レモンレシピ第二弾 レモンのデザート2つのレシピ ―樋口直哉さんの『料理のツボ』―

2022.7.17 UP

先月のレモンパスタに引き続き今月も人気食材、レモンのレシピです。簡単かつ秘策たっぷりのレモンのデザートです。ぜひマスターしてみてください。

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前回はレモンパスタのレシピをご紹介しましたが、今回はレモンのデザートを2種類、つくります。

 

 

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輸入レモンも安全性は確証されていますが、国産レモンの魅力はやはり鮮度。長い船旅を経て日本に到着する輸入レモンと比べると果汁がたくさん絞れますし、風味も一味違います。まず、果汁を使った〈ポセット〉というデザートの作り方を解説します。(作り方はかんたんですが、冷蔵庫で冷やす時間が必要です)

 

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レモンポセット

<材料>

生クリーム(タカナシ 純生クリーム47) 200ml

グラニュー糖 30g

レモン    1個(果汁40ml)

 

材料は3つだけ。秘密はレモンに含まれる〈酸〉です。酸には牛乳のタンパク質を固める性質があります。その性質を利用した最も身近な食品がチーズ。リコッタやパニール、マスカルポーネのようなフレッシュチーズはこうしてつくられています。

 

レモンの酸で濃い生クリームを凝固させるポセットはシェイクスピアの戯曲「マクベス」にも登場するほど古くからあるデザート。もともとは飲み物だったようですが、現在は冷たいデザートとして普及しています。クリーミーな生クリームにレモンの風味を溶け込ませ、濃厚でありながらさわやかな味わいに仕立てます。

<作り方>

 

まずはレモンを絞っておきましょう。1個のレモンからおよそ50mlの果汁が絞り出せます。ところで本や雑誌には「レモンを絞る時はカウンターに押し付けるように転がしてから絞るとたくさん果汁がとれる」や「レンジにかけるといい」とあったりします。しかし、ピッツバーグ大学の教授、ロバート・ウォルクが実験したところ、電動式や手動式のレモン絞り器、あるいは半分に切ったレモンを挿し込むタイプの絞り器を使う場合、転がしたり、レンジにかけても絞れる果汁の量が増えるわけではなさそうです。(参考『料理の科学』ロバート・ウォルク著 ハーパー保子訳 楽工社刊)

 

台所にレモン絞り器がない場合は半分に切ったレモンを手で絞りますが、その前に転がして皮をやわらかくしておくと、作業が少し楽になるようです。ただ、絞れる果汁の量には差がありません。少なくともレンジにかけることは意味がないので避けましょう。

 

 

さて、小鍋に生クリームを入れ、ゴムベラで砂糖を溶かします。泡立て器をつかうとホイップクリームになってしまうので注意。

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生クリームが入った鍋を中火にかけて温めます。沸いてきたら火を止めましょう。

 

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レモン果汁を加えて、ゴムベラでしっかりと混ぜます。冷めてくるととろみがついてくるので、その前に器に注ぎます。

 

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粗熱をとり、冷蔵庫で4時間。あるいは一晩冷やします。

 

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冷えると固まります。仕上げにレモンの皮をすりおろしました。

 

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今回はシンプルに仕上げました、みかんの缶詰や房から出した柑橘、ベリー類などもよくあいます。アレンジは自由自在で刻んだハーブなどもよくあいます。最近、よく見かけるようになった冷凍フルーツ(ブルーベリーやラズベリー、いちご、マンゴー)もおすすめです。解凍してシロップごと添えるだけで豪華になります。

 

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なめらかでやわらかいレアチーズケーキのようなデザートです。ビスケットを添えてもいいでしょう。

 

 

続いてご紹介するのはレモンクレープ。クレープは小麦粉、牛乳、卵、砂糖などをあわせてゆるい生地をつくり、フライパンで薄く焼いてつくります。薄くてやわらかい生地は折りたたむ、巻く、重ねるなど様々な形に応用できます。でも、一番おいしいのはバターを塗って、少し砂糖を振って、シンプルに食べること。そこにレモンを絞ると極上のおいしさが生まれます。

 

レモンクレープ

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レモンクレープ(作りやすい分量 4〜5枚)

 

<材料>

薄力粉  100g

砂糖   大さじ2

塩    ふたつまみ

卵    1個

牛乳   200ml

サラダ油 大さじ1

 

バター   適宜

砂糖    適宜

レモン(スライス) 適宜   

 

作りやすい分量なので、2人前としては4〜5枚と多めに出来ますが、焼き上がったクレープ生地は焼いた後、ラップで挟むようにして包むと冷凍できます。

 

<作り方>

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クレープ生地は計りのいらない料理です。小麦粉100gは1カップで計量できますし、その他の材料も多少はアバウトでも大丈夫。

 

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小麦粉、砂糖、塩を泡立て器でよく混ぜて玉をなくしておきます。

 

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卵は別の容器に割り入れて、よく溶いておきます。

 

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卵に牛乳を加え、最後にサラダ油を加えて、よく混ぜましょう。

 

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粉類が入ったボウルの中心をくぼませたところに卵液を加えていきます。

 

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全体がなめらかになればOKです。

 

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ラップをして冷蔵庫で30分以上寝かせます。一晩でも大丈夫です。この工程で粉が水分を吸い、生地に弾力が出て、焼いたときに破れにくくなります。もしも、だまになってもザルなどで濾せば問題ありませんし、休ませているあいだに粉が水分を吸ってやわらかくなるので、大丈夫です。

 

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休ませた生地をゴムベラで混ぜて、均一にします。

 

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中火に熱したフライパンにお玉1杯分の生地を流して、薄く伸ばしていきます。生地を薄く伸ばすときはフライパンを回したり、振ったりするといいでしょう。

 

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そのまま中火で焼いていくと縁に焦げ目がついてきます。

 

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箸ではがしてひっくり返します。

 

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裏側の加熱は短時間で。生地が薄いので、ほとんど火は通っています。

 

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お皿などに移し、続けて焼いてきます。

 

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焼きたてのクレープを4つに折りたたみ、バターをのせて、好みの量の砂糖を振ります。

 

フォークとナイフでレモンを絞りながら食べます。砂糖とバターというシンプルな味付けにレモンを絞るだけでどうしてこんなにおいしくなるのでしょうか。レモンという果物がもつ魔砲にはいつも驚かされます。

 

酸味をつけるだけが目的なら濃縮果汁還元のレモン果汁のような安価な調味料もありますが、果物としてレモンを使う場合は代用できません。レモンの風味は皮にあるからです。レモンはラップに包んでおけば冷蔵庫でそれなりに日持ちします。いろいろな料理やデザートにレモンのスライスを落としてみてください。今回はクレープを紹介しましたが、ホットケーキにも合いますよ。

 

Text&Photo:Naoya Higuchi

 

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