レモンレシピ第一弾 レモンパスタ2つのレシピ ―樋口直哉さんの『料理のツボ』―   

2022.6.15 UP

レモン気分の季節です。露地物は秋冬が旬ですが、レモンは暑い夏が似合います。揚げ物の添え物からすっかり主役級食材になったレモン。2ヶ月連続でレモンレシピをお届けします。今回はレモンパスタ。クリーム派にもクリームなし派にも納得のパスタです。

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このところレモンが人気。知り合いの生産者も「作れば作るだけ出ていく」と話していました。

 

国産レモンの収穫は通常10月〜5月上旬。他の柑橘と同様に冬が旬でしたが、ジメジメした日本の梅雨〜夏にかけては酸味が欲しくなるもの。そんな需要に対応するためにハウス栽培が広まり、今では通年出荷されるようになりました。

 

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国産レモン(愛媛県岩城島)2個 486円

伊勢丹新宿店本館地下1階 フレッシュマーケット/青果

※6月下旬までの販売予定

生鮮食品売り場で国産レモンが気軽に買えるようになったはうれしいこと。輸入レモンと国産レモンの違いはなんでしょうか? 

実は国産レモンは輸入レモンよりも糖度が高く、酸味のなかに甘さがきちんとあります。ただ、輸入レモンと比べると高価なので、皮ごと使い切りたいところ。今日はレモンを使ったパスタを2種類ご紹介します。

 

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カルペッレーゼ(マドンナ・デル・オリーヴォ)エクストラバージン オリーブオイル カンパーニア産(229g)3,465円

その前に上質なオリーブオイルを買っておきましょう。伊勢丹新宿店、地下食品売り場にあるオリーブオイル専門店<オリオテカ>は個人的に都内でオリーブオイルを買うなら……と聞かれたら選択肢としてまずあげるオススメ店。

 

パスタの仕上げに使いたい、カルパッチョに使いたいんですが……という具合に目的を告げればおすすめのオリーブオイルを教えてくれますが、今回はマドンナ・デル・オリーヴォ社のカルペッレーゼというEXVオリーブオイルを購入しました。青いハーブ系の香りにプラスして、胡椒のようなスパイシーさがあるオリーブオイルです。いいオリーブオイルがあればパスタ料理は成功したも同然。

 

まず、ご紹介するのは生クリームが入ったレモンパスタです。チーズのうま味とレモンの酸味をクリームが優しく包み込み、万人受けする味わい。レモンと乳製品の相性の良さがわかるはず。

 

このレシピの秘密は2つ。1つ目は隠し味に入れる山椒粉です。山椒はレモンと同じミカン科で、柑橘系の香りがあり、ピリリとした辛みがクリーム系のパスタの後味をすっぱりと切ってくれます。

 

2つ目はレモンを加えた湯でパスタを茹でること。果汁を絞ったあとのレモンはつい捨ててしまいそうになりますが、茹でるための湯に加えると、ほのかな苦味とレモンの風味が加わり、パスタがより美味しくなります。

レモンのクリームパスタ

〈材料〉 (2人前)

スパゲッティ   140g (1.8mm)

レモン      1/2個〜1個

パルメジャーノチーズ 20g

生クリーム     75ml<中沢乳業> 乳脂肪45%

石臼挽き山椒    少々<朝岡スパイス>

 

〈作り方〉

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チーズはできれば塊を購入し、チーズおろしなどですりおろしてください。

 

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レモンを料理するのにおすすめする道具が、このマイクロプレインというおろし金です。マイクロプレインは日本のおろし金と違って下に落ちる形になっているので、目詰まりせずレモンの皮だけをすりおろすことができます。もちろん、チーズをおろすのにも適していて、ふんわりとした粉チーズを作ることができます。

 

 

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マイクロプレインは高いものではありませんが、持ってなくても心配御無用。ピーラーを使って皮の黄色い部分を薄く剥けば大丈夫です。この時、力を入れると滑って危ないので、ピーラーを左右に動かすようにしましょう。

 

レモンの皮には香りのある精油のカプセルが詰まっています。一方、その下の白い部分はペクチンが多く、苦味成分が含まれています。そのため、白い部分があまり入らないようにしましょう。

 

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ピーラーで削いだ果皮を包丁で細かく刻みます。仕上げに散らすので、千切りをすこし残しておいてください。(マイクロプレインを使う場合はこの手間は省けます)

 

 

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レモンの果汁も絞っておきましょう。大さじ1あればOKです。

 

 

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さて、パスタの重量の10倍程度の水(今回は1.5l)に1%塩分濃度になるように塩とさきほど果汁を絞ったレモンを加えます。沸騰したところで弱火に落とし、スパゲッティを袋の表示時間を目安に茹でます。

 

さきほどレモンの苦味は白い綿の部分に含まれている、と書きました。この苦味成分は水溶性のため、茹でる湯に溶け出します。(逆に皮の黄色い部分に含まれる精油は脂溶性のため、水には溶けません)しかし、湯の量が多ければ苦味は希釈されるので、ほのかな風味が出ます。苦味は嫌悪されがちですが、レモンらしさでもあるのです。

 

 

 

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フライパンに粉チーズ20g、刻んだレモンの皮1/2個分、レモン果汁大さじ1、生クリーム75mlと粉山椒を少々入れ、弱火にかけます。ソースが温まれば充分で、煮詰める必要はありません。生クリームとレモンの皮をあわせることで、クリームの脂肪に香りが移ります。

 

レモンパスタを作っていて一番多い失敗は「生クリームが分離してしまった」というもの。これは加熱し過ぎが原因です。茹で上がったばかりの熱々のパスタを混ぜるだけでもチーズは溶けるので、ソースが温まったら火を止めておきましょう。

 

 

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茹で上がったパスタを加え、ゴムベラで軽く混ぜます。

 

 

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器に盛り付けて、さきほどとっておいたレモンの皮を散らし、EVオリーブオイルをひとたらし。レモンの酸味と香りのあるさわやかな味を上質なオリーブオイルと山椒の風味が引き締めてくれます。

 

次は生クリームを使わないバージョンでもう一品。レモンとガーリックのパスタをご紹介します。やはり、レモンを入れた湯でパスタを茹でるのが味の決め手。

 

 

 

レモンとガーリックのパスタ

〈材料〉 (2人前)

スパゲッティ   140g (1.6mm)

レモン      1/2個(果汁を絞った残り)

にんにく     1片

オリーブオイル  大さじ2

黒胡椒      少々

バター      10g(有塩でも無塩でも可)

 

〈作り方〉

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仕上げにバターを少量加えることで、レモンの酸味とのバランスがとれます。レモンの皮はマイクロプレインで削っておきます。

 

 

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にんにくは厚め(5〜7mm)に切り、オリーブオイルとともにフライパンに入れ、中火にかけます。泡立ってきたら弱火に落とし、うっすらと色づくまで加熱します。色づいたら火を止めて、少し冷ましておきましょう。

 

 

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その間にスパゲッティを茹でます。茹でるお湯の塩分濃度は1%〜1.2%。ここで味を決めてしまうので、塩はきっちりと。レモンは果汁を絞った残りを使います。レモン果汁は炭酸水や白ワインで割るなどして楽しむといいでしょう。

 

 

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茹で上がり1分前になったら茹で汁50mlをフライパンに加えます。

 

 

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鍋を揺すってレモンの風味が溶けた茹で汁とオリーブオイルを馴染ませましょう。ここで黒胡椒を挽き、削っておいたレモンの皮も加えます。

 

 

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茹で上がったパスタとバターを加えて、箸でぐるぐると混ぜます。

 

 

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茹で上がったパスタとバターを加えて、箸でぐるぐると混ぜます。

 

 

器に盛り付け、好みでレモンのスライスをのせれば出来上がり。仕上げにおいしいEVオリーブオイルを少し振ります。言ってみればアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノから唐辛子を抜いて、黒胡椒とレモンを足したさっぱり味です。緑がほしければパセリやパクチーの粗みじん切りを加えてもいいですし、ベーコンやイカなどのタンパク質を足してもおいしくできます。

 

昔からレモンというと揚げ物やサラダに飾りとして添えられたり、レモン果汁を調味料として使うのが一般的でした。しかし、レモンは果物であり立派な食材。皮や果肉など、まるごと使ってはじめて、持ち味が生きてきます。

 

どちらもシンプルな料理なので、食事の〆にぴったり。レモンで日本の蒸し暑い季節を乗り切りましょう。

 

Text & Photo Naoya Higuchi

 

 

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