<サルメリア ガリバルディ> イタリアと日本のいいとこどり!日伊合作のオリジナルデリ。

2022.10.31 UP

きっかけは2003年の伊勢丹新宿店「イタリア展」。パルマで人気の老舗サルメリアとして日本に初紹介された<サルメリア ガリバルディ>は催事で大成功を収め、これを契機に伊勢丹新宿店の食品フロアでの開業が決まる。

このページをシェアする

ph

北イタリアの美食の街、パルマの名店が新宿へ。

北イタリアのパルマはポー川流域に広がるパダノ平野の中心に位置する都市。大型酪農や畜産が盛んで、日本でもよく知られるハードチーズ、パルミッジャーノ・レッジャーノやプロシュート・ディ・パルマ(パルマの生ハム)が名産品だ。地元の食の名産品を集めたグロサリーショップ<サルメリア ガリバルディ>はパルマの目貫き通り、コルソ・ガリバルディにある。サルメリアとは、サルーミ(生ハム、サラミ、ソーセージなどの食肉加工品)やチーズ、その他日常の食品を扱う専門店のことだ。

 

<サルメリア ガリバルディ>は、元々はガリバルディ通りにあった小さなサルメリアだった。1958年、年配の経営者から店を引き継いだ。1986年に、同じ通りでもっとパルマ駅に近い現在の場所に移転した。そしてパルマで知らない人のいない店となり、観光客にも人気店として賑わう店に成長する。

 

store

<サルメリア ガリバルディ>の名声が高いのは、サルーミやチーズ類の品揃えが良いのに加えて、デリカテッセンや手作りのフレッシュパスタが美味だったことが大きな要因だ。店内奥には広い厨房があり、洗練されたデリカテッセンや、この地方名物の手打ちのラヴィオリやトルッテリーニが出来立てで店頭に並ぶ。たっぷりと卵を使用する手打ちパスタは、絹のような滑らかさとコシが評判で、パルマ市内のレストランにも卸されている。

 

2003年、<サルメリア ガリバルディ>は、伊勢丹新宿店のイタリア展でパルマの美食を代表する存在として招聘を受けた。同店の3人の共同経営者の一人でシェフの、ファビオ・フェッチアが来日し、イベントの成功を見届ける。すっかり親日派となった<サルメリア ガリバルディ>の経営陣は、伊勢丹新宿店食品フロアへの出店オファーを好意的に受け入れた。

 

海外初にして唯一の出店が日本。<サルメリア ガリバルディ>は、イタリア本場の味を紹介する店としてスタートした。パルマを代表する郷土パスタのラザーニェをはじめ、トルッテリーニ・イン・ブロード(スープに入った詰め物パスタ)やリコッタチーズとほうれん草のトルテッリーニ、そして生ハムと一緒に食べるトルタフリッタ(揚げパン)など、イタリアで定番の人気メニューを中心に取り揃えた。当時はまだまだイタリア料理に馴染みがなく、現地では当たり前のメニューも、日本では中々定着しないものも多かった。伊勢丹新宿店<サルメリア ガリバルディ>の立ち上げの頃から商品開発に関わってきた佐久間美幸さんは「百貨店を利用されるお客さまにとっては、ご馳走感が必要だと実感しました。ご家庭では作れない料理だからこそ、手間暇かけたリッチな雰囲気が好まれます」と当時を振り返る。

store

ベシャメルとラグーのラザーニェ(日本製/100g) 422円 

当初から人気となったのが、看板メニューの「ベシャメルとラグーのラザーニェ」だ。イタリア展で展開して以来のロングセラー商品。パルマでは家庭や店ごとに色々なラザーニェの味付けがあるが、<サルメリア ガリバルディ>では、生地の約1/4量の卵を使った贅沢な生パスタ。牛のブロードでラグーにコクをだし、トマトのパッサータで旨味をのせる。その分ベシャメルソースは軽めに、バターは使わずひまわり油とオリーブオイルで仕上げている。なので、肉をたっぷり使っていても食後は胃が重たくならないのだ。まさに日々の食事としても良い具合で、リピーターの多い人気商品となった。また、日本では難しいと思ったものの、意外にも人気メニューに育ったのがトリッパの煮込みだ。スロースタートだったが、徐々にファンを増やした10年選手。現在では人気メニューとなった。丁寧に下処理をして臭みを抜き、トマトに生ハムの切り落としを入れて旨味を足している。

 

store

トリッパの煮込み(日本製/100gあたり)681円

日本のオリジナルメニューからもヒット作が誕生。

本国のレシピで作った商品、また一部はシェフとともに作り上げた日本向けの商品を販売している。いずれにしても、イタリア人シェフによるレシピというのが、立ち上げ当初から変わらない<サルメリア ガリバルディ>のこだわりだ。毎年シェフが来日し、商品開発会議を行っている。日本での店頭のディスプレイ方法も確認し、他社の人気惣菜も参考にしてもらっているという。

 

「初めて冷製パスタを販売したいと依頼した時は大変でした。なぜなら冷製パスタは日本で生まれたメニューで、イタリア人にとって冷たいパスタはあり得ないからです。日本の気候や日本人の味覚に合うメニューの必要性について意見交換を重ねました。日本の滞在を毎年経験して、日本食や日本のリストランテにもなじむうちに、本国からのメニュー提案とオリジナルメニューの開発を合わせて取り組むようになりました。1回の来日で大体40レシピくらいの新作の提案をしてもらいます。店長やスタッフも交えて試食しながら新メニューを決定していきます。」

 

日本オリジナルにアレンジしたレシピ、新たに開発したレシピからもヒット作が生まれている。例えば「アランチーニ」はイタリアより小ぶりに。お子さまから大人まで食べられるように意識した。イタリアでは中身にラグーが入っているものが多いが、モッツァレラチーズを忍ばせ、温めるとトロリと溶けるチーズ味は万人に愛されている。

 

store

モッツァレラチーズ入りアランチーニ(日本製/1個)287円

日本人の大好きな季節感もメニューに取り入れている。定番のローストポークは、フルーツソースの変化で季節感を表現。いちじくのソース(秋)は、冬はいちごソースに。バルサミコ酢を効かせた甘酸っぱいソースが豚肉によく合う。

store

三元豚のロースト 季節のフルーツソース(日本製/100gあたり)800円

イタリアからシェフを招くだけでなく、日本からもスタッフがパルマ本店に出向き、研修を受けている。

「今や家族のような関係ですね。日本オリジナルのレシピも柔軟に、楽しみながら提案してくれるのでありがたいですね。私たちもイタリアへ通うことで、イタリアの文化、人付き合いの仕方だとかイタリア的な温かさを体感しています」。

 

まもなく両者の交流は20年を迎える。互いを尊重して開発されたレシピは、どこにも真似のできない絆が作りあげたものだ。

 

写真・岩本賢三  

文・柴田香織

RECOMMEND

ブランドストーリーズ

レブレ[デリ エ ブーランジュリー]

レブレ[デリ エ ブーランジュリー]

桂新堂[甘の味]

桂新堂[甘の味]

青果[生鮮]

青果[生鮮]

CATEGORY

カテゴリー