皮革のプロに聞いた、長く使うための鞄(レザーバッグ)のお手入れ。

新しい靴を買うときは「お手入れグッズ」も一緒に購入を考えるのに、鞄を買うときはケアアイテムまで思いが至らない――今、そのことに気づいたあなたに、「鞄のお手入れ」をご提案。シューケアブランド<M.MOWBRAY/M.モウブレィ>を扱う株式会社R&Dの齊藤 誠さんからさまざまなケアテクニックを教わりました。

  • 教えてくれる人
    齊藤 誠さん
    株式会社R&D シューケアマイスター事業部
    教わる人
    池澤 あすか
    メンズ館地下1階=バッグスタイリスト

  1. 皮革ケアは、人間の肌で考えるとその重要性がわかる
    1. 【お手入れ 基本編】鞄はもちろん財布や名刺入れもケアが必須
  2. ツヤを出さず皮革の風合いを活かす保湿用クリーム
    1. 【お手入れ応用編①】ついてしまった手垢などの汚れは落とせますか?
    2. 【お手入れ応用編②】基本のケアに+αで水濡れを防ぎたい

皮革ケアは、人間の肌で考えるとその重要性がわかる

池澤 最近は、新しい鞄を購入されたお客さまから、革のお手入れについてと尋ねられることが増えてきました。
齊藤 それはうれしいですね。男性は、革靴を習慣的にケアする意識はとても高いのですが、鞄に関しては案外“使いっぱなし”というのが非常に多いのが現実です。
池澤 私も仕事柄、通勤電車の中で男性のビジネスバッグをついつい見てしまいますが、革がカサカサになった状態で使用されているのをよく見かけます。靴も鞄も同じ皮革製品なのに不思議ですね。バッグのケア方法は靴と同じと考えていいですか?

齊藤 はい、全体をブラッシングでホコリやゴミを払ってから、リムーバーで汚れを落とし、クリームで栄養を与えて、防水スプレーをかけるという手順はお馴染みだと思います。
池澤 レザーのケアはよく「スキンケア」にも例えられますよね。
齊藤 そうですね。何もケアしないとどんどん乾燥していくのは人間の肌も皮革も同じです。乾燥すると表面が硬くなってトラブルが起こりやすくなります。
池澤 男性にも、洗顔をしてから水分と栄養を与えるベーシックなスキンケアはかなり浸透してきているので、手順は理解していただきやすいと思います。
齊藤 きちんとケアしていけば皮革本来の魅力が増します。きれいにエイジングさせていくためにもぜひケアを習慣化してほしいです。

【お手入れ 基本編】鞄はもちろん財布や名刺入れもケアが必須

  • ケア手順
     
    ① まず馬毛のブラシでホコリやゴミを落とす
    ② 「クリームエッセンシャル」を布に少量取って、まんべんなく優しく拭いていく
    ③ 再度ブラッシングしてツヤを出す
    ④ 柔らかい布もしくは、グローブクロスで乾拭きする

齊藤 鞄のお手入れは、基本的に「馬毛ブラシ」と2種類の「クリーム」があれば大丈夫。 使うクリームは、<M.モウブレィ>の「クリームエッセンシャル」です。ブランドを代表する皮革用ナチュラルローションで、保湿性もあり、適度なツヤ出し効果も得られる他、汚れを落としながら栄養を与えてくれます。

  • <M.モウブレィ>
    「クリームエッセンシャル」1,870円
    商品を見る

池澤 革の色が落ちしてしまうか心配ですが…。
齊藤 革本来の油分と染料がくっついたものが落ちているだけで、直接的に染料が落ちているわけではありません。ただ、手染めや後染めの皮革にはデリケートなものもあるのでご購入時にケア方法も確認しておきましょう。
池澤 これも靴と同じように、まず目立たない場所でクリームを使ってみるのが大事ですね。ブラシは馬毛がいいんですか?
齊藤 馬、豚、山羊などいろんな種類のブラシがありますが、馬毛で大丈夫です。スエードにも使えますが、スエードには靴にも使うゴム状のブラシを使って、スエード専用栄養スプレーをおすすめします。
池澤 またコードバンには専用クリーム「コードバンクリーム レノベーター」を使ってください。コードバンの補色・栄養・ツヤ出しのほか、ガラスレザーの補色・ツヤ出しにも使えます。ブライドルレザーにも使えますよ。薄く塗ってブラシをかけるとツヤが出ます。

*革の状態や風合いによっては色移りする場合がございますので、ご使用の際はご注意ください。

ツヤを出さず皮革の風合いを活かす保湿用クリーム

  • <M.モウブレィ>
    「デリケートクリーム」(50mL)1,100円
    商品を見る

保湿用の「デリケートクリーム」は、革に潤いを与え、乾燥やひび割れを防ぎます。鞄のシミの原因の多くは「油」ですが、デリケートクリームは油分を抑えめにして、ツヤを出さず皮革の風合いを活かします。水分を多く含んでいるので、革の表面をなでながらクリームを行き渡らせると、洗浄成分はないですが、表面の汚れは拭き取れます。

お手入れの頻度としては、バッグの使用具合によりますが、毎日使っているなら1ヵ月に一回をおすすめします。手入れすると革の風合いを保つことができますので、手間を惜しまずケアをしてください。

【お手入れ応用編①】ついてしまった手垢などの汚れは落とせますか?

  • ケア手順
     
    ① 馬毛ブラシでブラッシングをする
    ② ステインクレンジングウォーターを、クロスにとり優しく汚れを拭き取る。2~3回繰り返し拭き取る
    ③ 乾いたら「クリームエッセンシャル」を布クロスに少量取って、まんべんなく優しく拭いていく
    ④ 再度ブラッシングしてツヤを出す
    ⑤柔らかい布もしくは、グローブクロスで乾拭きする

池澤 靴では汚れ落としの「クリーナー」を使いますが、バッグの汚れ落としはどうしたらいいですか。
齊藤 皮革の汚れ落としの目的は「革の毛穴の中に詰まっている汚れを落とすこと」です。人間のスキンケアで例えるなら、化粧を落としてスッピン状態に戻すことですね。<M.モウブレィ>では「ステインクレンジングウォーター」を使います。皮革の表面の古いクリームの油分などを落として通気性を良くします。さらに、汚れを落とした後には、クリームを使って栄養を与えてください。
池澤 靴は、履き下ろす前に革にクリームを与えてから履き始めると言いますが、レザーバッグも同じですか?
齊藤 同じですね。皮革製品が出来上がってからお客さまの手に渡るまで時間があるので、革はスッピンではなく敏感肌のような状態だと考えてください。使う前に、ブラッシングして、クリームを与える基本のケアでOKです。

【お手入れ応用編②】基本のケアに+αで水濡れを防ぎたい

池澤 「もっと手軽にケアしたい」という方に適したおすすめアイテムはありますか。
齊藤 スムースレザー(表革)用ですが、スプレーの栄養剤「ナッパケア ソフトレザー用 栄養・防水(はっ水)スプレー」を推奨します。このスプレーは、防水(はっ水)成分が含まれているので、全体にかけてあげるだけで、皮革ケアの役割と防水(はっ水)効果が得られます。
池澤 梅雨時期には欠かせないスプレーですね。私は出かける前に防水(はっ水)スプレーを使いますが、どういうタイミングで使うのがベストですか。
齊藤 <M.モウブレィ>の「ナッパケア ソフトレザー用 栄養・防水(はっ水)スプレー」は、短時間で乾きやすいので、お出かけ前にお使いいただけます。 雨対策として「防水(はっ水)スプレーだけでOK」という方も多いですが、防水(はっ水)スプレーをかける前にもお手入れが必要。たとえば天然素材の牛革は、水が染み込みやすい部分とそうでない部分があり、その境目がムラになりやすいです。そこで、防水(はっ水)スプレーをかける前にクリームを塗ってコンディションを整えておくと、よりダメージを受けにくくなります。

  • <M.モウブレィ>
    左:「プロテクターアルファ ラージ(撥水・防汚スプレー)」(300mL)2,200円
    商品を見る
    右:「ナッパケア ソフトレザー用 栄養・防水スプレー」1,650円

齊藤 汚れ落としのステインクレンジングウォーターは、雨に濡れた後の靴に、にじみ出てくる白い汚れ(塩分)にも使えますよ。
池澤 この「プロテクターアルファーラージ オールマイティ 撥水・防汚スプレー」はどんなときに使うスプレーですか。
齊藤 皮革製品だけでなく、革や布地などオールマイティな素材に使える、はっ水・防汚スプレーです。雨や雪、ホコリ、ゴミ、油分などの汚れをプロテクトし、防水(はっ水)と防汚効果があります。靴やバッグにはもちろん、雨が激しいときは傘にもお使いください。

 

 

Photo&Text:ISETAN MEN‘S net


*価格はすべて、税込です。

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メンズ館地下1階=バッグ
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