2022.5.23 UP
昔から、カキフライとチヂミだけは見かけたら素通りできません(笑)。特にこのチヂミは、野菜たっぷりで満足感があって」
いつ出会ったか覚えていないくらいリピートしている、〈妻家房〉の「パチヂミ」について語るクリス智子さんの瞳は、きらきらして透き通っていた。
「仕事がある日は、移動や収録が重なって日中にゆっくり食事できないことも多いんです。そんな日でもさっと食べられて特別感を味わえるのがこのチヂミ。家に持ち帰って、ワインを飲みながらつまむのも最高ですね。『今夜はチヂミがある…』というだけで、家に帰るのが楽しみになったりして」
〈柳香姫の台所 妻家房〉パチヂミ(1パック)864円
伊勢丹新宿店本館地下1階 旨の膳
ふっくらした生地の間に、イカと万能ネギ、野菜がたっぷり入った韓国式のお好み焼き。外側はさくさく、中はもっちりとした食感が楽しめる。専用のたれ付き。
伊勢丹新宿店の食料品フロアには、お気に入りがほかにもたくさんある。
「〈神田志乃多寿司〉の『太巻詰合せ』も定番ですね。海苔と甘い干瓢の組み合わせも好物で、安心できる味です。ベーカリーだと〈エディアール〉の『オリーブチャパタ』も大好き。2006年ごろに閉店してしまいましたが、本館地下1階にあった〈エディアール〉のカフェでよくお茶を飲みました。デパートの中とは思えない静かな空間でしたよね」
伊勢丹には両親の仕事の関係で子どものころから親しみを持っていた。
「特に大学時代は、近くでアルバイトしていたこともあってよく行きました。洒落ているけれど敷居が高いわけでもない。商品の並べ方にも『これは何だろう?』って興味を持たせてくれる仕掛けがあるし、私にとってはファッションから食、暮らしのフロアまで、本当にいろんなカルチャーを教えてもらった場所です」
今回お邪魔したのは、90年代半ばから活躍されているJ - WAVEのスタジオ。長年個性的なゲストとトークを繰り広げているが、クリスさんの柔らかな存在感は一貫している。
「たくさんの情報が日々自分を通過していく職業。大変そうに思われがちですが、案外元気にやっています。その都度、目の前のものにちゃんと向き合うっていうのかな。何を選び、どんな時間を過ごしたいかってことに対して、常にクリアな自分でいる。そういう気持ちはパーソナリティーを始めた当時から強く持つようにしてきました。自分にとって大切なものが何かをちゃんとわかっていれば、新しい出会いを楽しむ余白もできますからね。特に世の中が変わりつつある今は、暮らしや食などを通して、自分が何と繋がって生きているかを改めて考えるのにいいタイミング。私がラジオで伝えるべきことも、そのあたりにあるだろうなと感じています」
取材は六本木ヒルズ森タワーにあるFMラジオ局J-WAVEにて。
現在クリスさんがナビゲーターを務める番組『GOOD NEIGHBORS』は、毎週月曜〜木曜午後のオンエア。生放送スタジオからは、東京タワーやお台場までが見渡せる。
大好きな一品につい顔がほころぶ。新幹線など長距離の移動時にもよく購入するとか。
ラジオの放送時に欠かせないストップウォッチと、気づいたことのメモに使っている〈モレスキン〉のノート。
『GOOD NEIGHBORS』のスタジオ。
この日のゲストは、クリスさんがファンだというイラストレーターのnakaban氏。彼が装丁の絵を手がけた本は、すべてクリスさんの私物。
J-WAVEのキャラクター「Jme」。
初めてラジオで話したのは94年。以来、J-WAVEでナビゲーターを務め続ける。
スタジオのコントロールルームから見たブースの光景。
マイクのON・OFFを切り替える「カフボックス」を手元に。ヘッドフォンは20年来愛用している。
クリス智子
ラジオ・パーソナリティー
くりす・ともこ。ハワイ生まれ。ナレーションやトークイベント出演、朗読、執筆、作詞なども行う。放送中の『GOOD NEIGHBORS』では暮らし、食、デザインなど審美眼が光る話題が多い。ハワイ、京都、フィラデルフィア、宮崎、横浜、東京を経て、現在は鎌倉が拠点である。
写真:太田隆生
取材・文:小堀真子