2024.9.13 UP
まろやかな甘さのプリン生地に、琥珀色に輝くコク深いカラメルソース。口に入れるとなめらかに溶けていく、口溶けのよさも愛される<モロゾフ>の「カスタードプリン」。
誕生したのは60年以上前、1962年のことだ。当時、東京・銀座の近くにあった<モロゾフ>の喫茶店で手作りしていたプリンが評判を呼び、そのレシピを元に1968年により多くの人に味わってもらえるようにと商品化されたのだ。特別な思いがあるプリンであるとともに、今やブランドを代表するロングセラーのひとつになっている。
その「カスタードプリン」のシンプルでやさしい味わいは、発売当初から今も変わらない。材料は、厳選された牛乳と卵と砂糖とわずかなバニラ香料のみ。
さらに<モロゾフ>のプリンといえばおなじみのオリジナルのガラス容器が、おいしさを支えるもうひとつの秘密だ。卵が固まる力だけで独特のなめらかな食感を生み出しているために、内部にじっくりと均一に火を通すことできる形状や角度にまでこだわった、このガラス容器が欠かせないのだという。
<モロゾフ>の喫茶店で手作りしていた当時は、1日に数十個ずつとごくわずかな製造量だった。今では全国で年間650万個以上もの「カスタードプリン」が作られているという。
その製造工程は、まずは大きな釜で牛乳、卵、砂糖、バニラ香料を、50〜60℃で温めながら混ぜ合わせてプリンの生地を作る“仕込み”から始まる。その後はガラス容器にプリン生地、カラメルソースを“充填”、蒸しながら焼き上げる“焼成”、約2℃の水に浸して約50分かけて冷ます“冷却”の順に行われる。
プリンの生地を作る“仕込み”。大きな釜で材料を温めながら混ぜ合わせる。
ガラス容器には、先にプリンの生地を充填する。
その後に比重の重いカラメルソースを充填。するとソースが底に沈み、上に浮くことなくきれいな二層に分かれるという。
高温スチームで蒸していく。
約30分間。卵が自然に固まるまでじっくり蒸しながら焼く。この工程でプリンのなめらかさが生まれる。
約2℃の水に浸して冷ます。
約50分かけてさらに冷却する。
しばらく寝かせて味をなじませてから出荷。すべての工程において人の手と目で厳しくチェックしながら作る。
こうして出来上がった「カスタードプリン」。食べるときはガラス容器のままスプーンですくうだけでなく、お皿に移して味わうのがよりおすすめ。カラメルソースがプリン全体を包むように絡み、甘さとほろ苦さの絶妙なハーモニーが楽しめるからだ。
カスタードプリン(170g/1個)357円
発売当初から変わらない秘伝のレシピで作る、シンプルでやさしい味わい。プリンのまろやかな甘さを、ほろ苦いカラメルソースが引き立てている。
ほかにもロングセラー商品がたくさんある。1986年の発売以来、人気なのがフランス語で“木の葉”を意味する「ファヤージュ」という木の葉型のクッキー。小麦粉と卵をベースにスライスナッツを敷き詰めてパリッと香ばしく焼いた生地にチョコレートをバランスよくサンドしている。
ファヤージュ(12個入/1箱)1,080円
アーモンドにミルクチョコレートやホワイトチョコレート、ヘーゼルナッツにミルクチョコレートやスイートチョコレートを組み合わせた全4種。
伊勢丹新宿店限定の「北海道 根釧クリームチーズケーキ」も見逃せない。北海道根釧の生乳を100%使用したクリームチーズを使い、低温でじっくり時間をかけて焼いたしっとりふんわり食感のチーズケーキを、さらにミルキーなクリームで包みこんでいる。
北海道 根釧クリームチーズケーキ(1本)1,080円【伊勢丹新宿店限定】
2010年から発売。チーズの旨みと軽やかさが人気だ。
チーズケーキといえばもうひとつ、2018年にオンラインショップとして誕生した<みみずく洋菓子店>の「レーヴ・ドゥ・フロマージュ(グリュイエール A.O.P.)」もおすすめだ。リアル店舗でこのチーズケーキを買うことができるのは、伊勢丹新宿店だけだ。
スイスを代表するグリュイエールチーズに、クリームチーズとバターを配合。まるでチーズそのものを食べているかのようなコクや旨み、弾力も楽しめるリッチなチーズケーキだ。甘さと塩気のバランスが絶妙のうえ、粗挽きのブラックペッパーの爽やかな辛さがアクセントになった大人の味わい。
購入できるのは、毎日16時〜閉店までの夕方から夜にかけての限られた時間帯だけ。一日の締めくくりにホッと一息つきながら、ワインやシャンパンなどと一緒に楽しみたくなる特別なチーズケーキだ。
レーヴ・ドゥ・フロマージュ(グリュイエール A.O.P.)(1個)1,404円
※伊勢丹新宿店の一角にある<みみずく洋菓子店>で限定販売。
チーズをゆっくり、じっくりと味わうのに似た感覚で食べて欲しいと、このケーキは約7mmにカットされている。グリュイエール A.O.P.のほか、白カビタイプのブリー ド モー A.O.C.と白いちじくのコンフィチュールを使った2種がある。
Text : Noriko Ozawa
Photo : Yuya Wada