【スイーツコレクション2021特集】広がるカカオの世界 ~Bean to Bar特集~

シュトーレン12種を食べ比べ。クリスマスの定番をスイーツ専門家が実食

「Bean to Bar」はチョコレートづくりの新しい手法に。カカオ豆本来の味わいが感じられることはもちろん、シェフのセンスや哲学が、パッケージやデザインにまで及ぶところがおもしろい点。「スイーツコレクション2021」にも登場する、今おさえておくべき人気ショップ3店をまとめました。

 

01〈ネル クラフトチョコレート トーキョー〉

チョコ好きからも熱視線! 職人の手しごとを感じられるチョコレート

ボワシエ

「Bean to Bar」とは、カカオ豆の選別からチョコレートに仕上げるまでの全行程を一貫しておこなう製法のこと。今やチョコレート界の新潮流です。
そんな、カカオ豆から“Bar = タブレット“にとどまらず、その先のボンボンショコラまでをも一貫製造して注目を集めているのが、2019年に浜町にオープンした〈ネル クラフトチョコレート トーキョー〉(以下、ネル)。京都福知山の〈洋菓子マウンテン〉等で修行後、ヨーロッパの名店で研鑽を積んだ実力派、村田友希シェフにお話をうかがいました。

_ Bean to Barの手法は独学だとか。

村田:〈ネル〉の立ち上げにあたってイチから勉強しました。初めての分野なので相当苦労しましたね。本当にこのカカオ豆からチョコレートができるのかなって、最初は不安でした。何が正解かわからない、失敗の原因がわからない。半年くらい試行錯誤を重ねました。

Bean to Barはあくまで手法。ここだけのおいしさを追求して、まちを盛り上げたい

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_Bean to Barだけでも苦労したというのに、どうしてその先のボンボンショコラに挑戦しようと思ったのでしょうか?

村田:Bean to Barでタブレットを作っても、正直、闘っていけないなと感じていたんです。もういろんなブランドがやっていますからね。Bean to Barを売りにしてブランドを成長させるより、あくまで手法として、その先のボンボンショコラとか、店内で食べられるデザートを〈ネル〉の強みにしようと思いました。

そもそも、ここ浜町は清澄白河や蔵前とは違って、認知度はまだまだ低いものです。浜町に来てもらおうと思ったら、ここでしか食べられないものが必要。〈ネル〉が作るBean to ボンボンやデザートをきっかけに、みんなが浜町をめざして来てくれるのが理想です。

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店内に工房があり、ガラス越しにチョコレート作りを見ることができる。

気になる伊勢丹新宿店限定商品は?

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村田:〈ネル〉のコンセプトである“手しごと”と“日本らしさ”を表現したのが、この『アーバンデザインコレクション2021』。北海道から沖縄までの和素材がベースになっています。

ピンクの粒は北海道産のハスカップのジュレとカシスのガナッシュを二層にしたボンボンショコラで、今年の新作です。白いマーブル状の粒が、石垣島産のバニラビーンズを使った「石垣島バニラ」。こちらの黒いマーブル状の粒は「ほうじ茶プラリネ」。人形町〈森乃園〉さんのほうじ茶の茶葉を贅沢に使いました。

木の皮の模様をした粒は、沖縄ニッケイというシナモンの木の一種を使った「琉球シナモン」。本来シナモンは木の根っこを使うんですが、これは沖縄ニッケイの葉を乾燥させて使っています。ミントのような清涼感の奥に、しっかりとニッキの香りを感じるのが特徴です。

こっちの紫色の粒が「都濃ワインいちじく」。宮崎県の都濃ワインを使ったガナッシュと、都濃ワインのヴァンショーで煮たいちじくのコンポートの二層仕立てです。

そして、新作の「ゆこう山椒」。徳島県の名産、「柚香」の果汁をパートドフリュイに仕立て、山椒のガナッシュと合わせました。山椒と柚香の組み合わせは京料理に代表される味の組み合わせですが、ショコラではなかなかめずらしいと思いますね。

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_ 「縁り(ユカリ)」と「ケークショコラ」も販売されますね。このふたつはどういった商品ですか?

村田:「縁り(ユカリ)」は濃厚なチョコレートジャムの“カカオカード”と、自家製チョコチップやカカオニブなどが入ったふりかけ“caca o caca”のセット。“朝食”のイメージで作りました。
ヨーロッパの人はチョコレートショップを日常的に利用しますが、日本でそういった人はまだまだ少ない。チョコレートをもっと日常で楽しんでもらうには?そう考えたときに思いついたのが、“朝食”だったんです。
実は“caca o caca”は最初、トースト専用として開発した商品なのですが、お客さまから「コーンスープのトッピングにしている」「カレーにかけたらおいしかった」と、いろいろな使い方を教わったんです。みなさんの暮らしに溶け込んで、思い思いに楽しんでいただけていることがうれしかったですね。

「ケークショコラ」は、ブラウニー生地にアプリコットジャムをサンドしています。濃厚なだけではなく、さっぱり食べていただけるチョコレートケーキをめざしました。カカオニブの苦みとカリカリ食感も相まって、飽きずに食べていただけるのではと思います。
ぼく、〈洋菓子マウンテン〉での修業時代、水野直己シェフが作るザッハトルテがとても好きだったんですよ。アプリコットジャムだけ食べていたくらい(笑)。なので、水野シェフへのオマージュも込めました。



「チョコレートファンも集まる『スイーツコレクション』は、ショコラティエにとっても特別なイベント。すごくいいきっかけをいただいたと思っています」と、どこまでも謙虚な村田さん。それでいて、「会場で販売する商品はどれも自信作!」と胸を張ります。村田さんが作るチョコレートはどれも、小さな子どもからご年配の方までがおいしく感じることができるやさしい味わい。
この新進気鋭のチョコレートショップが、浜町の新名所となる日もそう遠くなさそうです。

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ネル クラフトチョコレート トーキョー
左:アーバンデザインコレクション2021 2,592円(日本製/6個入)[伊勢丹新宿店限定]
中:ケークショコラ 1,620円(日本製/1本)
右:縁り(ユカリ)2,376円(日本製/カカオカード140g、カカ オ カカ55g)
※スイーツコレクション2021会場にて販売。

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東京都中央区日本橋浜町3丁目-20-2

02_〈ダンデライオン・チョコレート〉

カカオバターやレシチンは不使用。カカオ本来の風味が生きている

02_〈ダンデライオン・チョコレート〉

〈ダンデライオン・チョコレート〉は、シングルオリジンのカカオ豆ときび砂糖だけでつくるBean to Barチョコレートの専門店。サンフランシスコ発祥で、海外第1号店を2016年2月、台東区蔵前にオープン。ファクトリーを併設したBean to Barチョコレート専門店ならではのお店は、たちまち話題になりました。
「スイーツコレクション2021」では、日本上陸5周年を記念して作られたボンボンショコラや、小麦粉を一切加えずに作られた芳醇な味わいのガトーショコラ、ギフトにもぴったりなホットチョコレートミックスをご紹介。

02_〈ダンデライオン・チョコレート〉

ダンデライオン・チョコレート
左:ボンボンショコラ6個詰合せ 2,529円(日本製/6個入)
中:ガトーショコラ 3,888円(日本製/1本入)
右:ホットチョコレートミックス 1,944円(日本製/150g)
※スイーツコレクション2021会場にて販売。

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東京都台東区蔵前4-14-6

03_〈レ・カカオ〉

〈ピエール マルコリーニ〉出身のシェフが手がける、カカオとフランス菓子の専門店

〈ピエール・ルドン〉

チョコレート作りをカカオ豆から一貫しておこなう〈レ・カカオ〉。シェフの黒木琢麿氏は、7年間フランスのパティスリー等で研鑽を積み帰国。その後、〈ピエール マルコリーニ〉のシェフを務めたことでBean to Barの奥深さに興味を惹かれたそう。独立した現在のお店ではBean to Barやボンボンはもちろん、パティシエ経験の豊富さも活かし、ケーキや焼き菓子にまでBean to Barの手法でチ作られたョコレートを使用しています。
会場では、カカオの風味や味わいが引き立つボンボンショコラやタブレットのほか、カカオが主役のシュークリームも登場。

02_〈ダンデライオン・チョコレート〉

レ・カカオ
左:セレクション2,100円(日本製/6個入)
右:タブレット
(ガーナ)980円(日本製/1枚入)
(チュアオ)980円(日本製/1枚入)
(チリリケ)980円(日本製/1枚入)
※スイーツコレクション2021会場にて販売。

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東京都品川区東五反田2-19-2