私にはこの服があれば大丈夫!自信を持って堂々と歩んでいけるアイテムを|<パロマ>ブランドディレクター 平大路 えみ

私にはこの服があれば大丈夫!自信を持って堂々と歩んでいけるアイテムをのメインビジュアル

「日常的に着続けたくなる服だけを作る」。そんな想いからブランドディレクターとして<Paloma/パロマ>を立ち上げた平大路 えみさん。本格的なローンチは2023年ですが、平大路さんが本当にしっくりきたものだけを商品化するというスタイルから、ファーストコレクションのサンプルの試着期間は2年にも及んだそう。伊勢丹新宿店でのブランド初のポップアップに登場する新作も、平大路さんの想いが詰まったものばかりです。

<Paloma>POPUP STORE

□2024年4月10日(水)~4月16日(火)
□伊勢丹新宿店 本館2階 アイテムプロモーション

平大路えみのプロフィール画像
平大路 えみ
東京都港区生まれ。二児の母。
結婚、出産、離婚を経て、「すべての女性が、如何なる状況にあっても、心から自分を愛せるように」と想いを込めた、アパレルブランド<パロマ>を2023年に立ち上げる。

自分好みの服を着たいので学生の頃からアレンジしていた

─平大路さんがブランドを立ち上げた経緯を教えてもらえますか?

平大路:学生の頃から自分が着ている服やバッグ、靴、アクセサリーなど、身に着けるものを、「それどこの?」と聞かれることが多くありました。
しかし、私は購入した服を自分好みにアレンジしていたので、同じものは売っていないんです。
Instagramでも質問していただくことが多いのですが、ブランドのタグ付けをするにも、デザイナーさんに失礼かな、と思い躊躇することもよくあります。

─どのようにアレンジされていたのですか?

平大路:生地は好みでもシルエットなどはそうでもないという服に出会ったりすることがありますよね。そんなときに私は例えばパンツなら膝から裾までのラインを変えたりしていました。
そういうことをずっとしていたので、いつかは自分好みの服をゼロから作りたいという想いを持っていたんです。それでも結婚をして、子どもが産まれて、いろいろ忙しくなって、ブランドをやりたいという気持ちがありながらいつかいつかで後回しになっていたんです。

─<パロマ>の立ち上げは2023年ですが、ついに始動させたのはきっかけがあったのでしょうか?

平大路:離婚は私にとって、女性としての生き方を深く考え、学ぶ機会となりました。
母親として子どもたちにどんな女性像を魅せたいか、と思ったときに、本格的にブランドを始めよう、と決意しました。

それともうひとつ背中を押してくれたのは、Instagramでのフォロワーの方々の存在でした。育児に追われて自分を見失いがちな日々もフォロワーさんにたくさん励ましていただきました。社会から遠ざかっていたような気持ちでしたが、Instagramにはしっかり自分の居場所が存在していたんです。挑戦する場所があると思えたからスタートできたのだと思います。

─平大路さんのInstagramは女性を応援するような温かいメッセージが多いですよね。だからこそ相談したくなるのかもしれないです。

平大路:SNSの前はブログもやっていて、自分の恋愛のことなどを赤裸々に綴っていました。そんな等身大のスタイルだったので相談をしやすい身近な存在のように感じてもらえたのかもしれないですね。なかなか人には打ち明けられないようなご相談をしていただくこともありますし、たくさんの励ましをお寄せいただいていて、すごくありがたいです。

さまざまなご相談をいただきますが、すべてに共通する私からの伝えたい想いは、「どんなことがあっても自分の価値を信じて、堂々と挑戦してほしい。自分をもっともっと大切にしてほしい」ということです。

ブランドをスタートする際、なかなか理想の商品ができあがらず、諦めようと何度も思いましたが、この想いを1人でも多くの方に届けるためにも、まずは私が自身の可能性を信じよう、挑戦する姿を見せたい、と踏ん張ることができました。

─<パロマ>というブランド名にはどんな想いが込められているのでしょうか?

パロマのロゴ画像

平大路:結婚、出産、離婚の経験を経て、社会での女性という立場についていろいろな葛藤がある中、映画『007』を観る機会がありました。『007』と言えば「ボンドガール」の存在も名物なのですが、このシリーズから「ボンドウーマン」という呼ばれ方に変わっていたんですね。劇中でも、ただ可愛くて、守られている立場から、強く逞しく美しく自分なりの力でたたかう姿が印象的でした。
女性にとって、新たな時代の幕開けだなぁと。うまく言語化できない、私の中の想いがリンクしたんです。そのボンドウーマンの名前が「パロマ」でした。

もうひとつ、パロマはスペイン語で鳩です。
昔メッセージを伝える手段が伝書鳩だったことはご存知かと思うのですが、私もたくさんの女性にメッセージを届けて励ましたいという思いに、パロマ(鳩)はぴったりでした。

商品化するかしないかは自分が日常で着続けてから決める

─身に着けているものなどについて周囲から聞かれるということですが、平大路さんは服でもアクセサリーでも選ぶときのこだわりなどはありますか?

平大路:こだわり!といったものは正直なくて。なかなか好きなものに出会うことがないので、やっと見つけたお気に入りをいつの間にかすごく長く愛用している感じです。

─平大路さんのファッションはどれもシンプルだけれど洗練されているという共通点を感じますが、それはご自身のお気に入りだけを着続けているからなのですね。

平大路:ものを選ぶ基準というのは意識していませんでしたが、両親から受け継いたような気がします。
大人になってから聞いたのは、両親が育児で意識していたのは、子どもたちに「一流に触れさせる」ということだったそうです。車やカメラ、時計、日本刀が好きな父はさまざまな分野における一流をそのアイテムやブランドのストーリーと共に私たち兄弟に教えてくれました。
革張りのシートだから、座ったり立ち上ったりするときは、なるべく摩擦させないようにするんだよ、だから右側に座るなら右側のドアから乗りなさい、とか、質を大切にするために、とても細かかった。(笑)
刀を磨いている際に父に話しかけると、唾が飛ぶだろう、と叱られました。
高いからすごいのではく、こんな理由があるから価値が高いのだ、という父の教えは、今となってはとても大切な考え方と思っています。

母は子どもたちに、プラスチックではなくガラスの食器を使用させることで、ガラスの繊細さを日常の中で覚えさせてくれたり、テーブルの材質や素材の温もりにこだわったり、見た目だけではなく使い勝手がよくないとだめだと、高級な洋服やバッグまで、チャックの開閉をしやすいように改造したりしていました。(笑)
ストーリーと、質と、使い勝手にこだわった両親から教わった価値観は私のもの選び、ものづくりの基準になっていると思います。

─<パロマ>はシーズンに合わせて新作を発表するということをしていないのは、「作りたいものを、作りたいときに」という発想からなのですね。

平大路:最初に作ったのがニットドレスとニットキャップですからね。そこにも共通するシーズン性はないですよね。(笑)
<パロマ>のものづくりは変わっているかもしれませんが、まずは私自身がモニターのようにサンプルを試着するんです。それも1回や2回ではなく、ドレスも商品化する前に2年近くもプライベートで着ていました。実は、ドレス以外にも候補はあって、サンプルも作っていたのですが、普段の暮らしの中で着続けていきたい、ずっと愛用したいと思ったのはドレスだけだったんです。

─商品化するものは、平大路さんが本当に気に入ってワードローブにしたいというものだけなのですね。

平大路:ニットキャップもそうですね。
服がちょっと華やかでもカジュアルダウンできたり、逆にシンプルなファッションでもおしゃれなアクセントになったり、そんな使い勝手の良さもあってニットキャップが好きだったんです。それでもお気に入りがなかなか見つからなかったので自分で作りました。
まわりにどう思われようとしょっちゅう着てしまうような、<パロマ>は「私はこれが好き!」と堂々とできて、持っていてうれしくなるようなアイテムを作りたいんです。

─今回の伊勢丹新宿店で展開するアイテムについて教えてもらえますか?

平大路:ボディスーツ、タンクトップ、パンツ、トートバッグを新たに作りました。これもサンプルはあったのですが商品化まではダラダラしていて、それでも間に合わせないといけないと今回のポップアップがいいきっかけになりました。(笑)
私はサンプルでも自分の日常着としてSNSに写真をアップしたりしているので、「どこで買えるんですか?」、「いつ販売されるんですか?」という問い合わせが多いんです。そんな声にようやくお応えすることができました。

伊勢丹新宿店のお客さまに共感していただけるとうれしい

─ブランドディレクターであり2児の母でもあり、お忙しいはずなのにいつも余裕のようなものを感じます。そんな平大路さんの美しさや健やかさの秘訣を知りたいです。

平大路:余裕なんてないです。(笑)
産後なんて本当にボロボロで、毎日落武者みたいでした。
でも、世界で一番すごい仕事をしているし、どんな状況だとしても「私ってすごく価値のある人間なんだ!」って思うようにしています。
うまくいかないときもあるけど、必ず最後はどうにかできる、って信じて生きています。(笑)

平大路さんとお子さんの画像
お子さんがお花見をしている画像

─伊勢丹新宿店のポップアップでは平大路さんは店頭で接客をしてくださる予定なので、きっとお会いしたいというお客さまはいらっしゃると思います。

平大路:フォロワーの皆さんに、直接お礼ができる機会をいただいたと、ありがたく思っています。伊勢丹の方には申し訳ないのですが(笑)、目的は<パロマ>じゃなくてもいいと思っています。私も<パロマ>も「初めまして」の方もいらっしゃると思うので、それも楽しみです。

─ブランドとしてのポップアップは初となりますが、伊勢丹新宿店からのオファーをどう感じましたか?

平大路:もちろんうれしかったです。伊勢丹には上質なものに触れてこられたお客さまがたくさんいらっしゃると思うので、<パロマ>の魅力を共感していただけるのかなと思って楽しみにしています。