
〈大峽製鞄〉の本社工場で、鞄職人たちが時間をかけて丁寧にバッグを作っているのを見て連想したのはオーダースーツです。クオリティも高く貴重な素材を吟味しながら、細心の注意を払って裁断、縫い上げていく様は、見ていて飽きることはありません。
今回は、日本橋三越本店 紳士雑貨バイヤーの髙塚 佳伸が、都内にある〈大峽製鞄〉の工場を訪れました。11月18日(水)から行われる「ザ・ダレスバッグ」受注会に向けて、手仕事から生まれる品々に対するこだわりを、ブランドマネージャーの南谷 誠さんと、専属の職人から直接伺いました。
専属の職人により限られた本数しか作れない「ザ・ダレスバッグ」をオーダーで
〈大峽製鞄〉ザ・ダレスバッグ オーダー 319,000円から
髙塚 今年も〈大峽製鞄〉の「ザ・ダレスバッグ」の受注会が、11月18日(水)より日本橋三越本店 本館2階 紳士雑貨でスタートいたします。
南谷 今回の受注会では、牛革3~4種類と、当社では「プレシャスレザー」と呼んでいるエキゾチックレザーを使ったゾッキ(本体レザーが1種類)タイプと、ハンドル・角あて・ベロの3か所がコンビネーションになるタイプをお選びいただけます。錠前も〈大峽製鞄〉オリジナルの錠前をチョイスできます。
髙塚 受注会は、コンビネーションを楽しまれるお客さまが多く、プレシャスレザーも人気です。お客さまのセンスを生かしたザ・ダレスをお作りいただけます。特に、収納力を兼ね備えた3気室構造のダレスバッグはなかなかお目にかかれない一品です。
南谷 「ザ・ダレスバッグ」は〈大峽製鞄〉を代表するモデルで、先日も「弁護士になり、先輩のすすめで〈大峽製鞄〉を選びました」というお声をいただきました。しかし、その工程の複雑さから限られた数しか製作できない品です。
髙塚 さすが“士業の鞄”ですね。男の持ちものとしてトップ オブ トップのバッグではないでしょうか。昔の担当バイヤーは、ダレスバッグを持ってイタリアで行われる紳士服見本市「ピッティウオモ」に行っていたと聞いたことがあります。持つと気分が引き締まりますね。
南谷 受注会ではコンビネーションも受け付けますが、同色でまとめるトーンオントーンなら、プレシャスレザーを使っても上品にまとまるので、ぜひ自分だけのオリジナル“ザ・ダレス”をお作りください。
手仕事による鞄作りに拘る〈大峽製鞄〉。もう一つのヒット作の魅力とは
〈大峽製鞄〉ソフト・ビジネス 159,500円
メインスペースに内ポットを備えたシンプルなレイアウトで、見た目にもビジネスバッグ特有の堅苦しさがなく、カジュアルに使いやすいと人気なのが、「ソフト・ビジネス」です。上質なジャーマン・シュリンクはしっとりと柔らかく、見た目以上に荷物を収納できるのも嬉しいポイント。使い込むほどに馴染んでいく風合いは、多くの方々から支持を受けています。
南谷 〈大峽製鞄〉では、「ザ・ダレスバッグ」のようなハードタイプとソフトタイプのバッグを作っていますが、ソフトタイプのベストセラーが「ソフト・ビジネス」です。
髙塚 「ソフト・ビジネス」のようなかぶせ式のバッグは、ジップ式よりクラシックに見えますが、担当バイヤーとしては「こういう鞄がある」ことを知っていただきたいですね。
*価格の記載がない商品(画像手前から三型)は参考商品です。
南谷 特に、「ソフト・ビジネス」をクラシックに感じるのは、ステッチが外に響かない袋縫いをしているのと、差し込み式錠前以外の金具の使用を減らしているからです。
髙塚 サイズは、B4、A4、B5サイズ、一番小さいベビーサイズ(A4、B5サイズ、ベビーサイズは来春展開予定)までありますが、どれも上品で、小さくなるにつれて、パーティーや和装にも持てる雰囲気があります。
南谷 実際、角界のお客さまが、「着物姿にも持てる鞄」として選んでいただいたり、パッと見てブランドの主張が少ない分「お受験用」や、士業の方などにも愛用いただいています。
髙塚 まさにその名の通り、スーツでも着物でも持てる鞄、「ソフト・ビジネス」なんですね。
〈大峽製鞄〉のアイコニックなバッグ、ソフト・ビジネスの作りのこだわりとは
南谷 「ソフト・ビジネス」の作りのこだわりは、直接、職人に聞いてみてください。彼は、イタリアでバッグ作りをしていて、ピッティウオモに私どもが出展したのを見て、「〈大峽製鞄〉で鞄を作りたい」と帰国した腕の良い職人です。
髙塚 職人から見た、この鞄の特徴を教えてください。
菊地 高之(以下:菊地) 「ソフト・ビジネス」は、縫い目が見えないように内縫いで、フラップも繋がって内側に縫われている複雑な縫い方をしています。金具のループ(つまみ)まで袋縫いになっていて、ステッチが目立たないことで、ソフトで上品な顔つきになりますね。
髙塚 持ち手のハンドルも独特の形状ですね。
菊地 ハンドルの内側に使われている革は、表面に使っても遜色のないインポートの革を使っています。
南谷 表革と馴染みが良かったのと、ハンドルは握り心地の良さに直結するので、革好きの方にはハンドルを持ってもらうと違いが分かっていただけるはずです。
菊地 大きなサイズのハンドルは革が5層で厚みがしっかりあるので、使っていて手に馴染んできますね。
髙塚 軽量なバッグは今の時代に求められていますが、しっかり作るところは妥協しないわけですね。5層というのはすごい。
菊地 革を重ねて縫い付けるときにミシンの針が刺さらないときもあるので、ミシンの針のガイドをつけておいてから、針を拾って縫うこともあるほど頑丈です。
髙塚 独特のフォルムと、柔らかいけど密度があるジャーマン・シュリンクの素材の相性もとても良い。
菊地 シュリンクレザーがカタチに合っていますよね。バッグ内のポケットの中の生地を、スマホを入れてもキズが付きにくいマイクロファイバーにするなど、まだまだ進化の途中です。
髙塚 菊地さんは、どうして〈大峽製鞄〉で働きたいと思ったんですか。
菊地 ピッティウオモで〈大峽製鞄〉の鞄を見て、使っている革と作りに感銘を受けました。こういう仕事をしていると、「鞄職人なら扱いたい贅沢な素材でゆっくり作れる」のは、職人冥利に尽きます。
髙塚 なるほど。これからも素晴らしい鞄を期待しています。
〈大峽製鞄〉「ザ・ダレスバッグ」 受注会
開催期間:2020年11月18日(水)~12月15日(火)
開催場所:日本橋三越本店 本館2階 紳士鞄
価格:「ザ・ダレスバッグ」 319,000円から
お渡し期間:約4か月後
Photo:Shimpei Suzuki
Text:Makoto Kajii
*価格はすべて、税込です。
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