2025.5.1 UP
点心は まづしけれども 新茶かな 芥川龍之介
有名な小学唱歌の「茶摘(ちゃつみ)」。歌詞に「夏も近づく八十八夜」とありますが、茶摘は立春から数えて八十八日目、太陽暦の5月2日頃に最盛期を迎えます。摘んだ後に茶葉を蒸し、揉み、乾燥させるなどの工程を経るため、市中に出回るのが初夏となります。新茶は栄養素が豊富、旨味成分が多いなどの特長が有りますが、何と言ってもその真骨頂は爽やかな香りでしょう。
新茶が出ると去年のお茶は古茶と呼ばれます。実は、新茶も古茶も共に初夏の季語。ちなみに日本の全国都道府県、茶の栽培面積ベスト3は静岡県、そして鹿児島県、三重県と続き、その三県で全体の七割を占めます。(農林水産省:2023年度データによる)
また、京都の宇治茶は生産高こそ高くはありませんが、高級茶としての認知度は非常に高いお茶です。
さて、今月の句の「点心」について。芥川龍之介は、とりわけ中国に造詣が深い作家でした。そう考えると句の「点心」は文字通り中国料理の点心という可能性もなくはないのですが、新茶との取り合わせを考えた場合、仏教用語の「点心」と解釈した方が無難です。仏教用語の「点心」とは「正食の前に取る簡単な食事」のことで、今で言う「間食」を「点心」と呼びました。ささやかな点心を食した後、しみじみと新茶の味と香りを楽しんでいる満足感を伺い知ることが出来る作品です。ちなみに芥川は<船橋屋>のくず餅がとても好物だったそうですよ。この句の新茶には何を合わせたのか気になりますね。
芥川龍之介は明治25年の東京生れ。号を「澄江堂主人」といい、「羅生門」「鼻」「歯車」「地獄変」など誰もが知る数々の名作を残しました。しかし「ぼんやりした不安」という言葉を遺書に残して35才という若さで自死。俳句での号を「我鬼」といい、俳人としても「木がらしや目刺にのこる海のいろ」「水洟や鼻の先だけ暮れ残る」など数多の名句を残しています。
今月は新茶に合わせてお茶請けをご紹介です。
<赤坂柿山>東京国立博物館×赤坂柿山 赤坂慶長 墨缶(醤油7枚/しぶき海苔7枚)1,080円
本館地下1階 甘の味
慶長は<赤坂柿山>の金看板で、新大正もち米の一粒ひと粒の美味しさと食感を生かした薄焼きのおかきです。化粧缶は東京国立博物館とのコラボレーションで、菱川師宣筆の見返り美人図が描かれています。
<銀座あけぼの>海苔チーズサンド(16個入)1,080円
本館地下1階 甘の味
さっくりと焼き上げた、みやこがねもち米の杵搗きおかきで、ほんのり甘いチーズクリームをやさしくサンドしました。香ばしいおかきとチーズのコク、香り高い国産海苔がおいしく重なります。
<桂新堂> 海老づくし 車えび姿焼き(2枚入)・甘えび姿焼(2枚入)各 1カップ
甘えび炙り焼き(1枚入)・赤えび炙り焼き(1枚入)各3袋 2カップと6袋入 2,700円
本館地下1階 甘の味
車えび・甘えび・赤えびを独自の製法で焼き上げました。姿焼き・炙り焼きと、それぞれのえびの味を引き出す捌きと焼きの技が生きています。えびひとすじの<桂新堂>ならではの詰合せです。
<坂角総本舖>さくさく日記(海老)(6袋入)648円
本館地下1階 甘の味
天然海老の濃厚な旨み甘みとコクを封じ込めた、食べきり新鮮パックの小粋な揚げせんべい。さくっとひとくち、からり軽やか。カルシウム豊富です。
<富士見堂>白ほおばり 塩(1袋)648円
本館地下1階 甘の味
カラリと軽く揚げ、さっくりとした食感。シンプルな塩味が、お米の風味を一層引き立たせています。油をしっかり振り切り、揚げたてのカラリとした食感を再現しました。
※価格はすべて税込です。
※画像は一部イメージです。
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Text : FOOD INDEX編集部