2024.2.2 UP
「皆さんも1枚、どうぞ」
取材が始まると同時に、<デメル>の「ソリッドチョコ猫ラベル ミルク」をスタッフに勧めてくれたのは、ミュージシャンの坂本美雨さん。今回お邪魔した東京・目黒の歴史あるレコーディングスタジオは、父の坂本龍一さんをはじめ彼女に縁あるミュージシャンが録音をしてきた場所。
「私の周辺のミュージシャンや先輩方がホームにしているスタジオなので、なんだか安心感があります。ここで自分のアルバムを録ったことはないのですが、いちばん最近だと(高橋)幸宏さんのトリビュートソングの録音をしました」
コントロールルームのソファで自身の詞をチェックしながら、傍らのチョコレートをひと口。
「このチョコレートは子どものころから好きなんです。空き箱も捨てないで、クリップを入れたりしていましたね。母がよく差し入れでいただいていたものが、家に置いてあった。おいしいから子ども心に食べたくて仕方ないんだけれど、勝手に食べて減っていたら怒られちゃう(笑)。だから、もとは母の好物です」
<デメル>ソリッドチョコ 猫ラベル ミルク(日本製/105g)2,106円
伊勢丹新宿店 本館地下1階 カフェ エ シュクレ
ウィーンの老舗洋菓子店<デメル>で昔ながらに愛される、猫の舌の形をしたチョコレート。ミルク感たっぷりのやさしい味わいと上品な口どけにファンが多い。
母の矢野顕子さんといえば、公式ソング『ISETAN-TAN-TAN』を唄ったほどの伊勢丹好き。
「子どものころはお買物といったら伊勢丹。母と兄と、月に何度かのペースで来ていたかな。迷子になったら、当時の食品フロアにあったジューススタンドで待ち合わせする約束でした。あちこち歩き回って疲れても、最後はあそこでご褒美のジュースが飲めるのが楽しみで」
大人になり、そして母となった現在は、坂本さん自身が月に何度も買物に来るヘビーユーザーに。
「お化粧品は実際に試してから買いたいので、よく見に行きます。いちばん多いのは、食料品フロアでプレゼントを買うとき。買うものは相手に合わせてだいたい事前に決めてから行きますが、思いつかなかったら『伊勢丹なら何かがあるだろう』という気持ちで向かうこともあります。やっぱり私も、母と同じように信頼感が強いんですよ。新しいものばかりではなく、定番もずっと置いてあったり、伊勢丹の品揃えにはある種の真面目さを感じているんです」
そんな坂本さんには、かつてひそかな夢がありました。
「子どものころの夢のひとつが、伊勢丹でプレゼントを包む人になること。当時、店員さんの包装紙の包み方をじっと観察していたんです。家に帰るとあらゆるモノを包んで練習して、家族に見せていました(笑)。これも伊勢丹の思い出です」
新曲のレコーディング中は、その場で歌詞の手直しをすることもあるとか。
坂本さんが座っていた赤いソファのテーブル周りには、創作に没頭するミュージシャンたちのイマジネーションを刺激するかのように、濃淡さまざまな鉛筆がびっしりと詰まっているペン立てや本、CDなどが置かれていた。
レコーディングや各地でのコンサート の合間を縫って実現した今回の撮影。
レコーディングや各地でのコンサート の合間を縫って実現した今回の撮影。
屋上で日差しを浴びていたときの柔和な様子とはまた違って、マイクの前に立つとシンガーの表情になる。
さまざまな機材に囲まれてのレコーディング。歴史あるスタジオだけに、設備や空間の広さをはじめ、贅沢な作りが。
「もう1回!」。いつものお茶目な表情を見せてくれた坂本さん。
大好きな猫のモチーフをデザインしたピアスやネックレスは、近ごろお気に入りのブランド<アリータ>のもの。
コントロールルームに設置されている録音機材には、年代ものも多い。
ミュージシャン
坂本美雨
1980年東京都生まれ。9歳でNYへ移住。1997年に「The OtherSide of Love」でデビュー。最新作はep『あなたがだれのこどもであろうと』。作詞、翻訳、文筆など幅広く活躍。愛猫家としても知られる。
写真:前 康輔
ヘアメイク:高城裕子
スタイリスト:石橋修一
取材・文:小堀真子 衣装協力<Uhr>☎03-6876-9004