<エディアール>店舗の裏はパン工房。自家製酵母の焼き立てパン。

2022.10.31 UP

1854年、当時のパリで最も賑やかだったマドレーヌ広場に開店した高級食材店<エディアール>。フランスにパイナップルを最初に輸入したり、珍しい香辛料や紅茶を扱い、150年以上にわたって愛されている。パン工房を併設した伊勢丹新宿店ではそのエスプリを継ぎ、日々、焼き立てのパンを提供している。 

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パリのブーランジュリーの味を思わせる王道のバゲット

<エディアール>は、パリで最初の高級食材店としてフェルディナン・エディアールによって創設された。フランス植民地からのエキゾチックなフルーツやラム酒、コーヒーなどがパリの社交界や食通たちの間で一躍話題となり、顧客リストにはヘミングウェイやピカソなどの芸術家や、歴代大統領が名を連ねた。

長きにわたって地元に愛され続けている存在であること、そして上質な食を追求し続けている姿勢が認められ、選りすぐりの高級ブランドで構成されるコルベール委員会のメンバーとして、食料品店で唯一加入。今もなお、上質へのこだわりと現代の生活美学という共通の価値を追求している。

 

日本で商品の販売を開始したのは、約30年前のこと。初出店となった伊勢丹新宿店内の喫茶店は、コーヒーの生豆を店舗で焙煎する先駆けであり、物販では収穫から24時間以内にフルーツをジャムにして空輸したりと、日本においても食通の心を引き付ける話題には事欠かなかった。ことに、伝統的なブレンド技術を受け継ぐ格の高い紅茶と、おいしいパンを提供するブランドとしてもその名を知らしめてきた。

 

2007年には、店舗を一新。売り場のすぐ裏に工房を構え、約75種類のパンのうちの約30種類をここで焼き上げるようになる。店長の関さんは言う。

「パリのブーランジュリーのクオリティをイメージして、毎日パンを焼いています。香り高いフランス産小麦100%、職人の実力が出るバゲットは、ぜひ召し上がっていただきたいですね」

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店長兼料理長の関友章さん。2007年のリニューアル時より同店舗へ。23歳で入社し、エディアールでパンを焼き続けてきた経験を生かし、新商品の開発やレシピ制作にも関わっている。

ブーランジュリーにおいて、極めてシンプルな素材で焼き上げるバゲットは、なにより日常的であり、それゆえに力の入るパンである。「バゲット・エディアール」に用いる小麦は、フランス産のみを使用。香りの高さが最大の理由で、フランスで製粉したものと日本で製粉したものをブレンドしている。ほかには、フランスの天日塩「ゲランドの塩」、少量の生イーストと酵母の栄養となるモルトエース。

 

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バゲットの小麦はフランス産100%。生地のボリュームとバランスを見て、フランスと国内で製粉された粉をブレンドしている。

そしてなにより生地の決め手となるのが自家製酵母だ。酵母は、店長兼料理長の関友章さんがぶどうから培養したものを、15年前から種つぎしている。自家製酵母生成マシーンを使うことで、安定して発酵できる品質を保持する。

 

 

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店舗の裏に工房を構えた2007年より、大事に種つぎをしている自家製酵母。生地の仕上がりの肝を握る。

 

生地は、一次発酵をした後に成形され、さらに二次発酵を経て、約210度で30分かけて焼き上げる。成形は、生地の水分量が高いため粉をまとわせながら行う。触りすぎて気泡ができなくなってしまわないよう気を配る。また、発酵は気温や湿度など季節の変化により微調整する。いずれも職人の技術と勘を要する作業だ。

 

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一次発酵をした生地を、気泡が抜けないようにやさしく成形する。

 

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ドイツ製の窯で、30分かけて焼き上げる。

 

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風味のよさが光るバゲットの焼き上がり! 窯から出してただちに店舗へ。

 

 

焼き立てのバゲットが窯から出されると、工房はふんわりと芳しい香りでいっぱいになる。バゲットはすぐさま、扉一枚隔てた店舗へ運ばれる。窯から出したばかりの温かさも香りも、そのまま売り場に届くようだ。関さんは言う。

 

「お客さまの流れを見ながら、今まさに焼き上がったものを販売できるのが何よりの強みです。お客さまに直接、焼き上がりの時間を聞かれたり、『おいしかったわよ』とお声をかけていただくこともモチベーションにもつながっています」

 

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バゲット・エディアール(日本製/1本)400円

フランス産の小麦と塩、同店舗で15年前より種つぎする自家製酵母とごくシンプルな材料でつくる自慢のパン。外はカリッと、中はもっちりが身上。

 

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水分量が高く保った伸びのある生地は、焼き上げると気泡が入り、極めてしっとり。

 

伝統菓子と香り高い紅茶で、優雅なおやつ時間。  

パンドミーやカンパーニュ。パンそれぞれにファンがいる。なかでも、フランスの伝統菓子であるクイニーアマンは、1990年初頭の一大ブームのときに販売し、マイナーチェンジを繰り返してきたロングセラーだ。 

 

砂糖のカリカリとした食感がなによりの特長。近年になり、香ばしくふくよかな風味が愉しめる全粒粉を用いるようになった。砂糖は、グラニュー糖から、良質なさとうきびからつくられるブラウンシュガー「カソナード」へ。濃厚で余韻の長い甘さが広がっていく。

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全粒粉のクイニーアマン(日本製/1個)378円

風味豊かな全粒粉を用いる。トップはコク豊かな粗糖「カソナード」を香ばしく焼き上げ、カリカリの食感に!

 

 

見た目も上品なメロンパンは、コンデンスミルクや生クリーム入りの生地に、アーモンド粉を合わせたクッキー生地をまとわせる。3年前より、そのクッキー生地には<エディアール>の紅茶を粉砕して練り込むようになった。華やかなフレーバーが口中を満たしてくれる。

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紅茶のメロンパン(日本製/1個)346円 

<エディアール>の紅茶の茶葉を粉砕して練り込んだクッキー生地をかぶせて焼き上げる。

 

 

甘いパンに合わせたいのは、もちろんフレーバーティーを得意とする<エディアール>のなかでもブランドを代表する紅茶「エディアールブレンド」。

缶を開けた瞬間から、そしてお湯を注ぐといっそう香り高く、ベルガモット、レモン、オレンジのフレーバーをまとった爽やかな香気が立ち上る。

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エディアールブレンド(1缶/125g)2,376円

ベルガモット、レモン、オレンジの香りを付けた、爽やかなエディアールを代表する紅茶。アイスティーにも◎。

<エディアール>の手間と職人の技が光るパンと、香り高い紅茶。それがあれば、心を癒やす優雅なティータイムは約束されている。

 

撮影・土佐 麻理子 

文・沼 由美子

 

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