全国お米甲子園がご縁の始まり
日本全国の農業高校生たちが、それぞれの実習田で手塩にかけて栽培したお米の出来を競い合う「お米甲子園」。この取り組みは、毎年開催される米・食味鑑定士協会コンクールのサブ企画として始まりました。お米甲子園は昨年で15回目を迎えましたが、参加校は2年前が76校で前回67校。上位15校が決勝に進出します。審査基準はお米の甘み、粘り、香り、硬さ。決勝ではブラインド審査で審査員が投票し、最優秀賞が決定されます。
昨年の決勝で最高得点を獲得したのが鳥取県の倉吉農業高校。倉吉市は鳥取県の中央部、山間の静かな城下町です。農業が盛んな地域で、高校生たちは暑さや長雨にも負けず、有機肥料で米を懸命に育ててきました。倉吉農業高校は10年連続で決勝進出のお米エリート校。高校生たちにとっては、米を作ってから販売までが授業の一環です。これまでの販売活動は、町の産直施設や高校の文化祭でした。高校生たちは「もっと社会に広かれた場所で自分たちの米を販売したい」と考えるようになります。
お米甲子園に10年連続決勝進出
この願いを叶えようと立ち上がったのが、三越伊勢丹で全国の厳選したお米を販売している<越後ファーム>。同社の営業部長脇坂真吾さんが理由を語ってくれました。
「私たち<越後ファーム>は元々全国各地で選りすぐりの生産者限定のお米を仕入れ、百貨店店舗やEC販売を通じて消費者の皆様に直接お米を届けてきました。近年、お米の栽培農家は目に見えて減少しています。高齢化も顕著で、現在、米農家の平均年齢は69歳。約7割が65歳以上の高齢者です。栽培人口も10年前に115万人だったのが、その5年後には約半分の52万人に。2040年までには30万人に減るといわれています。さらに最近は猛暑が続き、お米の収穫量も減っています。昨今、お米の価格ばかりが話題ですが、根本には米農家の高齢化と減少があり、その結果、需給バランスが崩れてしまったという問題があるのです。私たちお米を販売する者にとっても、新しいお米農家の参入は喫緊の課題。お米甲子園で農業高校の学生さんたちがお米作りに熱心に取り組んでいる姿を知り、彼らが主体となってお米を販売するお手伝いができないかと考えたのです」。
倉吉農業高校の皆さん
東京の高校とのデザインコラボもスタート
<越後ファーム>では、2年前から「お米甲子園」で優勝した高校生の米の販売を始めました。昨年は美術を志す東京都の富士見中学校高等学校の生徒たちが、米袋のラベルデザインをするというコラボレーションも生まれました。生徒たちは倉吉農業高校のお米を食べてからデザインを考え、デザインのコンセプトは夏祭りとなりました。30−60代の大人の女性をターゲットに、縁起が良い金魚をあしらいました。
デザイン開発の授業風景
この取り組みがきっかけで富士見中学校高等学校の校舎の中には田んぼができたそうです。また、昨年は千葉県でもお米作りをはじめ、文化祭で販売するようになりました。
お米の消費地の若い世代にもお米への関心を高めてもらい、逆に産地の学生たちには消費地を理解してもらう。学生の頃から意識を持ってお米に取り組むことで、卒業後も引き続き取り組む人材が増え、地域の米農業が持続可能になることを目指して、<越後ファーム>は、このプロジェクトを推進していると言います。
今回扱うのは鳥取県立倉吉農業高校による「縁結び」と「夢ごこち」いうお米で「縁結び」は岐阜県生まれの品種。コシヒカリの改良品種で暑さに強い品種です。昨年の日本橋三越本店の店頭販売では1時間であっという間に売り切れの人気でした。
昨年の店頭販売の様子
手間暇かけた分美味しくなる品種「縁結び」2kg 3,672 円
香りの良い品種「夢ごこち」2kg 3,672円
※伊勢丹新宿店<お米場 田心>では2㎏のみの販売となります。
※日本橋三越本店<お米場 田心>では2㎏・5㎏のお取り扱いいたします。
※三越伊勢丹オンラインストアでは5㎏のみの販売のみとなります。
「縁結びはモチモチした食感とすっきりした味わいが特徴です。炊き上がりもツヤツヤでおにぎりにしても美味しいです」
「夢ごこちも縁結びと同じくモチモチしていますが、甘みがしっかりと出るお米で、炊いている時から良い香りがします」
伊勢丹新宿店では7月16日(水)から高校生のお米のweb販売と店頭販売を行います。彼らとの間に繋がりが生まれ、若い生産者誕生のきっかけとなることを祈ってやみません。
※<お米場 田心>は、越後ファーム株式会社が運営するお米の専門店です。
Text:FOOD INDEX 編集部
※数量に限りがある商品もございますので、品切れの際はご容赦ください。
※価格はすべて、税込です。
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