2024.6.30 UP
「小さきものは、みなうつくし」と清少納言が語ったように日本人の心には小さなものを愛でる感性が備わっています。
夜空に浮かぶ花火や波打ち際、朝顔など、夏の景色を封じ込めたお菓子「錦玉」には、“愛でる”楽しさが凝縮しています。
涼やかな和菓子「錦玉」は京都発祥。ところてんが庶民の夏の楽しみとして浸透しだした江戸時代、同じく寒天を原料に、目からも涼を取れる麗しいお菓子として誕生しました。職人の創意工夫と遊び心が加わった様々な意匠のお菓子は、ガラス細工のような美しさ。型は絵を描くキャンバスを彷彿とする角切りが一般的ですが、水紋や金魚、葉形など趣向様々。和菓子をいただくひととき、職人が描いた“夏”の世界を堪能しましょう。
夏の涼味を楽しむなら、やはり透明感のある器を選びたいもの。今回は定番のガラス皿ではなく、少し高さのあるコンポート皿をセレクト。俯瞰だけでなく横からも景色を眺められ、錦玉がアートピースのような存在感を放ちます。
<両口屋是清>水面の花 半棹 1,080円
本館地下1階 甘の味
夏の花火を、透き通った錦玉羹と練羊羹で表現。柚子レモンがほんのり香り、爽やかな味わい。寒天と羊羹の食感の違いも楽しめる。
販売期間:6月上旬〜8月下旬
<老松>生菓子(青瓢(せいひょう)・観世水(かんぜすい)) 各486円
本館地下1階 茶の道
夏を表現する色や型の美しさも秀逸。波紋の紋様「観世水」と、収穫前の未熟な瓢箪「青瓢」。
販売開始:青瓢=8月上旬、観世水=7月下旬
<鶴屋𠮷信>華華火(1棹)1,512円
本館地下1階 甘の味
小倉羹と琥珀羹で、夜空を彩る大輪の花火を表した意匠羊羹。切り分けていただく。
販売期間:7月26日(金)〜8月20日(火)
<とらや>若葉蔭(わかばかげ)(1個) 573円
本館地下1階 茶の道
琥珀製。水面の青葉の蔭に金魚が泳ぐさまを表現。金魚の模様や表情はそれぞれ異なります。
販売期間:7月8日(月)〜7月31日(水)
写真:和田裕也
スタイリング:chizu
文:板倉ミキコ