featuring ARTIST―SHOHEI YAMAMOTO

featuring ARTIST―SHOHEI YAMAMOTO

自作のローラを用いて、絵具をアナログに反復させる方法を使い、絵画を制作し続けている山本捷平さんをフューチャー。これからの自身のアーティストとしての展望などについてインタビューさせていただきました。

佐藤香菜
山本捷平●やまもとしょうへい
1994年、神奈川県生まれ。2019年、京都造形芸術大学大学院 芸術専攻 ペインティング領域修了。 京都造形芸術大学 卒業制作選抜展『宇宙船地球号』東京都美術館 (東京)。 受賞歴に『アートアワードトーキョー丸の内2019』フランス大使館賞(2019年)。 主な個展として、『山本捷平個展 What is the “entity”』(Medel Gallery Shu[東京]、2019年)、『山本捷平個展』(西武渋谷B館8階 美術画廊 オルタナティブスペース[東京]、2019年)、『Re:Reiterate』(アンスティチュ・フランセ東京[東京新宿]、2020年)

僕はペインティングの「今」に挑戦します

ー「アート」と「時代」は、切っても切り離せない関係にあります。現在は、まだ先の見えないコロナ禍の混乱した中にありますが、世界中のアーティストたちは、その困難にもかかわらずクリエィションの手を休めていません。山本さんは、今最も注目されているペインターの一人ですが、最近はどのようなことを考えていますか?

山本:特に思うのは、コロナによる感染から身を守るために、対人関係がオンラインになったり、人との物理的な距離ができて、リアルな接触よりも情報としての接触の機会が増えています。ITや技術の発展が加速され、高度な技術が共有化されていくでしょう。それは良い反面、人間の持っている「生の喜び」、もっと言えば、得られる「快楽」が減ることになるでしょうね。

ー五感で得られるものが少なくなります。

山本:そうです。生き物としての「楽しみ」ということを考えた時、アートの力は重要です。アートは、意味や物語を超越させる力があります。絵画は、古典的な表現から、現代になるにつれ、知的なものへと変化しているけれど、常に「今」に挑戦できる。僕はペインティングの「今」を考えます。僕は絵筆だけでなく、ローラーを使いますが、それは身体、すなわち、身体性を絵の具という物質に持たせたいと考えていますし、そうやって絵画の歴史や意味に新しい意味を加える。コロナでスタジオに籠もりながら、そんな考えが更に強くなりましたね。

ー確かに、山本さんの作品には、「情報」と「身体性」ということがキャンバスの上で衝突しているように見えます。

山本:アートを本気で始め始めたのは21歳ぐらいの時です。現代アートの世界を深く知るようになり、アートの中に歴史の文脈や、時事ネタなど、それらをパズルゲームのように組み合せて創造できる世界があると。その世界を知れば知るほど面白いと思いました。確かに、そもそもは上手な絵を描く喜びから始まったわけですが、そこを知的に操作することで「価値を変換」することが発生する。まるでシミュレーションゲームのように面白い。アートというゲームの土壌を作ったのは欧米です。だからそういった視点を学び、グローバルな作家になりたいと最初から思っていました。

ーそれは、古典的な言い方では「アーティスト」と言っていたものが、「プレイヤー」としてアップデートしていくことを意味しますね。山本さんのプレイヤーとしての役割は何だと思いますか?

山本:世界を考えるときには、同時に日本のことを考えます。でも、僕のような世代には、明確なアイデンティティも、ストーリーも何も無かった。そのことを考えたときに、日本は海外から文化を輸入し、いろんなものをコンバインし、工芸的なクオリティーを与えて輸出することで成り立ってきた。その手法を、日本の自画像というか、セルフポートレート的に捉えて、アートとしてやったら面白いんじゃないか。レディメイドなイメージを自分の絵画に落とし込んで、それにボディを持たせて、反復や破壊をおこなう。そういうプレイヤーって、かっこいいんじゃないかと考えたので、役割といえばそういったものかもしれません。

ー確かに。かつてならアンディ・ウォーホルのようなポップアーティストが、そのプレイヤーだったんでしょうね。

山本:因数分解されたいろんなモチーフや出来事。ムーブメントみたいなものを自分で好き勝手にミックスし、新しい価値付けをして、今に提示する。僕の絵画自体も、アートの仕組みとリンクしたいんです。

今回の「EW」では、山本さんの絵画と、ハイファッションのコラボを行っています。スタジオでの撮影に立ち会って、どう思いましたか?

山本:僕はあらゆるメディア、それこそ音楽やファッションなども、人間が考え、クオリティを上げようとしてきた歴史だと思います。だから、結果的に、淘汰され残ってきた優れた作品はジャンルは何であれ、最終的にアート的な文脈に至るのではないでしょうか。それが1本の線になり残っていく構造。それは、ファッションもアートも同じだと思うんですね。

ーファッションブランドも洗練の歴史を作ってきた。全て結晶化させて。

山本:だから、今回に限らず、これからも異分野とのコラボは積極的に挑戦したいなと思っています。

デビュー後、凄いスピードで、国内外で評価され、順調にコレクターが増えていますね。今後どのような国際的なアーティストとして成長したいと考えていますか?

山本:時期が来たら、映像とかにも挑戦したいとは思います。でも、まだノイジーになりすぎるのが嫌というか、ある程度自分で確信が出来るまでは、ペインティング一本でやりたいです。版画や写真など、いろんなメディアはあるんですけど、「今」それらの手法でやってしまったら面白くないと思う。今は、絵の具とローラーの身体性をもって、世界的なペインターになりたいと思っています。


Reiterate-Ariadne-/2273×1818mm/
パネルに麻布、アクリル絵具

reiterate-Signature AW-/1167×910mm/
パネルに麻布、アクリル絵具

reiterate-三美神-/910×910mm/
パネルに麻布、アクリル絵具

reiterate-radial gradation-/910×910mm/
パネルに麻布、アクリル絵具

 
 
アート×ファッション

〈BURBERRY/バーバリー〉
ブラウス:264,000円  スカート:214,500円
バッグ:363,000円(ナイロン/47×72×30㎝)
※シューズは参考商品 ※バッグは伊勢丹新宿店のみのお取り扱いとなります。
□伊勢丹新宿店本館3階 インターナショナルデザイナーズ イースト
□日本橋三越本店本館3階 バーバリー
□銀座三越4階 バーバリー


〈TOM BROWN/トム ブラウン〉
ジャケット:379,500円  パンツ:244,200円  シャツ:46,200円
ネクタイ:30,800円  タイピン:57,200円  ソックス:12,100円
シューズ:156,200円
□伊勢丹新宿店本館3階 インターナショナルデザイナーズ ウエスト


〈Dsquared2/ディースクエアード〉
レザージャケット:276,100円※10月末販売予定
Tシャツ:66,000円  デニム:101,200円
※シューズは参考商品
□伊勢丹新宿店本館3階 インターナショナルデザイナーズ ウエスト


〈EMILIO PUCCI/エミリオ・プッチ〉
ドレス:265,100円  バッグ:99,000円(牛革/20×35×12㎝)
スカーフ:28,600円  サングラス:33,000円  タイツ:9,900円
ブーツ:173,800円※10月下旬販売予定
※インポート商品のため入荷が遅れる場合がございます。
□伊勢丹新宿店本館4階 インターナショナルラグジュアリー
□日本橋三越本店新館3階 エミリオ・プッチ