<山本海苔店> 江戸の創業から今に伝わる上質な旨み、香り

2022.10.31 UP

170年以上にわたり、海苔のおいしさを追求してきた<山本海苔店>。「梅の花」は上質な海苔特有の口溶けとともに旨みと香りを心ゆくまで堪能できる一品。旨みたっぷりの海苔の秘密や日本で初めて味付け海苔を作った背景に迫る。

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明治天皇の還幸土産として考案された味附海苔。

嘉永2年(1849年)、江戸は日本橋室町に創業以来、トップブランドとして海苔のおいしさを伝えてきた<山本海苔店>。上質な海苔は、やわらかくて口溶けがよいとされている。確かに、<山本海苔店>の海苔を口にすると、すぐに溶けて旨みが広がり、甘い香りが鼻に抜ける。炊きたての御飯やおにぎりはもちろん、料理のトッピングにしてもおいしい。

「海苔は“旨み成分のかたまり”と言われているんです。他の食材の邪魔をしないので、さまざまな使い方ができます」と広報担当の綿引佑香奈さん。海苔に含まれる旨みとは、昆布の旨み成分である「グルタミン酸」、鰹節の旨み成分である「イノシン酸」、そして、しいたけの旨み成分である「グアニル酸」で、これらは旨みの三大成分といわれ、海苔は天然のもので唯一そのすべてを含んでいる。そして、その旨み成分は、ひとつひとつよりも一緒になった時に、味覚の相乗効果でいっそうおいしくなり、しかも、海苔は旨味成分の量が多いだけでなく、それぞれをバランスよく含むため、旨味成分が助け合って何倍ものおいしさを作り上げているという。

 

また、海苔は栄養価が高く、タンパク質やミネラルのリン、ビタミンA,B,Cや水溶性の食物繊維のほか、普段の食生活で不足しがちな栄養がバランスよく含まれているという。

 

 

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有明海は干満の差が大きく栄養が豊富な豊穣の海。おいしい海苔が育つ条件が揃った海で生まれ、最高品質と見極められたものだけが「梅の花」になる。

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海苔の収穫風景。山本海苔店では海苔の仕入先である漁師と頻繁に情報を交換を行っている。

「このような旨味成分や栄養素は、上質な海苔ほど多く含まれているんです。うちでは上質な海苔の産地で知られる有明海の海苔を使い、また近くの佐賀県に工場を作り、新鮮な海苔を仕入れ、加工しています。また、一般的には海苔は色・ツヤ・形を見てランク付けされるのですが、うちでは口溶けや味も判定基準に加えています。旨みや味の判定は数値化できるものではないため、海苔のことを知り尽くした熟練の仕訳技術員が毎日何十枚も食べて、質を見極めています」。ロングセラーの「梅の花」は、こうして最高ランクに格付けされた逸品だ。

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1号缶2本詰合せ 5,400円

焼海苔、味附海苔の各12袋詰(8切5枚)のセット。ロングセラーの極上海苔。とろけるような口溶けと香り高い風味が特長。贈答用としても人気。

<山本海苔店>は上質な海苔を提供するとともに日本の海苔文化に大きな影響を与え続ける立役者でもある。特に画期的なのが味附海苔の発明だ。その誕生は、今から150年ほど前の明治2年(1869年)のこと。

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「味附海苔」を考案した2代目山本德治郎。

「2代目山本德治郎郎が、後に明治天皇の侍従となる山岡鉄舟と剣道の道場仲間だったんです。あるとき德治郎が鉄舟から、明治天皇の京都還幸に際して東京から持っていく土産にいいものはないかと相談されたんです。そこで、ふつうの海苔では面白くなかろうと、試行錯誤を重ね『味附海苔』を考案しました」。これを機に「味附海苔」のおいしさは関西で評判となり、宮内庁の御用を賜るようになり、のちに「宮内省(のちの庁)御用達」のブランドとなった。

※現在は宮内庁御用達制度は廃止されています。

 

 

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宮内省に献上する際に使われていた「御用箱」。

ちなみに味付けは、醤油、みりんに山椒と陳皮、唐辛子を加えた、今より濃いめの味。それが大衆に広まり大人気になった。さらに、時代の好みに応えて少しずつ風味を変えながら今も受け継がれている。

 

ほかにも<山本海苔店>の「日本で初めて」がある。昭和40年(1965年)に、なんとドライブスルーをつくったのだ。当時、百貨店は毎週1日の定休日があり閉店時間も今よりだいぶ早かった。もちろん、コンビニエンスストアもなかった時代である。いつでも手軽に海苔が買えるようにしようと、五代目德治郎は本社の駐車場に正月以外は年中無休、20時まで営業し、車から降りずに買い物ができるドライブスルーを設置したのだ。1991年に新館の建設に伴い閉鎖されたが、26年間にわたり夜の会合の手土産や雨の日の買い物に重宝された。

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昭和40年(1965年)、日本に初めて登場したドライブスルー。山本海苔店本社駐車場にあった。

 

<山本海苔店>は、新しい海苔の楽しみ方も次々と提案している。例えば、「おつまみ海苔」。海苔にうめ、うに、おかか、わさびごま、明太子といった具材を挟み、そのままおやつやおつまみとして食べるもので、それまで食卓でメインにはならなかった海苔を主役にしたのだ。健康志向の高まりもあり、大ヒット商品となった。さらに、「はろうきてぃ」や「ディズニー」をデザイン缶に、細くカットしたさまざまな「焼海苔」や「味附海苔」、「おつまみ海苔」などを入れることで、子どもや若者にも海苔を食べる習慣が広まった。ホワイトデーやバレンタインには限定デザインの缶が登場し、売り場を賑わせている。

 

 

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限定のりチップス 2缶セット(20g)1,296円 

 

 

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「はろうきてぃ海苔ちっぷす」4缶セット 2,592円

うめ、ごま、ゆずはちみつ、の具材を挟んだ短冊形の海苔。

 

 

ほかにも、パリパリの海苔にザクザク食感のネギみそなどの具材まぶした「一藻百味」や海苔を主役にした味噌汁とスープなどもある。

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一藻百味 5袋詰合せ 972円

ネギみそ、明太子、鮭、うに、うめの具材をまぶした海苔。

 

 

健康志向の今、改めて注目されている海苔。炊きたてのご飯に合わせるのはもちろん、おつまみやおやつとしてそのまま食べたり、料理やサラダにトッピングしたり。旨みも香りも、そして栄養もたっぷりの「山本海苔店」の海苔なら、贈り物に喜ばれることはもちろん、毎日の生活のなかで気軽においしく自然の恵みをいただくことができる。

 

撮影・岩本慶三 

文・大塚明子

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