2023.9.15 UP
創業のきっかけは、子育て世代だった社長の松岡まち子さんの「働くお母さんを応援したい」という想いからだった。「男女雇用機会均等法」を受け、女性が社会進出し始めた当時「子どもにバランスの取れた和食を食べさせたい」という考えを抱きながらも、働きながらそれを叶えるのが難しく、時には店屋物で済ませるなど歯がゆい思いをしたこともあったそうだ。そこで、ほっと笑顔になるおふくろの味を届けることで、働く女性の代わりに「お母さん」のような存在となれる惣菜屋を目指すようになったのだという。
「私たちは日本で二番目においしい母の味をお届けできたらという想いで日々試行錯誤してお惣菜を作っています。一番おいしいのはやはり、ご自身のお母様の料理ですよね。そんな料理をどうしても食べることができない時、皆さまの心の支えになれたらと思っています」と、販売促進・デジタルマーケティング部・課長の田中学さん。
店内のカウンターの中央には定番のおかず、サイドには鮮やかな季節のおかずが所せましと並ぶ。
<まつおか>では国産野菜を使った定番のお惣菜のほか、日本の四季が感じられる旬の食材を用いた料理を豊富にラインナップしている。家庭の台所で仕上げるのと同じように下処理を行い、手間暇かけて煮たり焼いたりして仕上げ、伊勢丹新宿店では1日約42種の惣菜を提供しているそうだ。夕方には一部商品の入れ替えを行い、朝とはまた違ったメニューが楽しめる。
「冷めてもおいしい味を意識した惣菜づくりを心掛けているので、温めずそのまま食べられるところも<まつおか>のおかずの魅力のひとつです。味の安定性も重視しており、定期的に覆面調査でクオリティチェックを実施して味のバラつきを防ぎ、毎日同じようにおいしいと言っていただける料理を提供できるよう努力しております」(田中さん)
店内で一番の人気を誇る「生芋こんにゃく」。
そんな数ある惣菜の中でも、圧倒的な売上を誇る「生芋こんにゃく」は、もちっとした食感と甘辛い味わいが病みつきになる一品だ。強火で20~30分炒め煮て仕上げるが、この間均一に火が通るよう、適度に混ぜながら炒め煮ることが重要だという。こんにゃくは煮ている間に膨らんでその後縮むが、身が引き締まったタイミングで火を止めることで、弾力感のある食感を実現しているそうだ。
煮付け出汁や油、唐辛子、調味料などとともにこんにゃくを鍋に入れ、強火で20~30分煮込んでいく。
ぐつぐつ沸騰してきたら全体に均一に火が通るよう、木べらで混ぜながら炒め煮るのがポイント。
チリチリと音がしてきたら水分が飛び、こんにゃくに弾力が出てきた証拠。
水分がなくなり、こんにゃくにしっかりと色が入って身が引き締まったのを確認できたら完成。
こげつかせないよう鍋からは終始離れず、火加減の強い部分と弱い部分を確かめながら、細心の注意を払って調理し、ベストな頃合いを見極めて火を止める。手づくりにこだわる同店の強みは、料理のテクニック以上にその丁寧な仕事ぶりだ。手間を惜しまず、時間をかけて作るからこそ、あたたかなおふくろの味を届けることができるのだ。
生芋こんにゃく(100g)368円
長年不動の人気を誇る看板メニュー。ピリリとした辛みがあと引く甘辛のこんにゃくは、もちっとした弾力感も魅力。強火で炒め煮て断面がベストな色合いになったところで仕上げることで、美しい照りを実現している。毎日のおかずにはもちろん、晩酌のおつまみとしてもぴったりの一品。
飛騨牛すき煮豆腐(1個)584円【伊勢丹新宿店限定】
旨味と甘みを合わせ持ち、繊維が細やかで食感が柔らかな飛騨牛と、店内で手づくりした揚げ豆腐を一緒にどうぞ。とろりとした甘めのタレは、濃厚な味わい。すき焼きのように卵を落としてアレンジするのもおすすめ。
カラスカレイの照り焼き(100g)789円
骨がなく、身がふっくらとしていて口当たりのよいカラスカレイは、リピーターも多い商品。表面はこんがりと焼き上げ、みりんや醤油、手羽先のタレなどを組み合わせた甘辛いタレを合わせている。ケチャップのさり気ない甘みと酸味が隠し味だ。
飛騨牛しぐれ二段弁当(1折)1,458円【伊勢丹新宿店限定】
一段目には大葉がアクセントの名古屋えび天や味がしっかりしみた国産野菜の煮物、なす生姜などのおかず、二段目には甘辛く煮詰めた飛騨牛が、ご飯の上にぎゅっと敷き詰められた贅沢な弁当。伊勢丹新宿店だけで食べられる看板商品。
名古屋味噌カツ弁当(1折)897円
八丁味噌のコクと旨味を感じる、名古屋名物の大きな味噌カツが主役の弁当。低温でじっくり揚げることで中はしっとり柔らかく、表面はサクサクに仕上げたカツは一度食べてみる価値あり。小松菜のおひたしや煮物など、付け合わせも充実。
Text : Tomomi Nakamura
Photo : Mariko Tosa , Yuya Wada