【徹底ガイド】メンズ香水(フレグランス)の選び方・つけ方
お気に入りのスーツのように、自分に合った香り(フレグランス)を持っていますか?香りはとても感覚的なものですが、だからこそ上手に使いこなせば、個性を表現するアクセサリーのように自分の魅力を何倍にも輝かせることができます。今回は、フレグランスの輸入・営業・販売に携わり、男性の香りに精通している白石 謙さんの監修のもと、フレグランスの“基本のキ”をご紹介します。
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白石 謙
「ART EAU」ディレクター/フレグランスキュレーター
2003年よりバイヤー・商品や店舗開発・海外仕入れなど経験を通して、ヨーロッパの“ニッチフレグランス”とその作り手に惚れ込み、2020年にフレグランスプロジェクト「ART EAU/アールオー」をスタート。ブランドのディストリビューターとして、ユニークで個性溢れる香水を紹介する香りの伝道師。好きな香りはグリーン系/ウッディ系。
香水 (フレグランス)の定義
肌につける香りの製品(フレグランス)を総称して「香水」といい、主成分の香料アルコールのうち、香料の濃度(賦香率)によって、オーデコロンからパルファンまで、4つの種類に分類されます。ただ、香料の分類は規則で決められているわけではないので、ブランドや調香師が決めたカテゴライズになり、現在はオードパルファンが主流です。
白石さんによると最近はフレグランス業界全体で、20代も男性も高額な香水を購入するケースが増えているそう。コロナ禍になって味覚や嗅覚への関心が高くなり、おうち時間が増えたことでルームフレグランスなどに興味が出て、ファッションより自己表現がしやすい香水がトレンドになりつつあるとのこと。香水メーカーやメゾン系ブランドも、世界的に旅行や移動の制限がある中で、森林や海・太陽・公園などをイメージさせる“自然を感じる香り”にシフトしています。
男性が香水を使う「3つの理由」
香水は、「自分の好きな香りを楽しむ」ものですが、たとえば自己のアイデンティティーやパーソナリティーの表現だったり、好きなブランドの服と一緒に身につけたり、贅沢な気分になりたいときや気分転換、ときにはマナーや相手に対しての驚き・サプライズを与えるために使うことも。
1、コミュニケーション
男性が香水を使う理由の一つは「コミュニケーション」。自分の好きな香り・良い香りを身につけて、相手に自分の存在や個性を伝えるコミュニケーション手段の一つがフレグランス。香りを相手に気づいてもらうことで、身だしなみや清潔感を感じてもらったり、ファッションセンスやスタイル、パーソナリティーなどを香りで伝えます。
2、リフレッシュ
もう一つは「リフレッシュ」。香りが気分のスイッチを変え、豊かな気分や幸せでポジティブな気持ちに変化。香りによって自信がついたり、活動的・積極的になったり、逆にリラックスしたり、集中したい時間に使ったり、気分転換におすすめです。
3、セダクション
最後は「セダクション」。Seductionとは誘惑。香りによって自分の個性やパーソナリティー、イメージを表現して、相手や異性の興味・関心を惹いたり、魅了するために香りを纏います。
相手や仲間を意識して使う香り、自分を奮い立たせたり、癒やしのために使う香り、ここぞというときに使う香りを使い分けると、フレグランスの世界が大きく広がります。
まずは「シーン別に3つ揃える」がおすすめ
自分で買ったり、プレゼントしてもらった香水一本をずっと使い続けていると、どうしても惰性になりがち。次に説明するシーンや気分にあわせて香りを選び、意識的に使い分けると、毎日の生活にリズムが生まれます。
1、日常的に普段使いするいつもの香り
たとえば、月~金曜の朝、出勤前につける香りや、スポーツジム終わりにつける香りなど、普段の自分が気持ちよく過ごせる“使用頻度が高い”香水を一本。
2、気分転換で使いたい香り
週末のオフの日やバケーション、就寝前など、気分によって気まぐれに使う“遊びの香り”も一本。普段使いする香水とは異なる系統の香りや新作などを試すのも◎。また、春夏・秋冬など季節によって香りを選ぶのも、四季のある国に住む私たちの特権です。
3、特別なとっておきの香り
大切なデート、出会いを期待するパーティーなど、ここぞというシーンで纏う“よそゆきの香り”もぜひ一本。特別なレストランでの食事なども、ウッディ系なら店の雰囲気に馴染むものです。メゾン系ブランドのフレグランスが好みなら、普段使いはオードパルファン、よそゆきには濃度の濃いパルファンにすると、好きな香りが長く続きます。
上記のような3つの香水の使い分け・ラインナップは「ファッション」にも当てはまって、たとえば、「スーツやジャケットスタイル」のときには、スパイシー・ウッディ系を使ってシックな印象をプラスしたり、プレゼンなどのときにはシトラス系など爽やかな香りを使ったり。週末の「スニーカースタイル」のときは、自分が楽しくなるフルーティーな明るい香りを、「モード」に決めたいときはオリエンタルやレザー、タバコなど個性的で深みのある香りを使い分けるのもカッコイイもの。もちろん、自分が好きなブランドのフレグランスならいつでもご機嫌です。
香りの種類
肌につける香りの製品(フレグランス)を総称して「香水」といい、主成分の香料アルコールのうち、香料の濃度「賦香率(ふこうりつ)」によって、それぞれの種類に分類されています。賦香率が高いと香りの持続時間が長く、低いと短くなるのが特徴です。賦香率によって下表のような種類に分けられます。
初めて香水をつける人は、香りが軽いオーデコロンやオードトワレなどで鼻を馴らしていくのがおすすめです。
時間とともに変化する香り
香水は、数十種類~百種類以上の香料が調合されています。肌にのった瞬間から、時間の経過とともに香料が次々と顔を出して、表情豊かに香りが移り変わります。香水の香りの調香(構成)はピラミッドで表現され、「ノート(香調)」という言葉で表現されます。
メンズ館1階 コスメティクスで香水を選ぶときの秘訣は、香りを試す「試香紙」にシュッと吹きかけて嗅いだ第一印象(トップノート)で決めないこと。香水を作る調香師は、ミドルノートの構成に最も力を入れています。
お気に入りの香りを見つけるおすすめは、まず購入候補を2つに絞り、左右の手首にそれぞれを適量つけます。そして、地下1階の紳士靴や鞄、5階のテーラード、6・7階のオーセンティックなどでお買物をして、8階のカフェでお茶して、約2~3時間。そこでメインの香りのミドルノートを嗅いでみて判定しましょう。トップノートからの香りの変化が気に入れば、それはあなたの香りです。
フレグランスをつける箇所はどこ
フレグランスを肌につけるイメージで思い浮かぶのは、「香水を左右の手首にプッシュして擦(す)り合わせて、その手首を首筋(耳の後ろ)に当てる」もの。でも、手首につけて擦り合わせると、香りの粒子がつぶれてしまい、香水ならではの香りの変化が壊れてしまいます。
昨年の特集記事「自分に合ったフレグランス(香水)探し」でも話題になりましたが、「香水は体温に温められて、下から上に香り立つ」という特性を活かして、出かける前、洋服を着替えるタイミングで、腰から下のウエスト周り・内もも・膝の裏・足首など、皮膚が柔らかくて動脈が通っていて、体温が高いところに5~6プッシュ(1プッシュを5~6箇所)するのが目安です。
そうやって清潔な素肌に直接つけて、洋服を着ると、内側に香りをしまい込むようなかたちになり、外で人と接する頃に、ちょうど品良くほんのりと香ります。
香水を上手に使いこなすコツは、肌から20cmほど離してしっかりスプレーすることと、TPOによってつける位置を調整するのも大事。上のようなつけ方は“自分が香りを楽しむ”のに適していますが、“相手に香りを感じてほしい”なら、人前での仕草でよく動く手首や手の甲・肘の内側・肩・首・肩甲骨など上半身につけるのをおすすめします。衣服やアクセサリーに直接つけることは避けましょう。
また、難しいのが「香水をつける適量」。自分にも相手にも心地良い香り方を目指すなら、先に説明した“下半身につける”のがおすすめです。
フレグランスの選び方
香水の選び方は、大好きなブランドのものや、いわゆる定番として長く愛されているものから試すのがおすすめです。もちろん、ボトルデザインやパッケージなど、“デザインで選ぶ”もOKですが、初めて使うフレグランスは、小さな容量のボトルを買うのも賢い買い方です。
フレグランスを選ぶときは、生産国に注目しても面白いです。フレグランスはヨーロッパが主流ですが、たとえばフランスならフランス料理のソースのように、何で構成されているか分からないように作るのが特徴。一方でイギリスやイタリアは、香りの素材を活かした作りが得意で、イタリアなら柑橘系を使った太陽のような香りが人気です。