ていねいな手仕事から生まれる、喜びの輪。
ワークシェアリングで障がいを持つスタッフが活躍<三越伊勢丹ソレイユ>

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三越伊勢丹のクリスマスキャンペーン『One』。アーティスト・皆川明さんの描き下ろしたメインビジュアルが、さまざまな形で2024年のクリスマスを彩ります。そのひとつが、お客さまへのプレゼントや店内装飾として使用されるペーパーオーナメント。仕上げや包装を担当しているのが「三越伊勢丹ソレイユ」です。障がいを持つスタッフが、自分たちの能力を生かして働くこの場所で仕上げたアイテムが、クリスマスに喜びの輪となって広がっていく。その現場を訪ねました。

88名の障がい者スタッフ、手がける業務は100種類以上。

88名の障がい者スタッフ、手がける業務は100種類以上。

三越伊勢丹ホールディングスの特例子会社である三越伊勢丹ソレイユ(以下・ソレイユ)では、重度の知的障がいを持つスタッフを中心に現在88名が働いています。三越や伊勢丹のグループ店舗で使用するさまざまな包装資材や事務用品の加工が主な仕事です。ギフト包装で使うリボン作成、ボックスの組み立て、伝票への押印や記入等、その種類は100種類以上に及びます。

約5万7千個のオーナメントを、ひとつひとつ。

10月某日、ソレイユでは印刷所から運び込まれたオーナメントの仕上げが行われていました。

約5万7千個のオーナメントを、ひとつひとつ。

日本全国、そして海外の店舗も含め、総数は約5万7千個!開封してすべてを検品し、ゴールドのリボンを手でひとつひとつ結んでいきます。

約5万7千個のオーナメントを、ひとつひとつ。

作業場には、ていねいに仕事に向き合う真剣なまなざしと、続々と完成品ができあがっていく活気ある空気があふれていました。

「友だちにプレゼントしたい」

「友だちにプレゼントしたい」

リボンの端や結び目の位置を美しく揃えるのはなかなか難しいもの。その作業を着々とこなしていたのは、ソレイユでの勤務歴11年目になるIさん。手先が器用で、普段の業務でも複雑なパッケージの組み立てを担当することが多い、たのもしい存在です。「ひもを結ぶ作業は得意なので、難しくないです。楽しいです」と、撮影中も次々とリボンをセットしていきます。オーナメントを見て「友だちにプレゼントしたい」と話すIさん。仕事をする上で、日々の目標は? と尋ねると、「丁寧語をつかうこと。毎日歩いて運動すること」と答えてくれました。職場でのコミュニケーションや体調管理も意識しているのだそう。

「大切に飾ってもらえたらうれしい」

「大切に飾ってもらえたらうれしい

リボンをつけた後、袋に封入する作業をしていたのがYさん。「リボンをきれいにそろえて入れるのが最初は大変そうと思ったけど、慣れてきて今は楽しい」と話します。「とてもかわいいので、大切に飾ってもらえたらうれしい」と、思いを語ってくれました。

お客さまへのサービスを支える、縁の下の力持ち。

「現在ソレイユで行っている作業は、どれもかつては店舗のスタッフが行っていた仕事です。それをソレイユに集約していただくことで、店舗の皆さんには本来業務に集中していただける。そのような役割を担っています」と話すのは、指導スタッフの鈴木由美さん。

お客さまへのサービスを支える、縁の下の力持ち。

鈴木さんは長年伊勢丹新宿店で働いた経験があるからこそ、ソレイユの仕事が店舗の大きな支えになることを実感していると言います。ソレイユが付帯業務を行う事で、店舗では年間約66,000時間もの業務削減に繋がっているという試算も。

仕事を通して成長する喜び。それを支える喜び。

鈴木さんは10年ほど前にソレイユへの異動を希望し、障がいのあるスタッフが活躍するための環境づくりを担当するようになりました。
「ここにいるスタッフは、ひとつの物事に集中して、反復作業をすることが得意。手先が器用で精緻な作業をできる人も多くいます。お客さまの手に渡るものを高いクオリティで整えることは、百貨店のサービスの品質向上にも繋がっていると思います」。

仕事を通して成長する喜び。それを支える喜び。

「スタッフは、個性や得意不得意があります。それでも、できる作業だけではなく、あえて苦手な作業や新しい業務にもチャレンジしてもらいながら、複数の業務をできるようにスキルアップを図っています。だれでも、自分が成長することを感じられると嬉しいですよね。ソレイユの仲間も、お互いに刺激し合いながら、職業人として日々成長していっている。それをそばでサポートできるのが、私にとっても喜びです」。

仕事を通して成長する喜び。それを支える喜び。

だれかの喜びが、ほかのだれかの喜びへとつながっていく。そんな『One』のコンセプトを象徴するような、今回のペーパーオーナメント。クリスマスのひとときに、喜びの輪をそっと広げます。

三越伊勢丹ソレイユ

ワークシェアリング(得意な人が得意なことを行なう働き方)の考え方で、三越伊勢丹全体の生産性向上に取り組む会社。障がい者メンバーが得意とする、精度と持続力が求められる単純反復作業を中心に、会社が必要とする業務を担う。

2004年(株)伊勢丹ソレイユを創業。
2011年三越と伊勢丹の会社統合に伴い(株)三越伊勢丹ソレイユに社名変更。
2017年障がい者の活躍を推進する企業として、東京都の「障害者雇用エクセレントカンパニー賞」を受賞。
2022年(公財)東京しごと財団「障害者委託訓練事業」の受託機関に認定。企業就労を目指す障がい者の役に立つ、知識や技能習得を目的とした受入れ研修を行っている。