クロワッサンのフレンチトーストで朝食を。 ―樋口直哉さんの『料理のツボ』―

2024.2.6 UP

ちょっと嬉しい朝食メニューとして人気のフレンチトースト。生まれはアメリカでジョーゼフ・フレンチさんが発案者という説があり、フランスではパンペルデゥ(硬くなってしまったパン)と呼ばれています。日本では食パンで作ることも多いですが、クロワッサンならまさにフランスらしくてお洒落感が増しますね。

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一日のはじまりに食べる朝ごはんが最高であれば、その日中幸せな気持ちで過ごせます。なにかと忙しい現代、朝ごはんの時間ぐらいはゆっくりと過ごしたいもの。今日は朝ごはんにぴったりのフレンチトーストを伝授します。

 

このレシピの特徴は一般的な食パンやバケットではなく、クロワッサンを使うこと。分厚いフレンチトーストはつくるのに前日から準備が必要ですが、クロワッサンであればすぐに卵液が浸透するので10分程度の待ち時間で充分です。そのあいだに季節のフルーツを使ったソースを準備すれば朝の時間が華やぐことでしょう。

 

◾️クロワッサンのフレンチトースト

<材料>   2人分

クロワッサン 2個

卵 1個

牛乳 100ml

生クリーム(45%) 50ml

グラニュー糖 20g

 

いちご  1/2パック(150g)

メープルシロップ 大さじ2

バター      20g

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クロワッサンは比較的新しいパン。パンの研究者、教育者として有名なレイモンド・カルヴェルによればはじめて評判になったのは1889年のパリ万国博覧会でのこと。ウィーンから持ち込まれた焼き菓子の一つで、はじめは風味をつけたパンを三日月の形に焼き上げたものだったそう。1920年代になると層状の生地が使われはじめ、フレーク状でしっとりとコクがあるパンになりました。

 

クロワッサンは食パンよりも密度が少ないため、卵液をよく吸い込みます。また、たっぷりとバターが入っているので焼き上げると香ばしさも出るのも長所。

 

 

 

<作り方>

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卵液を作っていきます。まず、ボウルに卵を割り入れ、泡だて器でよく撹拌します。黄身と白身が混ざったら砂糖を加えて、さらに混ぜましょう。

 

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牛乳、生クリームを加えます。牛乳と生クリームは常温に戻すか、レンジで40℃程度になるまで軽く温めておくと混ざりやすいでしょう。

 

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クロワッサンは横半分にカットします。

 

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ボウルに並べ、卵液を注ぎます。時々、裏返しながら10分ほど待てば焼く準備は完了。ここまで作業して、冷蔵庫にしまっておくこともできます。

 

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そのあいだにソースをつくりましょう。今日はメープルシロップを使いました。メープルシロップはサトウカエデなどの樹液を集め、煮詰めた甘味料です。煮詰める工程によってメイラード反応が起こるので、砂糖では出せない複雑な風味が出ます。また、バニラの香りなど木の成分に由来する香り成分も含まれているのも特徴。ただ、糖度が65%あるのでそのままかけるだけだと甘すぎます。そこで今回は溶かしバターと香りと酸味のあるイチゴをあわせたソースにしましょう。

 

 

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バターとメープルシロップを小鍋で加熱します。沸騰したら火を止め、鍋を揺すってバターを溶かしましょう。

 

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熱々のソースをへたをとり、4mm厚に切ったいちごに注ぎます。これでソースの出来上がり。このソースはパンケーキとも相性がいいので、機会があれば試してみてください。

 

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10分も待つとこんな風にクロワッサンが卵液を吸い込みます。

 

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クロワッサンの断面を下にして並べ、弱火にかけたフッ素樹脂加工のフライパンで焼いていきます。

 

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卵、砂糖、パンという焦げやすいものをあわせた料理なので火加減には注意が必要です。蓋をして弱火でじっくりと焼くのがベスト。2分くらいが目安です。

 

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焦げ目がついたら裏返し、反対側は予熱で1分ほど火を通しましょう。

 

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器に移し、いちごソースを挟み込み、仕上げに好みで粉糖をふりかければ完成です。

 

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ミントの葉を散らすとイチゴの赤が映えます。イチゴの酸味とメープルシロップの甘み、そこにクロワッサンの香ばしさが相まって、上手に焼き上がるとサクっとした食感があり、普段のフレンチトーストよりもワンランク上の味わいです。朝食のために考えましたが、アイスクリームを添えればデザートにもなるでしょう。

 

さて、朝から甘いものはちょっと……という方に、チーズはいかがでしょうか。朝にヨーグルトを食べるという人は多いでしょうが、フレッシュチーズもいいもの。イチゴのサラダを添えたリコッタチーズのレシピです。

 

◾️いちごのサラダとリコッタチーズ

<材料> 2皿分

いちご  1/2パック(150g)

ミントまたはバジル 適量

オリーブオイル 小さじ2

ワインビネガー 小さじ1

フルール・ド・セル   ひとつまみ

リコッタチーズ   好みの量

 

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リコッタチーズという名前はチーズを作った後のホエイ(乳清)をさらに煮詰める=「Ri(再び)Cotta(煮詰める)」ことに由来します。特徴は脂肪分が少ないこと。そこでイチゴのサラダのオリーブオイルと組み合わせます。

 

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リコッタチーズはそのままでもふんわりとした食感でおいしいのですが、ミキサーにかけてなめらかにするとコクが増します。省略することもできますが、この一手間で仕上がりが変わってきます。

 

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いちごは縦半分に切ってから4等分の角切りにしました。ボウルにあわせてオリーブオイルと少量のワインビネガーで酸味をつけます。ワインビネガーをバルサミコ酢に変えても違った風味が楽しめるでしょう。

 

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チーズをお皿に敷き、いちごのサラダを盛り、ミントまたはバジルの葉をちぎります。さっぱりとした味わいが朝にうれしいサラダです。朝ごはんは組み合わせを楽しむ時間ですが、このサラダとバターをたっぷり載せたトーストをあわせると絶品です。

 

Text&Photo : Naoya Higuchi

 

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