2021年10月に伊勢丹新宿店で開催した「KUROZOME REMAKE」。これは本館3階のリ・スタイルでお取扱いのブランドの在庫となったアイテムを、黒紋付を100年間染め続ける＜京都紋付＞の黒染め技術を施し、リウエアとして販売したイベントです。そのイベント時に参加いただいたブランドの一つが＜Merlette/マーレット＞でした。「黒に染めれば、服は生まれ変われる」というテーマに共感いただいた＜マーレット＞の5周年記念イベントで、今回は＜マーレット＞単独での黒染めプロジェクトが実現。マリーナ・コートバゥイさんに本企画への想いやファッションの在り方についても語っていただきました。

ときに制約にもなるが、そのなかでできるクリエイティブもある
マリーナ・コートバゥイさんインタビュー

＜マーレット＞の服作りでなにを大切にしていますか？

私はいつも「現代を生きる女性たち」と「彼女たちの日常」を思いながら服をデザインしています。
すべての工程において考え抜くことが、どんなシーンでも着られて、トレンドや時代に左右されずに、長く着られる服作りに繋がると信じているからです。それは世界に新しいデザインを発信するデザイナーとして、ブランドとしての、今日のファッションデザインへの責任とも捉えています。

＜京都紋付＞の黒染めを知ったときはどう感じましたか？

リ・スタイルさんからの2021年の「KUROZOME REMAKE」へのオファーは、＜マーレット＞としてもなにか提案できないかと考えていたときでもありました。
日本の伝統的な黒染めを利用して、オフシーズンまたはキャリーオーバーしていた服に、新しい表情と価値を加えるという＜京都紋付＞の考え方にはとても共感できました。
今回は伊勢丹新宿店でのイベントに合わせて、アメリカ本国のオンラインストアでも黒染めプロジェクトアイテムを展開いたします。

リメイクすることとファッションの関係について考えていることは？

＜マーレット＞のコレクションは年間2シーズンのみなので、型数をむやみに増やさず、生地やデザインも無駄にしないことを大切にしています。また毎シーズン同じ生地を使い続けることにより生地ロスも防いでくれます。
コットン・シルク・リネン・アルパカ・ウールなど天然由来の素材の風合いが大好きなのですが、使用するうえで品質などクリアした生地だけを使用するということは、デザインに制限が生まれることもあります。
ですが、その限られた中でデザインすることもまたクリエイティブだと思っています。

日本の＜マーレット＞ファンの方へのメッセージを

私は着こなしに＜マーレット＞のアイテムを取り入れた、日本の皆さまのコーディネートを見るのが大好きですし、それはコレクションを作るうえでインスピレーションにもなっています。複数のコーディネートに対応できるアイテムであることはファッションでは大切なことで、「良いアイテムと出会えた」と思っていただけるはずです。
今シーズンの新作や黒染めプロジェクトのアイテムを、皆さんがどのように自由にコーディネートをしてくださるのか、とても楽しみにしています。

＜マーレット＞のこれからのファッションとの向き合い方は？

2022年で＜マーレット＞は5周年を迎えました。この数年で私達の日常は大きく変化しましたが、＜マーレット＞はいつでもその時代を生きる女性たちの日常にフィットする「LIFESTYLE COLLECTION」であり続けたいと思っています。時代やトレンドに左右されない＜マーレット＞が守り続ける価値に、これからも誠実であり続けたいです。

ヨーク下から広がるティアードに繊細なカンタ刺繍が施されたミニドレス(SOLIMAN/ソリマン)を黒染め加工しました。カンタ刺繍だけが黒に染まらずゴールドやホワイト・ブラックの刺繍が映える一着に仕上がりました。

期間限定で宮下パークへブース出展が決定