第56回 日本伝統工芸染織展
日本橋三越本店の「第56回 日本伝統工芸染織展」は
終了いたしました。
2022年5月11日(水)〜5月16日(月)
午前10時〜午後7時 [最終日午後6時終了]
日本橋三越本店 本館7階 催物会場
[入場無料]
主催:日本経済新聞社・日本工芸会
後援:文化庁・東京都教育委員会・MOA美術館
特別協力:株式会社三越伊勢丹ホールディングス
※三越伊勢丹グループはサステナビリティ活動の一環として「日本伝統工芸染織展」を開催し、芸術振興に取り組んでいます。
当社グループのサステナビリティ活動についてはこちら
掲載の情報につきましては、諸般の事情により予告なく変更・中止させていただく場合がございます。予めご了承ください。
必ず事前に日本橋三越本店のホームページをご確認いただき、ご来店ください。
※新型コロナウイルス感染拡大予防の観点から、お客さまのご入場を制限させていただく場合がございます。
※お客さま同士、適度な距離を保ってご鑑賞ください。
※会場内では常にマスクのご着用をお願いいたします。
※大人数でのご鑑賞はご遠慮ください。
※会場内では会話を控えるなど、新型コロナウイルス感染症対策へのご協力をお願いいたします。
「匠の技の極み」
我が国に古くから伝わる「染め」、「織り」などの染織工芸の保護・育成と
創意ある展開を目的に開催している公募展も今回で56回を迎えます。
入選作品の数々と重要無形文化財保持者の作品を一堂に展覧いたします。
第56回 日本伝統工芸染織展の開催に向けて、120点の応募があり、
厳正なる鑑審査の結果、72点が入選し当会場にて展示されます。
入選者の一覧表はこちらからご覧いただけます。
受賞者紹介
入選した作品のうち、特に優秀と認められた作品の作者に
鑑審査の議を経て各賞が贈られました。
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文部科学大臣賞
紬織着物「筒井筒」
(つむぎおりきもの「つついづつ」)
足立真実
(あだちまみ)
この度は文部科学大臣賞という思いもよらない賞をいただきまして誠にありがとうございます。
作品は能楽の「井筒」から、幼なじみの二人が井戸のほとりで背比べをした場面をイメージし、発酵建ての藍・クチナシ・ローズマリーなどの植物による染色と経緯絣の技法を施し織り上げました。
30年ほど前に初めて見た能が「井筒」でした。梅若実氏(当時梅若六郎)の幽玄かつ極限までそぎ落とされた表現に感動した記憶がもとであり、現実の刺激ではなく過去の想いに返っての創作でしたが、長く留まっていた感情を形にすることができ思い入れのある作品となりました。
今日制作できるというありがたさをかみしめ、新しい表現に繋がるようにこれからも精進してまいります。
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東京都教育委員会賞
絣織着物「空からの贈り物」
(かすりおりきもの「そらからのおくりもの」)
若松由美
(わかまつゆみ)
そこに音はなく、空気も凍るような森の中。雪や氷が舞い降りている。雲のすき間から一筋の光が射し込み、反射した雪や氷はダイヤのように輝く。
「空からの贈り物」は、木綿糸を使用し、木灰汁で建てた阿波藍にてグラデーションに染めた分けた経糸のもと、緯糸は種糸による手括りで藍返しの技法を用い模様を染め分け、高機にて織りました。
光をメインに置き、舞っている模様のスピード感の違いを見て頂ければと思います。
今後も、一作一作を大切に丁寧に織り上げることを心掛けていきたいと思います。
この度は東京都教育委員会賞をいただき誠にありがとうございました。
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日本経済新聞社賞
久留米絣着物「花輪」
(くるめがすりきもの「かりん」)
松枝 小夜子
(まつえだ さよこ)
光射すとき、花の輝きが花明りとなって、周りにほのかに鈍い青い明りが灯る風情。
たてよこ絣の技法による白い幾何「花」絣とよこ絣による「輪」の微かな重なりの構成で、空間バランスをとる。松枝家継承の絵台仕様絵絣技法によるもので、たてよこ絣の花と、緯絣の輪を織り上げたものである。円輪を描く絣は、難易度が高く、織る際に細心の注意を払いながら織り進める。輪が美しく織り上がると清々しい気持ちが得られる。伝統技術を踏まえる努力と丹念な仕事に向き合いたいという亡き夫、哲哉の思いと同じく、更に進化した創造的仕事に向かって歩みたいと願っている。
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MOA美術館賞
小倉縞木綿帯「星降る夜」
(こくらじまもめんおび「ほしふるよる」)
築城則子
(ついきのりこ)
今回から新設されたMOA美術館賞をいただき、1回目の光栄を含め、ありがとうございます。
極細の木綿糸で織る小倉織を続ける中で、色と縞の世界にめくるめく宇宙を感じた30数年でした。いつも未だ見ぬものを求めてきましたが、「永遠に動きつつ永遠に交わらざる平行線」と九鬼周造著「『いき』の構造」で書かれている「縞」に交わりを創りたくなりました。
経糸を入れ替えて斜めの線が生まれる、そのことで、より縞が際立たないか、と模索しながらの制作です。まだまだ探求したいテーマです。今回の受賞は、背中を押していただいたようで心より嬉しく、感謝しております。今後の展開も見守っていただけますよう、お願い申しあげます。
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奨励賞・京都新聞賞
絣織着物「爛漫」
(かすりおりきもの「らんまん」)
黒田光子
(くろだみつこ)
此度はこの様な賞を賜わり光栄に存じます。お選び頂きました先生方に心より御礼申し上げます。今、四十を過ぎましてからのお若い学生に交わり学びました事等懐かしく思い出されます。定まった寸法、形の中での表現自分の想いをどう納めるかといつもなやましく致しております。絣織着物「爛漫」は生絹にて白と赤を染めわけ片身替りとちょっと大胆な構成といたしました。西洋茜、きはだ、矢車附子を用いました。白梅、紅梅の咲くさまを表現致しました。
謙虚に感動する気持を忘れず見識を広め精進を重ねたくおもっております。ありがとうございました。
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奨励賞・山陽新聞社賞
絞り染着物「春光」
(しぼりぞめきもの「しゅんこう」)
沖本道子
(おきもとみちこ)
この度は、奨励賞・山陽新聞社賞をいただき、誠に有難うございます。
春の気配を、光・匂い・色が感じられる着物が出来ないかと思い制作しました。
いつも、直線的な幾何学模様を繰り返すことで作品を構成しています。縫い絞りは、直線的な中でも境い目が色の浸透によってやさしく表現出来るので、縫う角度や針目により模様を変化させています。染色では、槐の植物染料を用い、徐々に絞った糸を解き、媒染剤を変えることにより色の濃淡を表現しました。
この受賞を糧に、新しいことにチャレンジし、精進して制作に取りくんでまいりたいと思います。
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奨励賞・三越伊勢丹賞
風通織木綿着物「春一日」
(ふうつうおりもめんきもの「はるひとひ」)
小林 佐智子
(こばやし さちこ)
この度は三越伊勢丹賞を賜り、何とありがたいことと、深い喜びが今も続いています。心から感謝申し上げます。風通織は、表裏の模様をそっくり入れかえて織る二重組織の織物です。色の組み合わせと織り方次第で様々な模様ができるので興味がつきません。今回は色を重ねず、白地の中に単色のたんざくを自由に配置していくことをテーマにしました。たんざくの各色には白い色がかぶり鮮やかな色とはなりませんが、春を想う色となりました。コロナやウクライナ、そしてあれこれと心の痛むことが多い今頃、一日一日がどうか穏やかにふんわりとした気持ちですごしていけますように、と願う「春一日」です。
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奨励賞・大丸松坂屋賞
江戸小紋着尺縦絽「長立涌」
(えどこもんきじゃくたてろ「ながたてわく」)
菊池宏美
(きくちひろみ)
この度は奨励賞・大丸松坂屋賞を賜りまして誠にありがとうございます。
今回は縦絽の生地に長立涌という縞柄を合わせました。縦に透け感のある生地の効果で緩やかなカーブの縞柄が見え隠れします。地色は青緑色をグレイッシュよりにし、柄を引き立たせつつも軽やかさを表現する事を目指しました。単衣の反物ですので裏にも同系色の薄い色を染めました。
今回、自身の原点であります縞柄で賞を頂けます事は今後の大きな励みとなります。又、多くの方のご支援で今がありますことを強く身に感じる日々です。諸先生、諸先輩に熱く御礼申しあげますと共に、今後とも御指導のほどよろしくお願い申しあげます。
列品解説
■5月11日(水)午後0時30分~
■日本橋三越本店 本館7階 催物会場
■国立工芸館主任研究員 今井陽子氏
※椅子のご用意はございません。
※諸般の事情により予告なく変更・中止させていただく場合がございます。予めご了承ください。
作家在廊
本展に出品している染織作家が会場に在廊されます。
2022年5月12日(木)〜5月16日(月)
各日正午~午後4時
※5月11日(水)の在廊はございません。
■5月12日(木)
廣瀬雄一氏(江戸小紋)
右下:会場出品作品
小紋着尺 二枚型「角鹿子」
(作品の一部を掲載)

■5月13日(金)
篠原優子氏(型染)
右下:会場出品作品
おぼろ型染着物「植物日誌・夏」

■5月14日(土)
小宮康義氏(江戸小紋)
右下:会場出品作品
江戸小紋着尺「Ghosting flare」
(作品の一部を掲載)

■5月15日(日)
鈴木 ゆき子氏(紬織)
右下:会場出品作品
紬織絣着物「諷詠」

■5月16日(月)
藍田愛郎氏(江戸小紋)
右下:会場出品作品
江戸小紋着尺「三十一本木賊縞」
(作品の一部を掲載)

会場内の写真撮影について
■撮影について
・展示作品の撮影(携帯電話・スマートフォン含む)について、個人的かつ非営利的な利用目的に限り、
撮影いただけます。
・展示台の外側からの撮影に限ります。
・撮影禁止マークが表示されている作品は撮影できません。
・フラッシュ、三脚(一脚・脚立などを含む)、自撮り棒は使用できません。
・動画の撮影はできません。
・他の鑑賞者、対象作品以外の作品が写り込まないようご注意ください。
・作品の安全と他の鑑賞者の妨げにならないように注意して撮影されるようご協力ください。混雑状況等により、撮影を全面禁止する場合があります。
■撮影された写真のSNS等での利用について
・営利目的にはご利用になれません。
・作品写真に変更 ・加工などを加えることはできません。
・クレジット(作家名・作品タイトル)の表示をお願いいたします。
・撮影された写真に来館者が写っている場合、その公表にあたっては写り込んだ方の肖像権に触れる可能性がありますので、ご注意ください。
・ご使用の際は利用者の責任においてお願いいたします。 主催者は一切の責任を負いません。
※会場内混雑の場合は入場制限などお待ちいただく場合がございます。
※展示品にはお手を触れないようお願いいたします。
※会場内での携帯電話の通話はご遠慮ください。
※都合により、イベントの内容が変更となる場合がございます。予めご了承ください。
お問合せ先/日本橋三越本店
TEL.03-3241-3311(大代表)