アメリカ・カリフォルニア州の大学に在学中は、バスケットボール選手として注目されていたUTA。祖母は樹木希林、祖父は内田裕也、本木雅弘、内田也哉子を父母に持つUTAが選んだのはモデルの世界でした。2018年、世界4大コレクションといわれる中でも特にパリ・コレクションで話題に。そんな世界で活躍するモデルUTAと同じく、日本や海外を舞台に活躍するカメラマン・鈴木 親によるスペシャルインタビューをお届けします。
アメリカ・カリフォルニア州の大学に在学中は、バスケットボール選手として注目されていたUTA。祖母は樹木希林、祖父は内田裕也、本木雅弘、内田也哉子を父母に持つUTAが選んだのはモデルの世界でした。2018年、世界4大コレクションといわれる中でも特にパリ・コレクションで話題に。そんな世界で活躍するモデルUTAと同じく、日本や海外を舞台に活躍するカメラマン・鈴木 親によるスペシャルインタビューをお届けします。
鈴木 親(以下、S) UTAさんがモデルをやってみようと決めたきっかけは何?
UTA(以下、U) きっかけは、知人が勧めてくれたこともありますけど、自分の知らない世界に挑戦してみたいという想いがあったことに加えて、何より祖母が助言をくれたことが大きいですね。もともと祖母と二人で話すことが多かったんです。モデルを始めるのか悩んでいた時にも祖母が「服を着る仕事は自分をより客観的に見ることができていいと思うよ」ということを言ってくれて、モデルをスタートする後押しになりました。
S モデルをやってみようと思ったのは、祖母である樹木希林さんの言葉が大きかった?
U そうですね。「何をするにも、自分や物事を俯瞰して見るって大事だから。いい訓練になるわよ」って。今考えると祖母の話はいつも的確でポジティブだったなと思います。
S モデルをやってみると決めて、デビューがパリのファッションウィークだったけど、その時にどういうことを考えていたか覚えている?
U 緊張も含めて楽しもうと思ったけど、結構カチカチでした(笑)。でも、同時に面白味も感じていました。
S 今回の撮影ではレディースの服を着用してもらったけど、希林さんの言葉であったように自分を客観視することで変わってきたことはあったりする?
U 自分は元々スポーツの世界で生きていて、バスケットボールをやっていたんですけど、男たちばかりの中でやっていたから、まさかモデルの仕事を始めてレディースの服を着ることになるとは思っていませんでした。でも、仕事でいろいろなタイプの服を着せていただきながら、自分の中でこなしていく幅も広がってきたので、最近は違和感が消えつつあります。それこそこの間、友達が彼女のプレゼントを探したいというので、伊勢丹へ一緒に買物に行ったんです。その時にレディースの売場とかを見ていて、これは自分でも欲しいなと思うものがたくさんあったので、今はそういう違いは関係なくなってきていると思っています。
S 今後、自分がこういうモデルになりたい、挑戦していきたいということはあるの?
U 今はまだ、さまざまな刺激や影響を受けながら、自分としての個性を探っている感じです。その意味でもパリのファッションウィークは貴重な体験なので、早く復活してほしいですね。やっぱりランウェイの心地良い緊張感が好きなので。
S 父親とか母親の洋服をUTAさんがプライベートで着ることはある?
U はい。母のアクセサリーを時々借りて着けたりしますよ。あえてメンズにはない繊細なチェーンを選んだりすると新鮮ですね。
S 祖父の内田裕也さんから形見分けでいただいたジャケットがあるって言ってたよね?
U 形見としてもらったジャケットやアロハシャツ、それにコートもありますね。アロハは柄が面白いので、結構よく着ていますよ。派手な裏地がついた〈エルメス〉のコートは、いつかチャレンジしてみようと思っています。
S お祖父さまやご両親が持っていた洋服やアクセサリーも良いものだから、長く使えて、家族で共有しているということだね。
U そうですね、共有するということは家族内でよくありますね。
S 父親の本木さんが着ていた<コム デ ギャルソン>のシャツを、希林さんが着ていたりもしていましたもんね。そういえば、最近よくジェンダレスということで男女差のないような洋服を着たりしているけれど、希林さんはもともとそういうことは関係ない方でしたよね。
U 祖母はそういうことに関係なく、何でもアレンジして自分なりのスタイルにする人でしたね。
S 母親の也哉子さんが、ニューヨークの若くてエッヂのあるデザイナーからワンピースを買っていたことがあったけれど、何年か後に希林さんがそのワンピースを着てテレビに出演していて、素敵だなと思ったよ。
U 確かに、祖母が母の洋服を着たり、母も背が高い方なので、父の服を使っているし、男、女、親子間で物が動いていました。
S UTAさんの家ではジェンダレスもエイジレスも関係ないような感じなんだよね。
U 特に祖母はメンズでも古着でも気に入ったものをずっと長く使うような人だったし、ファッションに限らず性別や年齢の差がどうこうということは意識していなかったんじゃないかなと思います。
S 今考えてみると、希林さんはずっとそういうスタイルでしたよね。付け加えると、本木さんもソロになってからはジェンダレスなスタイルでしたよね。
U 若い時は特にそういう雰囲気があったみたいですね。
S そういえば、UTAさんが乗っている車も、もともとは希林さんが乗っていたものだったね。
U そうなんです、今はもう販売していないんですが、TOYOTAのオリジンという車です。祖母はクラシックなルックスが好みなので、ある日ショールームの前を通って見かけたらしく、気にいって購入したらしいんです。確か20年ぐらいずっと乗ってたんですね。学校の送り迎えもしてくれたこともあったので、その車の助手席に座っていた思い出があります。
S それを今、UTAさんが引き継いでいると。
U そう、今回の撮影もその車に乗って来ました。
S そういう家族の生き方であったり、ファッションのスタイルで影響を受けているところはあると思う?
U 特に祖父母の自由で差別がない感じは見習いたいですね。父も母もよくそう言っています。そして、祖父のトラックスーツに黒ジャケットというスタイルが好きでした。スポーツウェアを大人っぽくアレンジしているのが、子供ながらに格好イイなと思った記憶があります。
S 今回の撮影で共演した田中久美子さんが、本木さんとも仕事していたことは知っていた?そういった家族の仕事のつながりで、新しい人に出会っていく時に感じることってある?
U 驚きましたね。後で父に聞いたら憶えているし、田中さんの気品のある存在感が好きだって言っていました……。自分としては、母との関係で赤ん坊の時に出会った親さんと、今こうして一緒に仕事をしているのが、何とも不思議な感じです(笑)。
S 最近、買い物をしてよかったと思う洋服はあった?
U そうですね、友人が始めた小さなブランドで購入した、パールやビーズで作ったチョーカーです。それをスポーツトレーナーに合わせるのが気に入っています。それから、<メゾン マルジェラ>のレディースで、着心地の良いジャケットとカットソーを買いました。
S <メゾン マルジェラ>のジャケットはメンズもレディースもほとんど同じような形だよね。
U はじめからユニセックスで作られたものもあるので、時々チェックしています。
S 今回の撮影で着用した洋服で気に入ったもの、例えば父親や母親と共有して着てみたら面白いなと思ったものはある?
U <メゾン マルジェラ>のセットアップは母が好きそうなので、良いと思います。袖の抜けている感じというか、あのシルエットは母も気に入りそうですし、自分と共有できる可能性が高いと思いました。はじめから共有するとどうだろうと思って洋服を買うことはあまりないので、そういう意識で買い物をするのも面白そうですね。
S 次の春夏のシーズンでこういうものを着てみたいなと思うものは?
U <バーバリー>のトレンチコートですね。実は、モデルになる前にはじめて観たショーがロンドンでの<バーバリー>でした。今日もレディースで着させていただきましたが、老舗のアイコンアイテムを、今の自分らしく着るとどうかなと思っています。
S 今のUTAさんにとって、ファッションはどんな存在だと思う?
U そうですね。自分の中の自信を引き出してくれるものだと思います。プライベートでも仕事でも。だからこそファッションはルールもリミットもないものだと思って、楽しみたいですね。
家族との日々の生活から受け継いだ価値観や、心に残っている言葉を大切にしながらモデルとして活躍しているUTA。世界からの注目を浴びながらも、UTAはファッションを楽しみ、新たな経験ができることを面白がっているようです。これからどのように進んでいくのだろうか、UTAの将来の可能性に大いに期待したいと思います。
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