ご当地そうめん2種類のパスタレシピ! ―樋口直哉さんの『料理のツボ』―

2023.7.8  UP

予断のならない暑さです。キッチンのどこかにきっとある、ストックしたままのそうめんを使ってみましょう!樋口さん曰く「そうめんは、和え麺としても優秀」です。ミニ知識とともに、そうめんを使いこなしてみませんか?

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夏といえばそうめん。『日本三大そうめん』といえば一般的に

兵庫『播州そうめん』

奈良『三輪そうめん』

香川県『小豆島そうめん』

が挙げられます。(ここに長崎県『島原そうめん』が入る場合もあります)

 

例えばよく知られたそうめんである『揖保乃糸』は兵庫県の特産品。伊勢丹新宿店の地下食品売り場ではその『特級品』が売られていました。スーパーなどでよく見かける『上級品』よりもやや細く、つゆがよく絡みます。

 

旅行気分で他の産地のそうめんを買うのも楽しいもの。『小豆島そうめん』は麺を細く伸ばすのにごま油を使うのが特徴。讃岐うどんの元祖とされるだけあって、ややもちっとした食感に特徴があります。今回、ご紹介する冷製トマトそうめんには小豆島そうめんを使っていますが、もちろん他の産地のそうめんでも同じように作れます。

 

そうめんをおいしく食べるコツは「たくさん茹ですぎないこと」です。そうめんは茹でると重量が2.5倍に増えます。つまり、100gを茹でると250gになるわけで、これを頭に入れておくとちょうどいい量が計算できます。

 

そうめんは淡白な味なので「食べ飽きる」という問題が生じます。そのため、通常はたくさんの薬味を添えることで味に変化をつけるのですが、そもそも少なめの量にしておければおいしいまま食べ終えることができるでしょう。

 

冷製トマトそうめん

<材料>1人前(前菜なら2人前)

そうめん      50g

トマト(フルティカ)      5個

オリーブオイル       大さじ2

塩             小さじ1/4

にんにく(すりおろし)     少々

サラダバジル          適量

 

<作り方> 

 

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フルティカトマトはミニトマトよりも一回りほど大きい中玉品種。高糖度ですが、酸味もあるので冷製パスタには最適です。ふつうのミニトマトやトマトを使う場合はワインビネガーやホワイトバルサミコで酸味を補ったり、はちみつで甘みを足したりする必要がありますが、こうした上質のトマトを使えば余計な味付けは不要。

 

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中玉トマト品種は皮が厚いので、面倒でも湯剥きしたほうがおいしく食べることができます。ちなみにトマトの湯むきは90℃で10秒加熱すると果肉が溶けることなく、きれいに剥けるので、強火でぐつぐつ煮立たせる必要はありません。

 

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6等分し、オリーブオイル、塩、ごく少量のすりおろしにんにくで味付けします。

 

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そうめんを茹でましょう。茹で時間は1分30秒です。ザルにあげて流水にさらし、手で軽く洗います。

 

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冷水にとることで加熱を止め、コシを残します。また、そうめんの表面についている油を落とし、舌触りをよくする意味もあります。両手で軽くこするようにして洗いましょう。ただし、乱暴に洗うとデンプンが流れ出てしまうので、やさしく──けれどしっかりと洗いましょう。

 

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水気を切ってからボウルのソースを絡めます。

 

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盛り付けて、サラダバジルを散らせば出来上がり。ソースに桃やすもも、スイカ、さくらんぼなどを混ぜると甘みが加わり、さらにおいしくなりますし、生ハムを添えてボリューム感を出す方法もあります。

 

パスタのように仕立てると、めんつゆを用意しなくてもいいのがメリット。また、麺自体に塩分が含まれているので味もまとまりやすいですし、茹でる湯に塩を加える必要もありません。茹で時間も短いので手軽に出来ます。

 

次に紹介するのはちょっと挑戦レシピ。ボタンエビの頭からとったスープで、そうめんを食べる料理です。そうめんはもちろん、どの種類を使っても良いのですが、今回は「半田そうめん」を選びました。半田そうめん(半田めん)の特徴は弾力のあるコシ感です。通常のそうめんよりも太いので、例えばラーメンスープのような濃厚な味にもよくあいます。

 

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ボタンエビの冷たいスープ 半田そうめん

<材料> 2人前

半田そうめん    100g

ボタンエビ 6尾

オリーブオイル 大さじ1

玉ねぎ     1/2個

トマトペースト 大さじ1

出汁      400ml(鰹と昆布の合わせ出汁)

生クリーム   大さじ1

塩       小さじ1/4

 

桃     1/2個

オリーブオイル 小さじ2

米酢      小さじ1

塩       小さじ1/8

サラダバジル  適量

 

ボタンエビを使っていますが、他の有頭海老でも同様につくれます。ただ、ボタンエビの甘さは他に代えがたいところ……。

 

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ボタンエビは頭を捻るように引き抜き、殻と身に分けます。

 

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鍋にオリーブオイル、玉ねぎ、ボタンエビの頭を入れ、中火にかけます。音がして、蒸気が出てきたら弱火に落とし、3分ほど少ししっかり炒めます。ボタンエビのヒゲが鍋から飛び出して、焦げる可能性があるので、注意しましょう。

 

トマトペーストを加えます。

 

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出汁を加えます。このために出汁を準備するのは大変なので、少量の顆粒だしを使ってもいいでしょう。

 

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沸騰するまでは中火、あとは弱火で15分ほどゆっくりと煮出していきます。エビの出汁はぐつぐつ強火で加熱しないほうがクリアなスープがとれますが、ボタンエビはエグみが少ないので、そこまで気にしなくても大丈夫。いい食材を使えば技術はあまりいらないのです。

 

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ザルで濾しましょう。

 

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強めの火加減で煮詰めます。生クリームを大さじ1加えて、クリーミーさを加えます。

 

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200mlまで煮詰まったらOK。塩小さじ1/4で味付けします。

 

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ボウルの底を氷水などに当てて、冷まします。

 

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ボタンエビの身は小さく切ります。

 

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桃も同様に角切りにして、オリーブオイル、米酢、塩を加えて、ボウルでざっくりと和えます。桃とボタンエビのタルタルです。これをさきほどに紹介したトマトパスタに載せても豪華な前菜になります。

 

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半田そうめんを茹でます。太いので茹で時間が5分30秒ほどかかります。他のそうめんと同様に流水にとり、ザルでもみ洗いし、水気を切ります。

 

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そうめんを盛り、スープを張ります。

 

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上にボタンエビと桃のタルタルをのせ、サラダバジルを散らせば出来上がりです。冷たいエビのスープがそうめんに絡みます。柚子胡椒で辛みを加えるのもオススメです。

 

そうめんは我々日本人にとって身近な食材ですが、じつは麺として優秀で、料理のバリエーションも広いもの。冒頭にそうめんは夏の食べ物、と書きましたが、文化圏的には東日本の人間にとっての話で、例えば鹿児島などでは年中食べられています。少量を茹でることで、もっと気軽に普段の料理に取り入れるといいのでは? 

 

 Text & Photo: Naoya Higuchi

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