【インタビュー】「ありたい自分」を自由に表現してほしい|<エブール>チーフデザイナー 古屋 ユキ

【インタビュー】「ありたい自分」を自由に表現してほしい|<エブール>チーフデザイナー 古屋 ユキのメインビジュアル

「自分と装いの、新しい現在地。」をコンセプトに、2023年9月20日(水)に伊勢丹新宿店 本館3階にオープンする「コンテンポラリー」。新ゾーンにラインナップされる<ebure/エブール>は、引き算と足し算のバランスが絶妙な服をいち早く提案したブランドです。ディレクター兼チーフデザイナーの古屋 ユキさんに、コンテンポラリーな服やブランドについてお話を伺いました。聞き手はコンテンポラリーゾーンの立ち上げに携わった本館3階のバイヤーです。

伊勢丹新宿店 本館3階 コンテンポラリー

周囲との調和を大切にしながらも、ファッションを通じて自分自身をアップデートできる程よく旬なリアルクローズと出会えるゾーン。「Classy(品)」な大人の余裕を感じさせる洋服、「Gorgeous(華やか)」な大人の遊び心がある洋服など、時流を超えて洗練されたファッションが揃う。

&C.project

「&C.(アンドシー)project」とは、「Creator」と「Creation」することで独自性のあるオリジナルアイテムを生み出す伊勢丹新宿店 本館3階 コンテンポラリーの独自プロジェクト。伊勢丹新宿店からのテーマに合わせて、デザイナー自身が捉えた時代性を反映したアイテムを提案。

コンテンポラリーな服とはデザインではなく思想

伊勢丹新宿店としては<エブール>とも古屋さんとも長くお付き合いをさせていただいていますが、本館3階に新設されるコンテンポラリーゾーンについてどう感じましたか

<エブール>ジャケットの画像

古屋:コンテンポラリーという言葉の意味だけで考えてしまうと<エブール>としては現代的であることは意識はしていないので、最初は展開ブランドのひとつとして声をかけていただいたことに少し驚きもありました。ただ、大人の女性のためのリアルクローズについて独自性を追求するという考えには共感できましたし、おもしろいファッションゾーンになりそうだと思いました。

─伊勢丹新宿店としては「現代を生きる女性のリアルクローズを提案する」という解釈で「コンテンポラリー」という名称にしたのですが、古屋さんが思うコンテンポラリーなファッションってなんでしょうか。

古屋:<エブール>は「長く着続けることができる服」というのが服作りの根底にあるので、決してコンテンポラリーなデザインを追い求めることはしていません。だからといってベーシック一辺倒といえばそうではなく、エッセンスとして「今っぽさ」や「時代の空気感」というのも少しずつ散りばめているつもりです。私にとって「コンテンポラリーな服」というのは表面的なデザインなどではなくて、思想のような気がします。

─コンテンポラリーな服とはデザインではなく思想というのは、常に本質的な上質さを追求している<エブール>らしい気がします。

<エブール>商品の画像

古屋:<エブール>は「さらに人生を楽しむという気持ちを掻き立てる服」をコンセプトにしているのですが、それはあらゆる事を経験してきた、あらゆるファッションを楽しんできた大人の女性が辿り着く「これが好き、心地よい、こうありたい」という感覚を大切に、自信をもって人生を豊かに楽しんでもらいたいからです。大人になった自分のアンテナがキャッチした服で自分自身のライフスタイルを構築してほしいという<エブール>の考え方と、伊勢丹新宿店のコンテンポラリーゾーンが提案したいことは近しいような気もしています。

─「人生をより楽しむ服」というと鮮やかな色や華美な装飾をイメージしてしまうのですが、<エブール>はどちらかといえばそれとは対極にありますよね。

古屋:見た目がすごくシンプルであっても、削ぎ落すからこそ浮かび上がるフォルムやディテールは人の心を大きく揺さぶりますし、高揚させると思っています。ブランドの販売スタッフが展示会で初めてシーズンの新作を目にしたときに自然と歓声が上がったりすることもあります。お客さまが商品に触れて笑顔になる瞬間はもちろん、そんな人の心が揺さぶられる瞬間に立ち会えるのはデザイナーとしてはうれしいことです。派手なデザインはわかりやすいかもしれないですが、ポジティブな気持ちにさせてくれる服って見た目だけではないですよね。

素材とデザインのバランスが良い商品を生む

─古屋さんが<エブール>の服をデザインするうえで大切にしていること、意識していることはありますか。

デザイナー古屋 ユキさんの画像

古屋:私はディレクターでありチーフデザイナーなのでチームを率いる立場ではあるのですが、独断でシーズンコレクションの方向性を決めたりすることはありません。チームの声を聞くことを大切にしています。いろんなメンバーの声を聞いても<エブール>らしさがブレることがないのは「長く愛せる服」、「大切にしたくなる服」について全員の価値観が同じだからだと思います。そこにそれぞれが感じる「今の気分」や「時代の空気感」を散りばめて、常に鮮度のある店頭を心掛けています。

─<エブール>らしい価値観というと、シーズンが変わっても、アイテムが変わっても、素材にこだわっているというのはすごく感じます。

古屋:私を筆頭にデザインチームの全員が素材が大好きです。まずは使いたい素材を決めてから何を作るか、どうデザインするかを考えています。<エブール>はインポート素材を多く使用していますが、実は国産生地も多いんです。色や柄だけでなく、糸の段階からこだわって生地を作り上げたいと思ったときに、それに応えてくれる日本の職人技をすごくリスペクトしています。シンプルでベーシック、それでいてフォルムが美しく、着心地もいい服、それを生み出すのが素材のクオリティだと思っています。<エブール>の服は高いと感じている方もいらっしゃるかもしれませんが実際に着てみる、触れてみることで納得いただけると自分たちでは思っています。素材は生き物ですから、仕上げや加工へのこだわりでクオリティには大きな差が現れます。

─理想とする生地との出会いを求めて、古屋さん自身も産地を巡ったりしているのですか。

古屋さんが商品を紹介する様子の画像

古屋:秋冬のコート生地だったら尾州だったり、シーズンによって主な産地を訪れますし、以前はパリの生地見本市のプルミエール・ヴィジョンにも足を運んでいました。ブランドの定番素材であっても少しずつ見直していますし、煌めきの気分だなって思ったらラメ糸を使った生地を選んだり、色でアクセントをつけたり、こだわりがあるからこそ生地はずっとアップデートの繰り返しですね。

ブランドの世界観がより伝わるような空間作りを

─伊勢丹新宿店のコンテンポラリーでは、ブランドと一緒にオリジナルアイテムを共創する「&C.project」もスタートします。もちろん<エブール>にも手掛けていただきました。

  • <エブール>ジャケット・スカートの画像

    エブール
    ジャケット 143,000円 [伊勢丹新宿店限定]
    スカート 121,000円 [伊勢丹新宿店限定]
    □伊勢丹新宿店 本館3階 コンテンポラリー
    ※2023年9月20日(水)からの販売です。

古屋:伊勢丹新宿店限定のジャケットとスカートは<Loro Piana/ロロ・ピアーナ>のウール生地で仕立てました。<エブール>はマニッシュな雰囲気のアイテムを女性らしく仕上げるのも得意なことのひとつなので、ダブルブレストのジャケットはウエストを緩やかに絞って、スカートにもたっぷりのプリーツを入れています。そのうえでテーラードのかっこよさは大切にしたかったので、ジャケットはカラークロスや胸の増し芯で構築的に仕上げています。主にメンズスーツに用いられている生地なので単品で見ると色柄や素材の表情はメンズライクかもしれませんが、セットアップで着こなすことで女性らしい華やぎが生まれます。

  • <エブール> ジレの画像

    エブール
    ジレ 121,000円
    □伊勢丹新宿店 本館3階 コンテンポラリー
    ※2023年11月上旬の販売です。

古屋:ジレは<エブール>でもベストセラーで、これまでもさまざまなデザインパターンを作ってきました。どちらかといえばクールなイメージのある<エブール>ですが、今回はフェミニンな華やぎを添えたくて、取り外しのできるオストリッチの羽を前立てに付けました。ウールシルク生地はハリ感も凛とした光沢感もあるので、甘い雰囲気になり過ぎることもありません。クリスマスや年末など街が華やかになるシーズンは羽をつけて、仕事やデイリーには羽を外してすっきりシンプルに楽しんでほしいです。

─コンテンポラリーゾーンとしても伊勢丹新宿店らしいアイテムの提案を<エブール>には期待しています。

<エブール>の世界観を写真で紹介する画像

古屋:<エブール>の世界観を表現するうえで大切にしていることは、「ビジュアル」と「空間」です。コンテンポラリーゾーンが新設されて、<エブール>としてもショップとして構えることができて、品揃えから装飾まで含めてこれまで以上にブランドの世界観を表現できると私自身もワクワクしています。アイテムの提案ももちろんですが、お客さまに心地いいと思っていただけるような空間を伊勢丹新宿店と一緒に本館3階に作っていきたいです。

伊勢丹新宿店 本館3階 コンテンポラリー オープン記念プレゼント
オープン記念プレゼントの画像

9月20日(水)から伊勢丹新宿店 本館3階 コンテンポラリーの<エブール>にて、エムアイカード プラスで110,000円以上お買いあげの先着45名さまに、コートと同じインポート素材を使用したオリジナルトートバッグを差しあげます。
プレゼントはなくなり次第終了いたします。