“南イタリア2大ジャケットブランド”は

優れた技をもつテーラリングブランドがひしめく南イタリアのなかでも、一頭地を抜いた人気を博す<タリアトーレ>と<ティト アレグレット>。その魅力と人気の秘密について、クラシックに深い知見をもつプロが意見を交わし考察。この春発刊した『THE GENTLEMEN CLOTHING & ACCESSORY SPRING & SUMMER 2025』より、その内容をご紹介。
優れた技をもつテーラリングブランドがひしめく南イタリアのなかでも、一頭地を抜いた人気を博す<タリアトーレ>と<ティト アレグレット>。その魅力と人気の秘密について、クラシックに深い知見をもつプロが意見を交わし考察。この春発刊した『THE GENTLEMEN CLOTHING & ACCESSORY SPRING & SUMMER 2025』より、その内容をご紹介。
ロングセラーの「モンテカルロ」。スタイリッシュにシェイプされたウエストや色気のあるラペルのカッティングなど、<タリアトーレ>らしい攻めが効いた顔つきが魅力だ。Tシャツの上にサラリと羽織る装いもサマになる一着。
南イタリアらしく肩周りの仕立ては軽やかで着心地も快適。素材もライトウェイトなウールを採用し夏場まで対応する一着に。シックな濃紺は合わせる服も選ばない。
ナポリのサルトリアスタイルを巧みに再現したクラシックな顔つきが<ティト アレグレット>の真骨頂。裾まで通したフロントダーツや幅広のラペル、首にぴったりと沿ったノボリなど、当地の伝統的な美意識が随所に宿っている。
ナポリを象徴する仕立てのひとつ、雨降らし袖。柔らかなギャザーが洒脱さを演出する。素材はシルク・リネン・コットン三者混。表情豊かな風合いに目を奪われる。
南イタリア発のイタリアを代表するこの2大ジャケットブランドは、なぜここまでの支持を得ることができたのか。イタリアを初めとした各国のテーラードウェアのバイイングを手がける識者3人が意見を交わし、その理由と両ブランドの魅力について考えた。
稲葉 南イタリアらしい仕立てを体感できるエントリージャケットとして、長らく<タリアトーレ>に並ぶブランドがありませんでしたが、<ティト アレグレット>はインポートブランドの価格が上がる中で、久しぶりに同価格で勝負できるブランドの登場といえるのではないでしょうか? お二人は今までのバイイングや展示会での経験を経て、両ブランドをどのように見ていますか?
福島 <タリアトーレ>はウエストのシェイプや存在感のあるラペルなど、わかりやすくスタイリッシュなのが魅力ですよね。そしてそれが「モンテカルロ」というアイコニックなモデルで表現されている。最近では、現代的で軽やかな仕立ての「ダカール」も人気です。ラペルのアイコンピンがなくても<タリアトーレ>だとわかるのも流石ですね。
稲葉 価格を抑えつつも時代に合わせたアイコニックなモデルを提案しているというのは、お客さまにブランド自体の魅力も伝わりやすいでしょうね。
高田 時代の変化を取り入れるのがとても上手いんですよね。
稲葉 一方<ティト アレグレット>は、ここ2、3年で人気が一気に高まっていったブランドと言えるのではないでしょうか。高田さんはビームスでのバイヤー時代に結構扱っていたかと思いますがどのように見ていますか?
高田 見た瞬間にわかる、ナポリ仕立てのブランドと言えます。王道ナポリスタイルのジャケットがこの価格で手に入るというブランドは他にはないのでは?
稲葉 しかも、ナポリ仕立てに上質な英国やイタリアの生地をのせるという、服好きがみんな求める仕様を提案できるのも魅力ですよね。そのクオリティのジャケットを約20万円で提供できるのは驚きます。
高田 元々ディレクターのティト氏が欧州のラルフローレンのディスプレイを手掛けていただけあって、センスが非常に優れているなと。ナポリ仕立てながら都会的なムードがありますよね。
福島 両ブランドともディレクターが非常にアイコニックです。実際にアイテムを好きになるきっかけとして、ディレクターのスタイルが気になったという方も多いのではないでしょうか?
高田 また、両ブランドとも企業努力がすごいんですよ。<ティト アレグレット>は、日本人の体型に沿ったパターンで仕立てられますし、私がかつてビームスでバイイングしていたときよりも着心地の良さは増しているかと。ナポリらしい感性を発揮しつつ、日本の市場へ向けて縫製やパターンを綿密に修正できるブランドはそうありません。
福島 <タリアトーレ>もピーノ氏が自分で仕上がりをスケッチしてパターンを引けるので、イタリアの展示会でもう少し直したいなという点があると、その場でサンプルの縫製をほどいてこちらのイメージ通りに作り変えたりしてくれます。
稲葉 どちらも綿密な物作りができて、細部のクオリティにこだわる日本人の感性にはとても合いますよね。細部を修正するときのスピード感もありますし。
福島 それに両ブランドとも今の潮流であるミックススタイルにも馴染むような懐の深さを感じます。クラシックの範疇を守りつつ、今らしいシルエットや空気感を取り入れているので、イタリアの服以外と合わせても抵抗がないですね。実際ティトさんは、足元にレッドウィングを履いていたりしますし。
高田 この2ブランドは、時代を捉えてゆとりを出したりイージーな仕立てにしたとしても、袖を通すとどこか色気があってかっこいい。それって本当に凄いことだなと。羽織ったときの男性的なプロポーションが、トレンドを取り入れていたとしてもしっかり残っている。クラシックなスタイルの範疇の中で、ほんのり今の気分を取り入れているんですよ。このバランスが絶妙です。
稲葉 実は、少し前までは30万円台のサルト仕立ての服が好きなお客さまは、正直この価格帯のジャケットにはあまり興味をもっていただけなかったんですよ。でも最近では、両ブランドのようなクリーンでトレンド性のあるジャケットの人気がとても高まっています。かつてのように、イタリアブランドのジャケットはイタリアテイストで固めるという着方ではなく、今らしいミックスした着こなしを楽しんでいただけるようになっているからでしょうね。<タリアトーレ>と<ティト アレグレット>は、そんな都会的なジャケットスタイルにぴったりなのではないかと思います。
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