2022.10.31 UP
2001年にオープンしたマリオジェラテリア。07年の伊勢丹新宿店リニューアルに伴い、素材のグレードを上げた<プレミアム マリオジェラテリア>をオープンした。「プレミアム〜」と名のつく店舗は伊勢丹新宿店と立川店のみ。ワンランク上のジェラートを目指し、希少な食材を使用したり、配合をよりリッチに贅沢にしている。
マリオジェラテリアのジェラートのファンにも気付かれない程度だというが、オープン時と現在では、味わいを少しずつ変化させている。
「開発当初のレシピは、イタリアのジェラート店の味を再現というコンセプトのもとで作られていました」と振り返るのは、マリオジェラテリア事業部 部長の泉めぐみさん。いわゆるイタリアンジェラートは、ねっとりとした口当たりで粘度が高く、糖度も高いものが多いが、日本人の舌には、やや甘みや粘度が強すぎるのではないか、と思っていたという。
口どけの良さは開発当初から意識した設計ではあったが、日本人の食べ手が食べ終わったときに「もう少し食べたい」と思える味わいを目標とし、徐々にレシピを調整していくことに。口どけの良さはそのままに、よりなめらかさやちょうどいい甘さを追求し、商品開発を行っているという。
「特に<プレミアム マリオジェラテリア>のジェラートは、『甘さ』よりも素材の『香り』や『味わい』を前面に感じられるような味の設計にしています」と、泉さん。
例えばキャラメルフレーバーは、一般的には甘みが際立つジェラートが多いが、<プレミアム マリオジェラテリア>はキャラメルの良さを「苦味」に焦点を当てて表現。砂糖を焦がす工程の温度や時間を細かく調整することで、印象的な焦がし風味を出している。抹茶フレーバーもたっぷりと抹茶を練り込むことで、まるで濃茶をいただいているような印象に。トリプルベリーなどのフルーツジェラートも、果物をそのまま頬張っているような酸や香りのバランスを意識しているという。
こうした味を設計し作り上げているのは、2人の「ジェラートマエストロ」たち。日本ジェラート協会の認定試験を合格し、ジェラートを知り尽くした職人が、シャーベット、ミルク、卵という3種類のジェラートベースに、素材をベストな状態&バランスで合わせていく。
時代による嗜好の変化をレシピに反映し、常に今の「おいしさ」にアップデートするのも、ジェラートマエストロたちの腕の見せ所。だから、いつでも最後のひと口まで食べ飽きず、「おいしい!」で終われるのだ。
ジェラートはクリーミーな状態で提供するため、店頭に並べる前に再度、空気を含ませ練り上げる。提供温度にも細心の注意を払い、マイナス18度以下で運ばれたジェラートは、店頭ショーケースではマイナス13度位で管理する。だから店頭でも艶やかでなめらか、一口目から舌の上でさらりと溶けてほどける食感だ。
<プレミアム マリオジェラテリア>のジェラートの特徴は、こうしたジェラートの品質の高さに加えて、産地を限定した高品質な素材を贅沢に使用していること。余韻が長く、忘れがたい味や香りをもつフレーバーにリピーターも後を絶たない。定番12種類のフレーバーから、特に人気の5種類をご紹介しよう。
まずは一番人気の「プレミアムグリーンピスタチオ」。世界でも品質の高さが評価されるシチリア島・エトナ山麓のブロンテ産を使用している。
プレミアムグリーンピスタチオ(Sサイズ)440円(左)
世界のピスタチオ生産量の1%未満でありながら、その甘みとコクでシチリア・ブロンテ産は群を抜く。2年に1度しか収穫できない、貴重な味だ。このブロンテ産の芳醇なピスタチオを、ミルクや卵を使ったジェラートと合わせた。ジェラートに粗く刻み込まれたピスタチオナッツがアクセントに。軽やかさとリッチさが両立する食感だ。
シチリアンソルト(Sサイズ)440円(右)
シチリア産の塩入りジェラート「シチリアンソルト」は、アーモンド入りビスコッティがアクセントに。このシチリア産の塩は、海水を塩田で天日干しして製塩される。えぐみなく、甘みと旨み、ミネラルが豊かなのが特徴だ。
トリプルベリー(Sサイズ)440円(左)
カシス、ラズベリー、ストロベリーをミックスした真紅のジェラート。シャーベットタイプのジェラートで、軽やかな食感と、爽快な酸味が特徴。果実を口いっぱいに頬張ったときのようなフレッシュな味わいだ。
焦がしキャラメル(Sサイズ)440円(右)
一般的にキャラメルというと甘めのイメージだが、<プレミアム マリオジェラテリア>のキャラメルフレーバーはほろ苦さがポイント。砂糖を焦がした苦味のバランスは、ジェラートマエストロの腕の見せ所。卵のジェラートベースと合わせて濃厚に。
月替わりのジェラートは3種類。春は桜、夏はフルーツ、秋は芋栗カボチャなど、月ごとのテーマを決めて展開する。限定フレーバーを心待ちにするファンも多い。
「〈プレミアム マリオジェラテリア〉の嬉しい点は、どのフレーバーも同一価格ということ。Sサイズは2種類まで、Mサイズは3種類までジェラートを選び、カップに盛り合わせることができる。
店頭には定番のジェラート12種類のほか、月替わりの3種類、週替わりの1種類が揃う。色とりどりのジュースも10種類を用意。買い物途中のひと休みにも人気のスポットだ。
撮影・中庭愉生
文・柿本礼子