リビング パーク
「工芸」という言葉は、長い歴史の中でさまざまに定義されてきましたが、その枠組みは時代とともに多様性を帯びています。実用性の有無や製作方法を基準に定義することは、伝統を守る一方で、新たな表現や技術の発展を制限することにもなり得えます。
工芸が定義されはじめる以前から、多種多様なものづくりは存在し、その中には、定義の枠に収まらず、正統な工芸とは認められなかったものも多くあるはずです。「工芸」という概念が特定の基準によって形作られたものだとすれば、その基準から外れたものが排除されてきたのは自然なことかもしれません。工芸の本質を考えるとき、伝統と進化のバランスを見つめ直し、より広い視点でその可能性を探る必要があります。
藝の工藝展では、「工芸」の解釈が多様化している現代に、実用性と美しさを兼ね備えた手工芸品や作品を制作する技術や芸術の「芸」ではなく、「藝術」が本来もつ精神的価値体験を植え付ける技としてデザイン性の高い 「藝」に着目し、工藝を再解釈します。
金属、木、ガラス、漆、陶器──
本展では選び抜かれた10組の作家による、至高の作品群をご紹介します。
■センターパーク〈小〉
テーマは「植える」。
注目するのは“天然繊維”です。
世界最薄の手漉き和紙として知られる「土佐典具帖紙」を繊維の域にまで解し、精緻な千切り絵という技法でまるで剥製のような迫力を生み出す作家〈Aki Yamanaka〉。そして同じく天然繊維を扱い、ラグというかたちで空間の価値を高める新進気鋭のラグブランド〈RÈI〉が参加します。
■センターパーク〈大〉
キュレーションはデザインハウスのAnyhow。多様化する工芸の解釈の中から「藝術」という精神的価値に着目し、工藝を再定義。デザイン性と精神性をあわせ持ち、“今”の工藝を体現するために体験すべき8名の作家が集結します。
□昨年に続き、今回も(株)マーチングバンドのチームが企画。
昨年は『工藝は人間にとって必要不可欠なものである』をテーマに、
工藝家を“熟達へと向かう鍛錬者”と捉え、次世代の日本工藝を担う作家をフィーチャー。
2年目となる今年は、デザインハウス〈Anyhow〉をキュレーションパートナーに迎え、コンセプトをさらに深化させてステージ#5に新鮮な目線で見ていただきたい作品たちをご紹介させていただきます。
Haruka Soutome | 五月女 晴佳/漆
Jusmin Noda | 野田 ジャスミン/陶器
Mari Kobayashi | 小林 茉莉/彫金
Mana Nakamura | 中村 真那/ガラス
Mariko Saji | 佐治 真理子/鋳金
Shino Nakamura | 中村 志野/木工
Yu Uno | 𡧃野 湧/陶器
Yuzuru Hinaiji | ヒナイジ ユズル/流木彫刻
センターパーク / ザ ステージ#5
本館5階 | リビング
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