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ISETAN MITSUKOSHI THE FOOD + 宮崎県椎葉村

ISETAN MITSUKOSHI THE FOOD + 宮崎県椎葉村

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標高1000m級の山々に囲まれた宮崎県椎葉村は、九州のほぼ真ん中に位置し、平家の落人伝説が残る日本三大秘境のひとつと言われています。2015年には伝統的農法や農業文化が認められ、高千穂地方とともに世界農業遺産として認定されました。古くから椎茸の原木栽培にこだわり、原木の育成から椎茸の乾燥まで、すべてを一貫して生産する干し椎茸作りが行われています。

素材や製法を徹底的に吟味し、生産者やつくり手の顔が見える、上質な日常使いの食品をお届けしたいという想いで始まった三越伊勢丹グループのブランド、ISETAN MITSUKOSHI THE FOOD。バイヤーの五郎丸さんは、全国の名産地から、香り高く肉厚な干し椎茸を探す中、椎葉村に素晴らしい椎茸があると聞きつけ訪れました。椎葉村のなば(椎茸)職人たちの真摯な姿勢に感銘を受けた五郎丸さんと、地元のリーダー、椎茸部会会長の中瀬さんに原木椎茸にかける想いをお聞きしました。


日本の伝統的なストックフード「乾物」

五郎丸靖子
ISETAN MITSUKOSHI THE FOOD バイヤー

ストックフード(常備食)が雑誌などでも取り上げられ、ブームになっています。日本の乾物は、まさに昔ながらのストックフードなんですね。乾物は保存がきいて、栄養も豊富。フードロスも少なくなります。もっと上質な乾物を利用していただきたいと考え、乾物の王様とも言える干し椎茸に注目し、様々な産地を周りました。ISETAN MITSUKOSHI THE FOODは生産者がどのような想いでつくっているか、しっかりとお伝えするブランド。干し椎茸についても、つくり手さんとしっかり取り組もうと考え、探し当てたのが、冬菇(どんこ)づくりで林野庁長官賞の受賞歴を持つ、椎葉村の中瀬裕さんでした。原木栽培と薪仕上げにこだわった干し椎茸を是非ご紹介したいと思います。


“原木栽培にこだわる理由


中瀬裕
椎葉村椎茸部会 会長

山々に囲まれた椎葉村は、椎茸の菌を打ち込むクヌギやナラなどの原木が豊富です。もともとは中国大陸からの偏西風に乗って、この地まで菌が飛んできて、自然と木樹に椎茸が生えていたそうです。椎茸の原木栽培は日本特有のもの。村で栽培が始まったのは、椎葉村史によれば250年ほど前からです。手間暇のかかる作業ですが、元気な生産者が多いのが幸いです(笑)。

椎茸のコマ(菌)を原木に打ち込んで、約1年半から2年掛かってやっと芽がでる。それから収穫するまで、成長を見守る期間が20日ちょっと。標高が高い椎葉村では椎茸の成長も遅く、大きくなるまで大変な労力と時間がかかりますが、その分肉厚で力強い旨味と豊かな香りの椎茸になります。


なば職人の腕が旨みをつくる

中瀬:
椎茸栽培で一番大事なのは、水と温度と光。椎葉村は寒暖差が激しいので、椎茸の細胞分裂が遅く、そのおかげで裏のヒダが繊細で美しくなります。それが旨みのある証し。甘く肉厚で歯ごたえがいい椎茸は、いくら褒めても褒めきれないですね(笑)。一番いい椎茸は、12月から2月の上旬に収穫します。寒い時期には、傘の上部に白い亀裂柄の入った 綺麗ないい椎茸ができるんです。これは適度な光、つまり晴天乾燥期間がないと綺麗な模様にはならない。難しいんです。

我々、なば(椎茸)職人は自然のリズムに寄り添って、椎茸の育成を見守ります。季節の変化に合わせて原木の置き場所も移動させています。大変な労力ですが、「刺激」が与えられ、いい椎茸になるんです。芽切り (小さな芽が出ること) から20日以上かけてじわじわ大きくするのですが、この期間に様々な条件をうまく調整することによって、旨味が充満して美味しい椎茸になります。何より一年半かけて椎茸菌が腐朽して、椎茸の発生しやすい原木になっていないとダメですけどね(笑)。

椎葉村が守り継ぐ「薪仕上げ」

中瀬:
昔は乾燥させるために薪や炭を使うのが当たり前でした。今でこそ乾燥機を使うのですが、我々10時間程度乾燥させたものをさらにジムロ(薪釜の乾燥室)で20時間ほどかけて、じっくり最終仕上げを行います。薪で仕上げることによってしっかり乾燥し、旨味が増すのです。

五郎丸:
ほんのり薪でスモークさせることによって、風味が加わり、椎茸の劣化を防げるそうです。干し椎茸の薪仕上げができる職人さんが多く残っているのは、椎葉村以外でほとんど聞いたことがありません。伝統的なやり方を今も継承していらっしゃるのは、本当に驚きです。

世界農業遺産に選ばれた椎葉村

五郎丸:
2015年、椎葉村は高千穂地方とともに世界農業遺産に認定されました。椎葉村は、縄文以来の焼畑農耕が今も行われています。原木椎茸に関しても、美味しい椎茸は、山と水と人の手、また、きれいな空気も含めて、環境が揃わないとできません。世界農業遺産は、決して野放しの美しい自然が評価されたのではなく、自然自体が人間の営みによって保たれているということが大切です。山は木を切るからこそ育つ。切った木は木材として利用したり、原木栽培に使ったり、バイオマスの原料にもする。何一つムダにすることなく、自然と共生しているということだと思います。

滋味深い味わい、原木椎茸

五郎丸:
今回ご紹介する商品を召し上がって、「干し椎茸なのにフレッシュ!」と表現された方がいらっしゃいました。その言葉通り、肉厚な歯ごたえがあり、深い旨みと香り豊かな椎茸です。「姫どんこ」は直径3cm程度の大きくなる前の椎茸。それが成長したものが「肉厚上どんこ」です。上どんこからまた成長が進み、傘が開いたものを「香信」と言います。どんこは料理の主役として煮物などに。香信はしっかりお出汁を出したいときや料理の脇役としてお使いください。下のリンクからレシピをご覧いただけます。忙しいお客さまも多くいらっしゃり、水に戻すのが面倒というお声を多く聞きます。私の同僚たちも乾燥椎茸を最近戻してないから、と躊躇する人が多いです。実はサッと10秒ほど洗って、粗みじんにしてそのまま炊飯器に入れて椎茸ごはんにしたり、すき焼きにそのまま入れたりなど、戻さなくとも美味しく頂ける方法はございますので、お試しください。是非滋味豊かな椎葉村の干し椎茸をお楽しみください。


世界農業遺産認定の地、椎葉村 原木栽培 乾燥椎茸