年にはバスクチーズケーキの専門店〈GAZTA〉を開業。続けて2020年チーズスイーツ専門店〈CASA DE GAZTA〉、2022年にはスイーツ用食材のリンゴの仕入れ先で通っていた長野県篠ノ井有旅の小林農園横に工房型店舗〈カフェロンディネッラ〉をオープン。立て続けに人気店を展開する。

「面白いなと思ったのは、このスイーツが、パティスリーでなくバルでお酒のつまみとして食べられていたことです。塩やスパイスをオンしたり、シェリー酒をかけて食べている人もいて皆が自由にアレンジを楽しんでいる。バル生まれならではのスイーツの楽しさも日本で提案できたら良いと思いました」。

 

戸谷さんは2015年に日本に帰国すると、ガトーバスクをメインに据えたパティスリー〈メゾン・ダーニ〉を白金高輪に開業。焼き立てで提供するガトーバスクが評判を呼びます。

 

 

 

バスクへの愛が、秘伝の製法伝授の扉を開ける

〈メゾン・ダーニ〉の営業が軌道にのり、戸谷さんは次なるバスクスイーツの店として、件のバスクチーズケーキ専門店を考えます。2016年、戸谷さんは〈ラ・ヴィーニャ〉宛に、チーズケーキに感動したこと、日本でぜひ紹介したいこと、そしてパティシエである自分が責任を持って再現するので学ばせてさせてもらえないかという内容の手紙を送ります。

 

しかし音沙汰はなし。戸谷さんはあきらめずに自身の履歴書を送るなどアクセスを続けます。しかし、なかなかそれは叶わないでおりました。「これを最後に」と〈ラ・ヴィーニャ〉に訪れ、直談判を試みたところ、歴史が動きます。〈ラ・ヴィーニャ〉には、それまでも世界中から同様のオファーが絶えなかったそうですが「こんなに熱い気持ちで丁寧に問い合わせを続けてきた人は初めて」と信頼を得て厨房へ招き入れられます。こうして門外不出と言われていた製法は戸谷さんに伝授され、2018年に〈GAZTA〉がオープンします。

GAZTAとはバスク語でチーズのこと。

store

オープン当時の様子。開業前には行列がどんどん延びるのが街の風物詩となる。

写真提供:〈GAZTA〉

たった一つの店が提供していたチーズケーキは、バスクを代表するスイーツとして日本で大人気となり、コンビニエンスストアのスイーツが追随することで認知度も一気に上がります。全ては、そのチーズケーキの魅力に魅せられた一人のパティシエの熱い気持ちからはじまったことだったのです。

 

バスクチーズケーキ

store

バスクチーズケーキ(左)(直径15cm)4,320円 バスクチーズケーキ(右)(直径8cm 1個)761円

スペイン本国では直径21cmのホールサイズから1ピースずつカットして販売だが〈GAZTA〉では直径15cmホールと、日本人に馴染みやすい1人1個と手土産に最適と考案された直径8cmのサイズがある。どちらのサイズも外側の焼き目と中身のとろけるしっとり感、両者のコントラストを出すよう製法を工夫。シンプルだがリッチなチーズの味わいは、誰にも愛される。

 

store

バスクチーズケーキ独特の食感の秘密は、木の板と板に開いた穴にあり。焼き上がったチーズケーキを木の板にのせると、木は熱伝導がゆるやかなので中心部までゆっくりと熱が入り、かつ穴からほどよく蒸気が抜ける。仮に、焼きあがったチーズケーキを金属のプレートの上にのせても、同じ仕上がりにはならない。それぐらいに繊細な食感を追求している。

 

 

 

トッピング

store

バスクチーズケーキには、別売りのトッピングもあり。旨みを引き立たせ、お酒とも相性もよりよくする「バスク塩」61円、甘味やコクが複雑さを増すカナダ産最高級のオーガニック「メープルシロップ」111円、大人な味変を楽しめる黒胡椒を効かせた焦がし風味の「自家製キャラメルソース」111円の3種類。写真右は「自家製キャラメルソース」。

 

「バスクの食の魅力をこれからも日本に提案し続けて行きたい」と考えている戸谷さんは「注目度が上がることは嬉しいのですが、決して一時の流行になってほしくはないんです。このチーズケーキのポテンシャルをもっと知っていただきたいと考えて、新しいバージョンの開発を決めました」と話します。

 

 

 

バスクチーズケーキの魅力をさらに広げたい

2019年、バスクチーズケーキのさらなる魅力開発のために考案されたのがホワイトチョコレートバスクチーズケーキでした。

 

「チーズの特色を生かし、かつ他の食材とバランスを取るのはなかなか難しかったです。普通のチョコレートと合わせるとチョコレートが勝ってガトーショコラと変わらなくなってしまう。そこで最初は、ミルキーなコクがあって、チーズに深みを与えてくれるホワイトチョコレートと合わせることからスタート。次にチョコレートバージョンを完成させました」。

 

ホワイトチョコレート バスクチーズケーキ

store

ホワイトチョコレート バスクチーズケーキ(1個)850

 

ホワイトチョコレートが、チーズのクリーミーなトーンをさらに増長。トップには、香ばしいクランブルを乗せています。サクサクとした食感が、ますますチーズのクリーミーさを引き立てます。

 

チョコレート バスクチーズケーキ

store

チョコレート バスクチーズケーキ(1個)881円

 

酸味と苦味のあるチョコレートの濃厚な味わいが、チーズの酸やクリーミーさが加わることでまるくなり、均衡のあるチョコレートチーズケーキとなっています。塩味の効いたクランブルのザクザク感に、無糖の生クリームを合わせて食べることで、味わいがより豊かになります。

 

 

そして、今回の伊勢丹新宿店でのオープンに際しては、新作としてヘーゼルナッツ味が加わります。

 

 

store

ヘーゼルナッツ バスクチーズケーキ(1個)861円 伊勢丹新宿店限定

 

ヘーゼルナッツの女王と呼ばれるピエモンテ産の「トンダ・ジェンティーレ」のペーストを生地に練り込んだ非常に贅沢な味わい。ビターチョコガナッシュ、ザクザクのクランブルがアクセントとなっています。ボリューム感もたっぷり。

 

 

 

クレープガスタ 伊勢丹新宿店限定

store

クレープ ガスタ(1個)1,601円 伊勢丹新宿店限定

 

 

フランス産発酵バターを使用したもっちりとしたクレープ生地に、バスクチーズクリーム、生クリーム、オーガニックメープルシロップ、黒胡椒の効いたキャラメルソース、キャラメリゼしたバスクチーズケーキ、苺、チーズマドレーヌを合わせました。バスクチーズケーキのクリームをベースに、さまざまな香りと味わいが花開きます。

 

 

 

伊勢丹新宿店では〈GAZTA〉本店の隣に一昨年オープンしたチーズスイーツ専門店〈CASA DE GAZTA〉のラインナップもご用意しています。

 

 

 

バスクレーヌ

store

バスクレーヌ(6個入)2,281円 (12個入)4,561円

 

バスクレーヌは、チーズ風味のオリジナルマドレーヌ。フランス産のクリームチーズを使用しており、しっとりとした生地でも歯切れの良さを大切にしている。プレーンとチョコレート味があり。ユニークな型はオリジナルで作った魚のカレイ型。バスク地方の港町、ゲタリアでカレイの炭火焼き料理が有名なレストラン〈エルカノ〉にあやかったもの。

 

 

 

その他の焼き菓子

store

バスクレーヌ ショコラ(6個入)2,281円(12個入)4,561円

 

チョコレート味のチーズマドレーヌ。

store

チーズサンド(6個入)2,521円(12個入)5,041円 

※お取扱いを終了いたしました。

 

コクとフレッシュ感、両方を持ち合わせたクリームチーズを、軽いアーモンド風味でフランス・ブルターニュ地方ゲランド産の塩をアクセントに加えたクッキー生地でサンド。クッキー生地とクリームの調和を味わえる。

store

とろけるバスク カーサ デ フォンデュ ホール(直径12cm)2,501円 

香ばしいタルト生地には、美瑛放牧酪農場に開発を依頼した、特別なフロマージュブランと他2種類のチーズを合わせたトロトロのチーズクリームが入っている。自家製のイチゴソースと一緒に。

store

ケーク オ フロマージュ(6個入)2,281円(12個入)4,561円 

※お取扱いを終了いたしました。      

チーズの風味を生かしたパウンドケーキ。そのままでも、少し冷蔵庫で冷やしても異なる味わいを楽しめる。

 

 

 

2022年1月には、長野県篠ノ井有旅にも新たな拠点〈カフェ ロンディネッラ〉を構え、フルーツやクルミなどスイーツに大切な食材の魅力を、地域とともに、農園に隣接する食材に近い場所で発信する取り組みも始まりました。今後は、長野県産食材を生かした新作も伊勢丹新宿店で登場する予定とのこと。バスクチーズケーキとどのようなコラボレーションが生まれのるか、楽しみにしたいですね。

 

 

 

Text: ISETAN FOOD INDEX編集部

Photo:Yu Nakaniwa

RECOMMEND

店舗・オンライン情報

エムアイカードプラス会員さま限定<富士見堂>あんこ天米季節限定特別セット  オンライン事前ご予約のご案内

エムアイカードプラス会員さま限定<富士見堂>あんこ天米季節限定特別セット オンライン事前ご予約のご案内

「ISETAN OTSUKIMI~秋の実りでお月見を~」レストランメニュー

「ISETAN OTSUKIMI~秋の実りでお月見を~」レストランメニュー

<福砂屋>400周年記念企画開催! 感謝の気持ちを込めた特別な商品が揃いました。

<福砂屋>400周年記念企画開催! 感謝の気持ちを込めた特別な商品が揃いました。

CATEGORY

カテゴリー