<ワールドミートバル ニッシン> 上質な旨みと芳醇な香り、しっとりした食感の大判ハム。 

2022.10.31 UP

顔と同じほどもある、大きなサイズのボンレスハムスライスが人気の日進ハム。とりわけ、伊勢丹限定販売の「佐助」のボンレスハムは、一度食べたらリピート必至の人気商品だ。日進ハムの工場を訪ね、おいしさの秘密を聞いた。

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実直に、オーセンティックなハムづくりを     

日進ハムは大正5年に港区東麻布で創業した、業界で最も長い歴史を持つ会社のひとつだ。創業以来、ドイツ方式を中心とした純ヨーロッパスタイルのハム・ソーセージを、オーセンティックな製法で作っている。

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埼玉県入間郡三芳町の工場外観。

長らく東麻布の本社工場内ですべての商品を作っていたが、2018年、工場を埼玉県入間郡三芳町に移転。「最高の素材・最高のテースト」をモットーに、高品質なハム・ソーセージを追求して技術を磨いている。

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取材をした日は、伊勢丹限定の商品である「折爪三元豚佐助ボンレスハム」の仕込み中だった。豚モモ肉を1本丸ごと使ってハムにするので、なかなかの大きさだ。1回に仕込む量は50本分で300kg前後という。1本あたりおよそ6kgだ。

大きな塊肉だと一つ一つの工程に手間と時間がかかるため、大量生産の工場ではあまり作られない。「ただ、大判の肉だとゆっくり火が加熱できるため、保水したまま仕上げることができるんです。つまり、大判ハムならではのしっとり感が生まれます」と工場長の栗田亘さん。

 

まずは骨や血管、余分な脂をトリミングする。佐助豚は脂の旨みも特徴なので、脂を取りすぎないことがポイントだ。

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成形した後に1日置いて落ち着かせ、その後に肉をピックル液に漬け込み、液を肉に抱かせる。安価なハムやソーセージの場合、漬け込み液を大量に入れて、いわば肉のかさ増しをすることもあるが、日進ハムの商品は「あくまでしっとりとした食感にするため」という。ピックル液の量も、一般的な製品に比べると格段に少ない。

 

「イメージとしては、塩漬によって出てしまう分の水分量を、ピックル液で補い、元々と同じ重量(水分量)を保つという感じです」と栗田さん。漬け込み時には大型洗濯機のような機械に肉を入れ、優しく回転させることで肉の繊維をほぐし、味を馴染ませる。この時も摩擦熱で肉が傷まないよう、庫内の温度が一定になるよう冷却しながら行っている。​

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漬け込み後にスチームで加熱、燻製をする。完成まで実に1週間かかるという商品だ。

折爪三元豚佐助との出会いは、伊勢丹のあるバイヤーからの紹介がきっかけという。

「2008年に、伊勢丹新宿店のバイヤーに紹介していただき、岩手県久慈ファームの折爪三元豚佐助と出会いました。養豚の様子を視察し、しっかり取り組む決意を固めました」と、代表取締役社長の鈴木直人さんは当時を振り返る。佐助豚の特徴である脂の旨みを生かし、脂を削りすぎずに製造する。口に入れると脂が溶け出し、赤身のクリアな味わいと香り高い脂質が口に広がる。しっとりとしたハムを噛み締めるたびに出てくる赤身の旨みがたまらない! ハムならではのきめ細やかな食感が心地よく、リピーターが多いのも納得の一品だ。

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折爪三元豚 佐助 ボンレスハムスライス(100gあたり)854円

 

 

 

他にもある! 日進ハムの人気商品       

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工場長の栗田亘さんに、他の人気商品を聞いてみた。栗田さんは日進ハムの海外勤務などを経て工場長になったという経歴を持つ、自社製品を愛してやまない人物だ。工場内の説明にも力が入る。

 

「まずはハムですよね。佐助豚やジャンボンブランのような大判ハムは、しっとりとした食感と口に広がる肉の旨みに特徴があります」と栗田さん。

 

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ジャンボンブラン(100gあたり)692円

国産の豚肉を燻製をかけずスチームで仕上げ。自然な風味が生きたモモ肉のハムだ。ハムだからこそ味わえる、独特のしっとりとした食感や芳醇な香りは、日進ハムを代表する商品として長く愛されている。

 

同じくらい人気を誇るのはベーコンだ。

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赤身と脂身のバランスがよく、濃厚な味わいで品質のいいデンマーク産の豚バラ肉を使用し、桜チップで燻煙した香り豊かなベーコンだ。先代がヨーロッパを視察して得た、ドイツ方式で作られているという。燻製をじっくりかけられた香り豊かなベーコンは、フライパンで焼き、脂を溶かし香りを立たせて食べるのがおすすめだ。

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スライスベーコン(100gあたり)594円

燻製庫に近づくと、脂の香りと香ばしい桜の燻煙香が混じり合い、たまらない香りを放っている。「燻煙香をどこまでつけるかもポイントです。機械任せにせず、職人の手で調整しています」

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この燻製庫で「折爪三元豚 佐助」や「スライスベーコン」も燻製する。燻製庫に入っている間は、芯温を常に確認しながら、チップの燻香のかかり具合を常に職人がチェックし、細かく調整をしていく。

 

工場は2018年に東京都港区東麻布から埼玉県入間郡三芳町に移転した。面積は広くなり、設備も向上したが、職人が手作りする姿勢は変わらない。

「麻布に工場があった頃は首都高速道路のすぐ脇だったので、ベーコンの燻煙時などに首都高を走る車から『日進ハムが火事だ』と119番通報されたこともありました」と笑う。

当時から大事にしているのは、「原料ありき」で考えること。「折爪三元豚佐助ボンレスハム」「ジャンボンブラン」「特選ボンレスハム」など、それぞれの原料を目利きし、最適な加工をすることに尽きるという。

「ハムやベーコンなどに使うスパイス液(漬け込み液)は、自社でスパイスから煮出して調合しています。ジャンボンブランのレシピは会長が海外研修から戻ってから作成したものを、今でもほとんど変えずに使っています」 

 

この日は、リヨナーやボロニア、モルタデラなどの珍しいソーセージも工場で作られていた。ドイツハム・ソーセージだけでなく、ヨーロッパの食肉加工品全般をアルチザンの手法で作っていることが日進ハムの大きな特徴だ。

 

こうした自社製品の数々は「ワールドミートバル ニッシン」で1枚、1本から購入可能。切りたてハムが1枚から買えるオーダースライスのサービスのほか、バルも併設され、その場でハムやソーセージ類をワインなどとともに味わえる。

 

自社製品のほか、世界の生ハム類の取り扱いもある。中でも一押し商品は、ハモンイベリコベジョータ(骨つき)。スペインで生産される生ハムのわずか2%という希少なもので、36カ月以上の熟成がされた生ハムだ。「ベジョータ=どんぐり」の意味通り、森に放牧されて育つイベリコ豚は、どんぐりのほか草や森の恵みを食べて育つ。良質な脂を蓄えたイベリコ豚で作る生ハムは、スライスすると脂が常温で溶け出し、ナッツの香りがフワッと鼻をくすぐり、口に入れると複雑で広がりのある余韻が長く続く。バルや店頭で、ぜひお試しを。

 

 

 

撮影・中庭愉生、岩本慶三  

文・柿本礼子

 

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