2022.12.12 UP
骨付き肉はなんとなく豪華な気分になるもの。通常、日本で売られている骨付き鶏肉は「骨付きもも肉」「手羽元」「手羽中」「手羽先」の4種類。普段は骨のないもも肉かむね肉を食べている方も、この機会にぜひ手にとってください。骨がついている肉は「おいしい」からです。
骨付き肉のおいしさにはちゃんとした理由があります。骨がついていることで熱の伝わりが遅くなり、肉にやわらかく火が通ります。結果として加熱し過ぎによる水分の蒸発が抑えられ、ジューシーになるのです。また、骨の周りには肉を固定したり、動かしたりするための筋=コラーゲンが豊富に含まれています。コラーゲンは加熱することでゼラチンに変わり、ゼラチンは水分を抱え込むのでやはりジューシーに、肉がしっとりします。また、骨の周りの肉は脂肪が多くついていることが多く、それが噛んだときにあふれるのでこれもジューシーさに貢献するのです。
クリスマスの骨付き鶏肉と聞くと骨付きもも肉を想像するかもしれませんが、今回は「手羽元」と「手羽中」を使った料理をそれぞれ紹介します。これらはもも肉と比べると安価ですが、味は抜群においしい部位。手羽先は少し処理が必要ですが、手羽元と手羽中は下処理も不要で、かんたんに料理できます。小さな集まりなどにも活躍する料理です。
まずは手羽元を使ったフライドチキンから。
鶏手羽元はむね肉と手羽をつないでいる部位で、今回は揚げますが、煮込みにも適しています。
<材料> 2人分
鶏手羽元 7本(350g相当)
塩 小さじ1/2(3g)
黒胡椒 適量
にんにく 1/2片
小麦粉 大さじ3
片栗粉 大さじ3
牛乳 50ml
酢 大さじ1/2
クレソン 適宜
<作り方>
手羽元は下処理が不要なので、気になるようであればキッチンペーパーで表面を抑えてから、ボウルで味付けしていきます。手羽元の重量の0.8%〜1%の塩分と、香辛料を使います。今回は黒胡椒とにんにくだけのシンプルな味付けですが、市販のフライドチキンのようなスパイス感が欲しい場合は「オールスパイス」という香辛料を好みの量振ってください。
手でざっくりと和え、15分以上置いて、塩分を浸透させます。
アメリカのフライドチキンでは衣にバターミルクという発酵乳を使うのですが、このレシピでは牛乳に酢を加えたもので代用します。牛乳に酢を加えると分離しそうな気がしますが、大丈夫。適度なとろみがついて、衣が絡みやすくなります。牛乳にヨーグルト小さじ2を加えたものでもOK。
粉は2種類を混ぜます。小麦粉はボリューム感に、片栗粉はカリッとした食感に貢献します。
鶏肉の表面に粉をまぶしてください。
その後、牛乳と酢をあわせた液体にさっとくぐらせて……
もう一度、粉をまぶします。牛乳(+酢)にくぐらせることで衣が厚くなり、唐揚げとは違う食感が出るのです。
フライパンに揚げ油を1cm高さになるまで注ぎ、粉をまぶした鶏肉を並べ、中火にかけましょう。
中火のまま3分間加熱します。はじめのうちは衣が剥がれる原因になるので触らないでください。3分経つと下側がうっすらと色づいて固まるはずです。
裏返してさらに2分加熱します。
2分経ちました。全面に焦げ色がつき、鶏肉の周りの泡が少なくなってきたことがわかります。ここで弱火に落とし、1分揚げます。
1分揚げたら、一度網やキッチンペーパーを敷いた皿などに取り出しましょう。油で加熱し続けると中心に火が通る頃には周りが焦げてしまいます。そこで一度取り出して、熱を中心に伝える時間をとる必要があるのです。休ませる時間は5分間。
5分経ったらフライパンを再び中火にかけ、もう一度2〜3分間転がしながら加熱します。油の温度の目安は180℃ですが、すぐに温度が上がるので強めの火加減くらいのおおらかさで大丈夫です。
休ませているあいだに肉に火が通り、中心部の水分が外側に移行しています。そこで二度目の加熱で表面の水分を飛ばし、カリッとさせましょう。
箸で触ってもカリッとした食感がわかります。器に盛り付け、クレソンなどを添えましょう。レシピの材料は2人前になっていますが、少し多めの分量です。たくさんつくる場合は4人分なら単純に2倍、6人分なら3倍に分量を増やし、フライパンのサイズを大きくするなど対応してください。また、一度揚げまでを事前に準備しておき、提供直前に揚げることも可能です。
続いてご紹介する部位は「手羽中」です。
手羽中は手羽先の関節から先の部分を取り除いた部位。骨の周りの肉のおいしさが味わえます。
<材料> 2人分
鶏手羽中 7本(200g相当)
黒胡椒 適量
BBQソース(作りやすい分量)
Aしょう油 大さじ1
Aトマトケチャップ 大さじ1
Aバルサミコ酢 大さじ1
Aはちみつ 大さじ1/2
Aにんにく(すりおろし) 小さじ1/4
バーベキューソースはAを混ぜ合わせるだけ。作りやすい分量になっています。バルサミコ酢がない場合、同分量のオレンジジュースでもおいしくつくれます。
バーベキューソースを大さじ2程度絡め、20分ほど置いて味を浸透させます。冷蔵庫で一晩置いてもいいでしょう。そのあいだにオーブンを180度に予熱します。
バットに網かオーブンペーパーを敷き、鶏肉を並べます。180℃のオーブンで15分焼きましょう。
15分経ったら一度取り出し、バーベキューソースを表面に塗り、さらに5分加熱し、もう一度バーベキューソースを塗って、さらに5分加熱します。
計25分焼いたら、出来上がり。器に盛り付け、粗挽き黒胡椒をたっぷり振ります。今回はシンプルに盛り付けましたが、付け合せにパイナップルやキウイフルーツなどを添えるのもオススメです。手羽中の大きさに対して、焼き時間が長く感じられるかもしれません。が、手羽肉はむね肉と違って、火が通り過ぎてパサパサになる、という心配はほとんどありません。むしろ、コラーゲンが多い鶏手羽はしっかり加熱したほうが美味しい部位。どちらの料理も豪快に手で持ってかぶりつきましょう。
Text & Photo: Naoya Higuchi