リビングルーム
ー新年の静謐な時間ー
寒椿が咲く自然深い庭木をのぞむ、静寂に包まれた風景。
日本の美しい素材や伝統技術を用い丁寧に生み出されたタイムアンドスタイルのプロダクトに、江戸時代から続く盆栽園<加藤蔓青園>の盆栽を設えます。
日本の美しい姿に思いを馳せ、五感に触れ、穏やかな新しい年を迎える空間をご提案いたします。
Takenoko lounge chair
Designer: Hiroshi Nakamura & NAP
日本の木造軸組建築のように水平垂直に構成した、小さな空間性を持つ椅子です。
その小さな建築に、場を掃き清め、自然に合わせて慎ましく暮らしてきた日本人の自然主義的生活美学を込めました。
アームをテーブルに掛けて椅子を浮かせることを可能にすることで、テーブル下の掃除が容易な設計としました。
禅寺の修行の一つに掃除があるように、場を美しく清めることは、私たちがどう生きるかという哲学的で宗教的な実践です。
脚部はつま先や踵が当たりやすい箇所を斜めにカットすると、筍の子に似た美しい断面が現れます。
これは、床を貫くものとして忌み嫌われる家屋内の筍の子を、あばら屋の風情として愛する侘び寂びの感性の現れです。
Zen
日本には「銘々膳」という給仕方法があり、昭和初期までその作法で食事をしていました。膳に脚をつけた簡易的な家具は、軽くて移動しやすく、日本の生活文化に即したものでした。
また、茶道具に盃台という、美しく端正な姿をした酒器があります。
それは酒器として美しいだけでなく、洗練された日本の形でもあります。
盃台の形状や構造を家具へと転換するために、日本の伝統工芸であり、生活に根差した道具である桶の工法を採用しました。
桶は檜やサワラ、杉などの針葉樹で作られていて、広葉樹とは異なる優しい手触りと木肌の温かみがあります。
私たちは新しい形をデザインするのではなく、すでにある日本の美しい形を現代の空間と調和するように捉え直していくことが大切だと考えます。
Mingle shelf
西暦 1400 年頃から約 500 年に渡り続いた李氏朝鮮時代に、家具や陶磁器などが日本へ伝来してきました。
儒教の精神を反映した手仕事の品々は「素朴さ、静けさ」を讃え、日本人の文人たちを中心に愛され、長い時間の中で独自の変化を遂げてきました。
この Mingle シリーズは、王朝時代の調度品として献上された家具の意匠を踏襲しています。
フレームに繊細な玉縁を施すだけの控えめな意匠ですが、丁寧なものづくりの技術によって、静かな存在感を持っています。
東洋の歴史的背景と混ざり合い、日本の木工技術によって現代の生活空間と融合する形を見出しました。
Botan no Hana
歴史的には浅い時代に作られた雪洞照明ですが、雪洞が作る雰囲気は日本独特のあかりとして特別な佇まいをしています。
その雪洞照明の本質的な全体感は失わないように、名古屋の指物師と美濃和紙職人が作る和紙で照明を作りました。
新しい現代の空間の中に、伝統的な雰囲気を超えた日本独自の雪洞の持つ和紙照明の優しさと意匠の存在感を表現したいと思いました。
杉材のフレームは少しだけ肩を張るような曲木のラインを作り、決して日本的になりすぎることのないように現代的なエッセンスを加え、丁寧な手仕事で完成させました。
盆栽
Time & Style × 加藤 蔓青園
小さな鉢の中で、壮大な自然や景色を作り出した、日本が誇る伝統文化であり、芸術作品です。
何十年、何百年と多くの時間と人の手によって育て、受け継がれ、時間の経過と共に強さと美しさを湛え存在します。
目に見える花の美しさや緑の瑞々しさを愉しむ園芸の世界とは異なり、盆栽は目に見えない時間や背景を愉しむ精神世界の遊びと言われています。
自らの手で丹念に愛情を注ぎ、手間も時間も惜しまず育てた盆栽を、ハレの日に、その一瞬の美しさを捉えて愛でることが醍醐味でもあります。
床の間をしつらえる盆栽を、現代空間における飾りの要素と捉え、和のみならずモダンな空気感を演出します。
蔓青園 加藤 崇寿[晴彦]
さいたま市北区盆栽町285
1968 年生まれ
蔓青園五代目園主/日本盆栽協同組合副理事長
<Time & Style> 新年の静謐な時間
会期:2022年12月28日(水)~ 2023年1月10日(火)
会場:本館5階 リビングルーム/タイム&スタイル・アートフレーム
※こちらの画像はイメージです
リビングルーム・インテリア
本館5階 | リビング
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