2021.3.2 UP
ビニールハウス中で凍えているようなホウレン草。独創的な栽培方法に取り組む福島県会津市の生産者、五十嵐利昭さんの<極寒ホウレンソウ>が新宿伊勢丹にやってきます。五十嵐さんに、ホウレンソウ作りにかける思い、販売の経緯を伺いました。
五十嵐利昭さん
福島県会津坂下町出身。元々は花卉栽培農家でトルコ桔梗をメインに栽培。トルコ桔梗を同じ土で作り続けると連作障害が起きるため、野菜との輪作栽培を開始。ホウレンソウとの相性の良さにたどり着き、次第にホウレンソウ作りに夢中になる。
五十嵐利昭さんが<極寒ホウレンソウ>を栽培し始めたのは6年前。元々トルコ桔梗の花を育てる農家でしたが、トルコ桔梗の後、夏はミニトマト栽培を始め、そして冬に作り始めたのがホウレンソウでした。会津の冬の寒さでホウレンソウが甘くなることがわかるとどんどんその特色を極めたくなり、一人で<極寒ホウレンソウ>作りに邁進したそうです。
編集部「冬に甘くなるホウレンソウだと、縮みホウレンソウが知られていますが、縮みホウレンソウとは品種が違うのですか?」
五十嵐(敬称略)「縮みホウレンソウは地に這う様に広がり、色も濃くなる専用品種があります。私のホウレンソウは極普通の品種。違うのは育て方です。通常ホウレンソウの栽培期間は50〜60日ですが、私の場合は100日程度。寒さに当てながらじっくりゆっくり育てます。ホウレンソウはゆっくり育つほど、葉や茎に糖分や栄養分を蓄えます」。
編集部「写真を見ると、ハウスなのに中のホウレンソウに雪が積もって、ホウレンソウが凍えているようです。このハウスは一体どういうことなのでしょう?」
五十嵐「ホウレンソウは寒さに強く、寒ければ寒いほど甘くなります。私は最初からハウスをオープンにして、寒さに当てながら育てます。ハウスは雪でホウレンソウが埋もれてしまわないように使います。ですが、この時期は積雪も多く、実はハウスを使うのは危険なのです」
編集部「危険と言いますと?」
五十嵐「雪でハウスが潰れてしまうから。ですから、いつでも除雪できるように除雪機をすぐそばに置いて、夜中に4回ほど除雪することもあります。こんなこと誰もやりません。朝凍って、昼溶ける。これを繰り返してホウレンソウは甘く、丈夫に育つのです。これだけ寒いと虫も一切いません」
編集部「最初から、東京で販売しようとして今の栽培方法を始めたのですか?」
五十嵐「いえ、ずっと地元で出荷していました。道の駅とか地元のスーパーです。明らかに他のホウレンソウと違うのに、いまいち地元では反応がない。もっと価値をわかってくれるところに出してみたいと思っていたら…ある時、伊勢丹新宿店のバイヤーさんが商談会で来るという情報をキャッチして、呼ばれてないのに行きました!」
編集部「チャンス到来だったと」
五十嵐「いやあ、もうこの機会を逃したらと必死でした。どうやったら、バイヤーさんに会えるかなんて私たちはわかりませんから。そして収穫時期に食べてもらうことになり、新宿にも行きました」
編集部「今回は伊勢丹新宿店限定での発売ということですが、<極寒ホウレンソウ>はいつぐらいまで収穫できるのですか?」
五十嵐「播種をずらしていけば収穫はずっと先に伸ばせるのですが、この<極寒ホウレンソウ>に相応しい特色が一番味わえるのは3月上旬から4月上旬あたりまでだと思います。その後は徐々に普通のホウレンソウになります(笑)」
五十嵐さんだけだ作っている<極寒ホウレンソウ>は3月3日(水)から店頭に登場。3月3日(水)には、五十嵐さんも店頭にいらっしゃいますのでお楽しみに!
※諸事情により五十嵐さんの来場の中止や、商品の入荷がない場合がございます。
Text: Food Index編集部