2024.3.1 UP
干物をはじめ、全国から選りすぐったバラエティ豊かな魚加工品が手に入る<魚勢>。高品質スーパーマーケット<クイーンズ伊勢丹>を展開するエムアイフードスタイルが運営する同店の強みは、創業から約30年に渡って築き上げた、各地の港や優れた加工業者とのネットワークにある。
メイン商品の干物は店頭に常時25種類ほど並び、季節ごとの旬魚や定番はもちろん、産地でしか売られていないようなレアものまで幅広く扱う。そのひとつが、長崎県のブランド魚として知られる「ごんあじ」の干物だ。同県の五島灘で漁獲される真あじのうち、重量が250g以上ある瀬付きのあじは、「ごんあじ」と呼ばれている。
海上の生け簀で7〜10日“活かし込み”をしたのち、長崎魚市場で水揚げされる「ごんあじ」。
市場で選別され、出荷を待つ。主な用途は刺身で、干物として加工される数はあまり多くない。
旋網で獲った「ごんあじ」はすぐに水揚げせず、生きたまま海上の生け簀に入れて、餌をやらずに7〜10日間ほど“活かし込み”をする。こうすることで、漁獲時のストレスで筋肉に溜まった乳酸が減り、旨みのもとになる脂が全身にじっくりと行き渡るのだとか。“活かし込み”を経てようやく水揚げした「ごんあじ」の体表面に見られる特有の黄金色は、おいしい脂がしっかり乗っている証。多くが各地の高級料亭などで刺身用に卸されており、これを丸ごと味わえる大きな干物は、ほとんどが地元でしか手に入らない貴重な品だという。
長崎市にある加工所。丸々と太ったごんあじは機械で開いたのち、人の手で丁寧に内臓を取り除き、洗浄される。
開いた「ごんあじ」をケースに並べ、塩水に漬け込む。
塩水に漬けた「ごんあじ」の開きを冷風乾燥機に入れ、21度の温度で約1.5時間をかけて乾燥させる。
全体にまんべんなく風が当たるように、しっかりと隙間を開けて並べるのがポイント。
長崎県産 真あじ(ごんあじ)(1枚)1,080円
冷風乾燥機で手早く乾燥させて仕上げる「ごんあじ」は、分厚い身の中にジューシーな脂がしっかりと閉じ込められている。ぷりっとした弾力ある食感は食べ応えも十分で、脂の旨みが口いっぱいに広がる。この脂をできるだけ落とさぬよう、中火のフライパンにクッキングシートを敷いて、ゆっくり、ふっくらと焼き上げるのがおすすめだ。
大皿いっぱいに乗せる「ごんあじ」はもはやごちそう。まずは何もつけずに身の旨みを味わいたい。
<魚勢>では、同じ干物でも品揃えの“幅”を大切にしているという。干物の定番といえば“あじ”だが、紹介した「ごんあじ」の他にも通常サイズの真あじやみりん干し、味わいにちょっとクセのある「むろあじ」まで、そのラインナップは幅広く、店頭を訪れるたびに違う味を吟味できる楽しみもある。
また、今どき他店では見かけなくなった“大辛”の紅鮭や、好む人にはたまらない珍味の「くさや」など、昔ながらの加工品にも根強いファンがおり、取り扱いを続けている。「この味でなければ」というこだわりある常連の声が、<魚勢>の豊かな品揃えを支えているのだ。
国産 むろあじ(1枚)378円
“くさや”の原料にもなるむろあじは、脂分は少ないものの、ひとクセある風味で酒の肴にぴったり。噛むほどに旨みが出てくる。
※産地は時期によって異なります。
北海道産 真ほっけ(1枚)1,296円
上品な脂乗りと柔らかな身質が自慢の大きな真ほっけは、酒肴の定番。家族や仲間たちとゆっくり家飲みしたい時にもちょうどいい。
ノルウェー産 さばみりん(1枚)648円
脂乗りの良さに定評あるノルウェー産さばの柔らかな身に、みりんの香りが染み渡る。ほどよい甘辛さが後を引く。
カナダ産 紅鮭(大辛塩味)(1切)1,080円
鮮やかな色をした紅鮭は、引き締まった身がご飯のお供に最適。“大辛”は減塩志向の現代では見かけなくなったが、<魚勢>では古くからのファンに求められている品だという。
しっかり塩味が効いた大辛塩味の紅鮭は、おにぎりの具にもぴったりな商品。
※画像は調理例です。
ほかにも店頭では、ギフトにぴったりな魚介類の瓶詰や脂の乗った国産鰻の蒲焼、熱海の有名干物店<干物屋ふじま>の商品などに出会えることも。全国の港町を旅するような気分で、ショッピングを楽しみたい。
Text : Mako Kobori
Photo : Yuya Wada