2024のアートはじめはイセタンで!
伊勢丹新宿店 本館3階のモードフロアでは、一年のはじまりを飾るイベントとして2023年からアート作家のエキシビションを開催しています。ファッションだけでなく、感性をくすぐるアートやあらたな才能と出会うワクワクをお届けすべく、今回フィーチャーしたのは宮崎知恵さん。雑誌のイラストなど数多く手がける知恵さんに、伊勢丹新宿店 リ・スタイルを担当する冨谷が話をうかがいました。
TOMOE MIYAZAKI EXHIBITION “BUSY AREA” Curated by Pacifica Collectives
□2024年1月2日(火)〜2024年1月12日(金)
※2023年12月31日(日)は展示のみとなります。※営業時間:午前10時〜午後5時
□伊勢丹新宿店 本館3階 センターパーク/プロモーション
宮崎知恵/Tomoe Miyazaki(STOMACHACHE.)(写真右)
姉の信恵と2人でSTOMACHACHE.として活動。家を自分で建てた元牧師の父のDIY精神を受け継ぎ平面や立体の作品を制作。雑誌や広告、CM、CDジャケット等々、いろいろな媒体でイラストを描いている。
冨谷涼(写真左)
伊勢丹新宿店 本館3階のリ・スタイルを担当する。リ・スタイルで展開する国内外のファッションブランドの買付けとともに、多様な感性を持つ伊勢丹新宿店のお客さまに、担当領域の垣根をこえて新しい価値提案をすべく様々な企画を担う。
前回開催した『宮入圭太の型染展 “Tea room” Curated by Pacifica Collectives』も担当。
高校生の頃から、お手製のzineをひたすらつくって配っていた
冨谷:まず、この度は伊勢丹新宿店での個展をお受けいただきありがとうございます。春にPACIFICA COLLECTIVES(パシフィカ コレクティブス)で行った以来の個展になりますか?
▲2023年春に開催した個展「JUST BECAUSE」の様子。(PACIFICA COLLECTIVESにて)
宮崎知恵さん (以下、知恵さん):そうですね。そろそろ個展をやりたいなと思っていたタイミングだったので、こちらこそありがとうございます。
冨谷:知恵さんのイラストは雑誌で目にする方も多いと思いますが、そもそもイラストレーターになったきっかけというのは?
知恵さん:2004年から姉といっしょにSTOMACHACHE.という名前で活動を始めました。はじめたきっかけは、『relax』という雑誌で写真家のライアン・マッギンレーの記事を読んだこと。彼が自作した作品集を周囲の人に配って仕事をもらったというエピソードを読んで、わたしたちもやってみようって。自分たちで絵を描いて本にまとめて、知り合いに配っていたんです。それってzineっていうんだってことも後々知ったくらい、何も知らずにはじめていました。姉とふたりでひたすらzineをつくって、当時大阪梅田にあったタワレコのフリーペーパー置き場に勝手に置いていました(笑)。
▲2004〜2013年の間に制作したzine
冨谷:勝手に置いて、怒られませんでしたか?
知恵さん:大丈夫でしたね。置いたあと観察していたら、店員さんが私たちのzineをパラパラめくって、そのままラック台に戻してくれて。それを見て、あぁ認めてもらえたんだなって(笑)。その後予備校時代に、たまたまキンコーズでzineをコピーしているところに予備校の先生が現れて、イラストを見た先生がzipFMという名古屋のラジオ局のタイムテーブルを描く仕事を頼んでくれたんです。それが最初のお仕事でした。
平面、立体にこだわらないものづくり。DIY好きな父の影響も
冨谷:お姉さんといっしょに活動されているということですが、ご両親もアート系のお仕事を?
知恵さん:まったくです。でも、父は趣味で家具をつくったり家を建てたりする人だったので、その影響はあると思います。元牧師なんですが、教会も自分で建てていました。いまアトリエで使っている机も、父のお手製です。
冨谷:知恵さんの作品には、大きな立体のものがあるのも特徴的ですよね?イラストレーターで立体をつくられる方はあまりいない印象ですが、なぜつくろうと思ったのですか?
知恵さん:もともと平面、立体にこだわらずにつくっていたので、とくに意識してはいないですね。たまたまイラストレーションの仕事が多かったので、平面の印象が強いのかもしれません。立体作品ではとくに、もともとあるものをベースにつくることが多くて、たとえば宅配便で荷物が届くと、この箱なにかに使えるかもしれないと思ってなかなか捨てられないんです(笑)。
考えるよりまず、手を動かす。伊勢丹らしさを生かした展示をしたい
冨谷:今回伊勢丹で行う個展のテーマは固まってきましたか?
知恵さん:まだタイトルは決まっていないんですけど(取材は11月)、エスカレーターを上って会場が見えた瞬間、ハッとするようなインパクトのあるものをつくりたいなと思っています。あまりテーマを決めすぎると手が動かなくなってしまうので、考えるより先にひとまず手を動かすタイプ。コンセプトをガチガチに決めちゃうのが苦手で、やりたいなと思うものをつくりはじめたほうが楽しくできるんです。
▲知恵さんの作品づくりはひとつずつ完成させるのではなく、同時進行スタイル。アイデアに詰まったら別の作品に着手する。
冨谷:伊勢丹だからこそやってみたいことなどありますか?
知恵さん:なかなか個展をやれる場所ではないですし、普段はお洋服が並んでいるところ。もともとある陳列棚をそのまま使って展示するのはおもしろいなと思っています。せっかく伊勢丹でやるので、その「らしさ」を残したいなって。通常のギャラリーではできない体験ですし、ちょっと変わった場所や空間の方が好きなので(笑)。
冨谷:いつもは洋服やジュエリーが並んでいるところなので、そこに知恵さんの作品が並ぶところは僕も楽しみ。早く見てみたいです。今回は、作品のほかにPACIFICA COLLECTIVESが監修したプロダクトも見どころのひとつですよね。知恵さんがプライベートで使っている自作のカスタマイズバッグをプロダクトとして再現しているとか。
知恵さん:そうなんです。こまごました改造が好きで、既製品をアレンジすることがよくあって。エコバッグもファスナーや内ポケットを付けたり、ハンドルを縫い合わせて斜めがけできるようにカスタマイズしたりして使っています。わたしがカスタマイズしたバッグをベースにして、PACIFICA COLLECTIVESさんがプロダクトをつくってくれています。
新春祭のビジュアルも担当。家族で楽しむお正月を素直に描く
冨谷:今回は本館3階の個展だけでなく、伊勢丹新宿店全体の新春祭のビジュアルもご担当いただいています。「家族で楽しむお正月」がテーマになっていますが、どんなイメージで描かれていますか?
知恵さん:あまりひねらず、ストレートに表現しようと思っています。子どもの頃は母が毎年おせちをつくってくれていたので、お正月らしく、家族みんなでこたつでおせちを食べているイメージ。羽子板とか、コマとかお正月のあそびもちりばめてみようかと思っています。
冨谷:伊勢丹新宿店全館にはこの新春祭のビジュアルが、本館3階では知恵さんの作品とプロダクトがずらりと並ぶわけですね。お客さまにお披露目できる日が楽しみです。引き続き、制作がんばってください。今日はありがとうございました。
知恵さん:ありがとうございました。がんばってつくります!
「とにかく手を動かしている時間が好き。考えすぎて何もできないなんてもったいないし、まずは、やりたいことから、とにかくつくりはじめる」という言葉が印象的だった知恵さん。知恵さんの気になるもの、やりたいことであふれたアトリエは、静かなエネルギーに満ちた空間でした。個展は2024年1月2日(火)からスタート!ぜひご期待ください。
※2023年12月31日(日)は展示のみとなります。
今回のイベントで販売する作品・
プロダクトの一例
Pacifica Collectives
(パシフィカ コレクティブス)
「アートをインテリアに」をコンセプトに九段坂上に店舗兼ギャラリーを構えるインテリアブランド。主にラグやクッション、時計などのインテリアグッズにアーティストのイラストや作品を落とし込み、アート作品のような「コレクションしたくなる」インテリアグッズをメイドインジャパンにこだわり製造販売している。今回のイベントでは、全体のアートディレクションからラグやアパレルアイテムなどの制作を手がける。
伊勢丹新宿店 新春祭 2024イメージビジュアル
※画像は一部イメージです。
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