伊勢丹も阪急も岩田屋も! 名古屋や群馬、山形のセレクトも! 垣根を超えて6社集結の「デニム de ミライ」とは?【特別編集『WWDJAPAN』編集長 村上 要】
突然ですが皆さん、ファッション&ビューティーのニュースメディア『WWDJAPAN』編集長の村上 要です。今回はこの場を借りて、業界を長年ウォッチしてきた私が驚いたニュースをお伝えしたいと思います。それは「デニム de ミライ~Denim Project~」。60を超えるブランドが、ユーズドストックの<リーバイス® 501®>をアップサイクルした200型以上のアイテムは3月23日(水)から、伊勢丹新宿店や、ご覧の「三越伊勢丹オンラインストア」をはじめ、下記の店舗でも販売されます。(※アイテムにより展開店舗が異なります。)
このサステナブルな「デニム de ミライ~Denim Project~」が「驚き」なのは、三越伊勢丹(伊勢丹新宿店・三越伊勢丹オンラインストア)が音頭をとって、阪急阪神百貨店(阪急うめだ本店)と岩田屋三越(岩田屋本店)、エスティーカンパニー(群馬)、ファッションコアミッドウエスト(名古屋)、そして佐藤繊維(GEA・山形)がタッグを組んだアクションなこと。正直「三越伊勢丹でしか買えない『オンリー・エムアイ』じゃなくても良いの!?」と思うのは、私だけではないでしょう。
業界を驚かせる「デニム de ミライ~Denim Project~」誕生の経緯とは?前代未聞のアクションに参画する6社の想いとは?僭越ながら、6人の担当者が集結した座談会のファシリテーターを務め、お話を伺いました。
【座談会】『WWDJAPAN』村上編集長×百貨店&セレクト6社集結!
「デニム de ミライ ~Denim Project~」とは?
写真は右から、ファッションコアミッドウエストの大澤 武徳さん、佐藤 繊維(GEA)の佐藤 正樹さん、三越伊勢丹の神谷 将太さん、エスティーカンパニーの環 敏夫さん、阪急阪神百貨店の山外 拓海さん、聞き手を務めた『WWDJAPAN』編集長の村上 要。岩田屋三越の神崎 悠さんはリモートで参加してくれました。
『WWDJAPAN』に携わって15年、ディスカッションに参加した皆さん同様、最近は私も「このままでは、ファッションが危ない」や「どうしたら、もっと元気になるんだろう?」「何をすれば、みんなにファッションの魅力が伝わるだろう?」と考え続け、動いているけれど悶々することもありました。だからこそ、伊勢丹新宿店を訪れエールを託したエスティーカンパニーの環さん、その想いに応えて「デニム de ミライ~Denim Project~」を発案して環さんにアプローチした三越伊勢丹の神谷さん、そして大義に賛同して積極的に参画した阪急阪神百貨店の山外さん、岩田屋三越の神崎さん、ミッドウエストの大澤さん、そして佐藤繊維(GEA)の佐藤さんの想いと行動力には、共感と尊敬の念しかありません。結果「デニム de ミライ~Denim Project~」は、素材の供給元から小売まで、そしてさまざまなブランドがユーズドストックをアップサイクルするという、大きなサステナブル・アクションになったのです。(※アイテムにより展開店舗が異なります。)
生まれたアイテムは、多種多様です。例えば<セルジオ ロッシ>のパンプスは、ダメージや汚れがひどくて引き取り手がいなかったデニム生地から生まれたとは思えないエレガントな佇まい。イタリアンブランドのセンスや職人技を感じます。一方、<ヴィヴィアン・ウエストウッド レッドレーベル>のカオスなシャツは、ユーズドデニム生地の風合いを生かしてパンクに仕上がりました。<ファミリア>のデニムバッグは、誰もが触れたことのあるデニム素材の温かみを引き出し、長らく使い続けているかのような愛着感を漂わせています。東京の下町にあるヤマサワプレスが引き取った20トンのデニム生地、それぞれの歴史はもちろん、参画したブランドの多様なクリエーティビティを感じさせる品々が勢揃いしました。
そして三越伊勢丹と阪急阪神百貨店と岩田屋三越、エスティーカンパニー、ファッションコアミッドウエスト、そして佐藤繊維(GEA)は、個々が取扱う商品を選び、独自のメッセージを発信しながら販売します。一つの「デニム de ミライ~Denim Project~」ではありながら、生まれた商品や、それらを販売する空間はダイバーシティに富んでいるのです。また岩田屋三越の神崎さんは、「普段取扱っていない<ミナ ペルホネン>のアイテムを販売できて嬉しい。」と語ります。「デニム de ミライ~Denim Project~」は、新たな出会いも生みました。
多くの小売店、そしてブランドがタッグを組むことで、ヤマサワプレスが引き取ったデニム生地は今回、半分近くをアップサイクルすることができました。ただ、20トンには及びません。そして世界には、まだまだ多くのデニム生地、そしてこのままだと捨てられてしまう運命にある素材や洋服が存在しています。ミッドウエストの大澤さんは、「ヤマサワプレスの20のデニム生地を見たとき、衝撃を受けた」と話します。セレクトショップ「GEA」も営む紡績ニットメーカー、佐藤繊維の佐藤さんにも思うところはいろいろあったでしょう。
「デニム de ミライ~Denim Project~」がきっかけとなり、このムーブメントがより多くのブランドと小売店に広がって、少しでも多くの素材をアップサイクルしながら、ファッションならではの多様性と高揚感を皆さんに提供できたらと願ってやみません。