<サンルイ>
Une Histoire de Savoir-Faire
職人技で紡ぐ歴史と物語


ヨーロッパ大陸で最古のクリスタルガラス工房、<Saint-Louis/サンルイ>。フランス東部のモーゼルの森の奥では、今も職人たちがサヴォワールフェール(職人技)を代々継承しながらクリスタルガラスのオブジェを作り続けています。
その芸術作品とも呼べる美しい品々は、どのように生み出され継承されていくのか。今回は、<サンルイ>の美しいコレクションの数々を展示するとともに、工房から届けられた映像や道具、オブジェなど、職人の手がクリスタルガラスを生み出す過程をご紹介します。四世紀をつなぐ<サンルイ>の工房の秘密をぜひご覧ください。
ガラスの塊を熱し吹くことで形を与える“Hot work”

<サンルイ>の工房は、大きく二つのセクションに分かれています。クリスタルガラスの塊を熱し吹くことで形を与える「ホットワーク」と、成形されたクリスタルガラスに装飾やカットを施して仕上げる「コールドワーク」です。どちらもすべてを手仕事で行い、使用する道具や技術は400年以上ほとんど変わっていません。
「ホットワーク」の作業場の中心には、溶けたクリスタルガラスが絶えず流れるタンク炉(溶解炉)が据えられています。<サンルイ>は、ヨーロッパ大陸で初めてクリスタルガラスの製造に成功した1781年から今日まで、この炉の火を一度も絶やすことなく受け継いできました。職人はこの炉の巻き上げ口からクリスタルガラスを吹き竿で巻き取り、息を吹き込みます。こうして伝統的な<サンルイ>のクリスタルガラスが成形されるのです。
成形されたクリスタルガラスに装飾やカットを施して仕上げる“Cold work”

「コールドワーク」では、カットやエングレーヴィング(彫り込み)・金彩装飾・艶出しなど、緻密で繊細な作業を施します。「コールドワーク」を行うカット職人や装飾職人は、手と道具を駆使した洗練された技術で、クリスタルガラスに精密な文様を刻んでいきます。例えば、成形されたクリスタルガラスにエングレーヴィングと金彩装飾を施し、メノウで磨いて艶を出す、この作業だけでも30~35もの工程を必要とします。
直感を頼りに力を込めて息を吹き込む「ホットワーク」と緻密な計算に基づいて作業が進行する「コールドワーク」は極めて対照的です。<サンルイ>の名にふさわしい格調高いクリスタルガラス製品は、こうした職人の巧みな技術によって生まれるのです。
ティスル コレクション
来年110周年を迎える、歴史ある“ティスル”コレクション。元々“Chardon(シャルドン=あざみ)”と呼ばれていたコレクションですが、1913年、英仏協商体制下の友好ムードの中、英国風の名前“Thistle(ティスル=あざみの英語名)”に改められました。金彩装飾を施されたクリスタルガラスがジュエリーのような輝きを放つのも“ティスル”の魅力です。グラスの中で光が反射し、クリスタルガラスがさらに美しく輝きます。
<サンルイ>を代表するグラス トミー
1938年、ヴェルサイユ宮殿で行われた英国国王ご夫妻歓迎記念昼食会の席に華を添えた時から、<サンルイ>を代表するグラスとなった“トミー”。カラーバリエーションも豊富で、世界中でベストセラーとなっています。脚台の星型カット、グラスのボール部分に施されたダイヤモンドカット・斜角カット・パールカット・ラインカットの全てに職人の巧みな技が結集しています。グラスを内側から覗き込むと、注がれたものが万華鏡のように輝くのも“トミー”の魅力です。
和食におすすめカトン ワイングラス
1877年に発表された“カトン”は、シンプルでありながら気品漂うデザインで、洋食にも和食にも幅広くお使いいただけます。世界中のフランス大使館で行われる公式晩餐会でも使用され、今日まで長く愛されています。
再現製作された限定ベース
二十世紀初頭の優雅な工芸品ともいえるフラワーベースが復活されました。ロマンティックな思い出のような、深い琥珀色のクリスタルガラスで作られたこのフラワーベースは、実用的な配慮を損なうことなく、見事なまでに当時の装飾的なスタイルを表現しています。
Une Histoire de Savoir-Faire
<サンルイ>職人技で紡ぐ歴史と物語
□2022年3月16日(水)~2022年4月5日(火)
□伊勢丹新宿店 本館5階 センターパーク/ザ・ステージ#5