【日本橋三越本店】あん博、直前対談!
<柏屋つちや>槌谷 祐哉さん×飛田バイヤー

あん博、直前対談!柏屋つちや槌谷祐哉さん×飛田バイヤーのメインビジュアル

日本橋三越本店の名物催事「あんこ博覧会®」が、2025年1月29日(水)から2月14日(金)に開催決定!催事に向けて新作を考案中の<柏屋つちや>槌谷 祐哉さんと、“あんこの飛ちゃん”こと飛田バイヤーによる、緊急“あんこ対談”が行われ、次回のテーマが発表されました。また、参加する菓子店の皆さまから、あんこ愛あふれる商品解説も到着。あん博が待ち遠しくなるあんこ談義のスタートです。

シンプルな材料で、ていねいにつくる。

飛田:槌谷さんは、夏のあんこ博覧会(以下・あん博)で「フォンダン水羊羹」を実演で販売いただき、連日大盛況でした。そんな、あん博でも注目されている槌谷さんが、職人として30年近いキャリアを重ねてきて思う「おいしいあんこ」の基準ってなんですか?

槌谷:食に関する基準って、相対比較なので人それぞれ違うと思いますが、自分の場合は「小豆の香りがしっかりすること」、そして「シンプルな味」というのがおいしさの基準です。

槌谷氏の画像
<柏屋つちや>槌谷さん

飛田:シンプル、というのは、使っている材料が少ないということでしょうか?

槌谷:よい材料にこだわり、最小限の素材で作る。それでおいしくするためには、ていねいに手をかけるしかないんです。実は今日、職人仲間のお店に見学に行ったんですが、あんこを炊くとき、1つの工程ごとに徹底的に鍋を綺麗にしていました。鍋についたアクや渋が雑味になって残らないようにしているんですね。こういう一つひとつの積み重ねがおいしさにつながっていくんだなと感心しました。

飛田:なるほど。そうしたあんこの繊細なおいしさを堪能できる和菓子は、当日のうちに食べることが前提の“朝生菓子”が多いですよね。日持ちがしないだけに現地に行かないと味わうことができないですが、あん博は日本橋にいながらその味を楽しめるのが魅力です。

槌谷:何でもインターネットで手に入る時代だからこそ、発送ができないもの、フレッシュなものがあるというのが大きな価値になりますよね。

2025年のあんこ博覧会、テーマは「にゅう・あんこ」!

飛田:あん博のもうひとつの魅力は、毎回テーマがあって、皆さまが新作を作ってくださることです。

槌谷:我々和菓子屋にとっては、歌会始みたいなものですよ。同じテーマで全国のお店が作るわけなので、本当に大変。正直ライバル心もありますし(笑)。催事が始まると、職人達はほかのお店が何を作ったのか、お互い熱心に見て回っています。

飛田:それだけに、テーマの設定は責任重大です。明解さも大切だけど、絞りすぎると発想が広がらない。皆さまが個性を発揮できるテーマってなんだろうと、一年中考えています。そして生まれた、今回のあん博のテーマは・・・「にゅう・あんこ」!“乳製品”と“NEW”をかけました!

飛田バイヤーの画像
飛田バイヤー

槌谷:一見駄洒落から生まれたテーマだけど(笑)、素材の相性としては抜群です。

飛田:テーマを伝えたら、槌谷さんはすぐに「やってみたいことがある」と言ってくれましたよね。

槌谷:せっかくやるからには、お客さまをあっと言わせたい。何ができるかリサーチして、たどり着いたのが「会場で作る出来たてバター」です。

飛田:びっくりしました。会場でバターを作るなんて、これまで見たことがない。あんことバターは王道の組み合わせだけど、出来たてというところがスペシャル。

槌谷:徳島県に、生クリームをその場でバターに加工できる機械があるのを見つけたんです。地元の牧場の方に聞いたところ、バターというのは作りたての味は格別なのだと。これだ!と思いました。

飛田:これから徳島に行って試作を始めるんですよね(※対談時は10月)。何を作るか構想はもうあるんですか。

槌谷:あんバターを堪能するなら、最中がいいかな、と思っています。でも、もっといい案も浮かぶかもしれないので、まだ仮です。ほかにも、生乳をフリーズドライでパウダーにする技術を持ったメーカーを見つけたので、それを地元の牧場の牛乳でできないかな?と・・・。

飛田:ほかにもアイデアが!その発想ってどこから生まれてくるんですか。

柏屋つちやのお菓子の画像
テーブルに並ぶ<柏屋つちや>のお菓子

槌谷:僕自身がお菓子好きなので、新しいお菓子にすごく興味があるし、自分のお菓子でお客さまを感動させたいという気持ちも大きい。そのためにいろいろな方面にアンテナを張って考えています。

あん博は、入り口、そして交流の場

槌谷:「あんこ博覧会」というと和菓子の通が集うイベントのように聞こえますが、飛田さんは、世代を超えて多くの方が和菓子に親しむ入り口を作ろうとしていると感じます。

飛田:敷居が高くならないように、楽しく伝わるように心がけています。事前にインスタライブで見所を紹介したり、会場では自前でスタッフTシャツを作って着たり(笑)。おかげさまでたくさんのお客さまに話しかけていただきますね。前回メッセージボードを会場に設置しましたが、あん博や和菓子に対する熱いメッセージがいっぱいで、泣きそうになりました。

夏のあんこ博覧会の画像
6月に開催した夏のあんこ博覧会の様子

槌谷:お客さまは僕たちにもよく話しかけてくださいますよ。和菓子の菓銘について考察してくださったり、深掘りして楽しんでくれる方が多くて菓子屋冥利につきます。

飛田全国のお店の方との交流を楽しむ場所でもあるので、それももっと楽しんでほしいですね。

槌谷そのお店のお菓子について話すのももちろんですが、会場のどの商品が気になったか聞いてみても楽しいかもしれません。そういったやりとりが刺激になって、次のお菓子を生み出す原動力が生まれると思います。

飛田参加するお店の皆さまと同じくらい、お客さまもぜひ熱量を上げてあん博を楽しんでください。会場でお待ちしています!

槌谷氏と飛田バイヤーの画像
笑顔の槌谷さんと飛田バイヤー

職人たちが語る“あんこ愛”

「あんこ博覧会」には全国の老舗から新鋭まで、全40ブランドが結集します。参加する中から6名の方々に、お菓子づくりのモットー、そしてあんこのおいしさの秘訣を解説いただきました。

実家の製法を活かして、新しい和菓子に挑戦

池田氏の画像
<メゾン シーラカンス>池田 一紀氏

お菓子作りのモットー
明治時代から続く和菓子屋<栄泉堂>に生まれながら、フランスでの修行を経て、仙台で本格的なフランス菓子のパティスリーを開業。これまでに培った経験と実家の伝統的な製法を活かし、パティシエとしての視点から和菓子の可能性を追求しています。

あんこのおいしさの秘訣
最上級の十勝産小豆を使用し、最中の皮がはがれないよう絶妙に炊き上げた餡。イズニーバターの芳醇な香りと強めに効かせたゲランド塩で、あんこの甘さを引き立てました。

  • シーラカンスモナカの画像

    宮城県<メゾン シーラカンス>
    シーラカンス モナカ 6個入 2,191円

    [販売場所]日本橋三越本店 本館7階 催物会場
    [販売期間]2025年1月29日(水)〜2月14日(金)

餡を引き立てる組み合わせを探求

村上氏の画像
<茶菓工房たろう>村上 太郎氏

お菓子作りのモットー
100年後にも残る菓子作り。<茶菓工房たろう>の原点は、あずき・砂糖・餅米・塩だけで作るシンプルなおはぎです。チョコレートの羊羹や餡バターの最中など今のライフスタイルに合わせた菓子作りをしていますが、原点があるから出来ることだと思っています。先人たちの残してくれた技術を継承しながら、新しい菓子作りをしています。

あんこのおいしさの秘訣
素材の良さはもちろん、製法も伝統を取り入れた餡作りをしています。その伝統的な餡に何を組み合わせるか日々探求しています。チョコレート・マカダミアナッツ・フルーツ・バターなど餡のおいしさを引き立てる新しい組み合わせが、<茶菓工房たろう>らしさだと思っています。

  • 窓の画像

    石川県<茶菓工房たろう>
    窓 6個入 1,296円

    [販売場所]日本橋三越本店 本館7階 催物会場
    [販売期間]2025年1月29日(水)〜2月14日(金)

地元の清らかな水で、30種以上の餡を炊き分け

中宮氏の画像
<森八>中宮 千里氏

お菓子作りのモットー
伝統の製法はそのままに食感や風味は、その時代その時代に最もふさわしいものに絶えず改善の努力を続け、加賀金沢の菓子文化を未来へ守り伝えることを使命として日々精進を続けております。

あんこのおいしさの秘訣
国内産の小豆と霊峰白山を源流とする手取川の伏流水を用いて、すべての工程を職人による丹念な手仕事で炊き上げ、年間を通じて30種類以上の餡を炊き分けております。

  • 千歳の画像

    石川県<森八
    千歳 6個入 1,275円

    [販売場所]日本橋三越本店 本館7階 催物会場
    [販売期間]2025年1月29日(水)〜2月14日(金)

向島の粋人たちに愛される“藤色の餡”

須永氏の画像
<菓匠 青柳正家>須永 友和氏

お菓子作りのモットー
当店の所在地は、花柳界で有名な東京は向島でございます。創業から現在まで向島料亭の「おもたせ」を承っております。四季を感じる質の高い「和菓子」を目指して日々精進、調製しております。

あんこのおいしさの秘訣
当店は和菓子の「核」といってもいい「餡」は一部のお客さまから「藤色の餡」と知られております。手間をかけて調製されたバランスの良い「餡」をお楽しみしていただけたら幸いです。

  • 菊最中の画像

    東京都<菓匠 青柳正家
    菊最中 3個入 972円

    [販売場所]日本橋三越本店 本館7階 催物会場
    [販売期間]2025年1月29日(水)〜2月4日(火)

煎餅との「甘じょっぱい」バランスを追求

佐々木氏の画像
<富士見堂>佐々木 健雄氏

お菓子作りのモットー
せんべい屋として先ずはお米の風味を最大限生かせるよう原料にこだわり、生地からていねいに作り、あんこに合う香ばしさにするため時間をかけて焼き上げております。甘さと塩気のバランスを一番に考え「甘じょっぱい」が後を引く煎餅に仕上げております。

あんこのおいしさの秘訣
お煎餅にあんこを挟むので水分がない状態での餡を作り、食べた時にお煎餅の香ばしさと塩気との調和を考え、甘すぎない餡に仕上げております。

  • あんこ天米の画像

    東京都<富士見堂>あんこ天米 1枚 189円

    [販売場所]日本橋三越本店 本館7階 催物会場
    [販売期間]2025年1月29日(水)〜2月14日(金)

現代に合わせたお菓子の「リ・デザイン」

槌谷氏の画像
<柏屋つちや>槌谷 祐哉氏

お菓子作りのモットー
日本のお菓子の原点と言える「果子」を軸におき、極力素材の味を生かしたお菓子づくりと、現代のお客さまの嗜好にあったお菓子の「リ・デザイン」を目指しています。

あんこのおいしさの秘訣
弊社本店がある大垣市は、古くから豊富な地下水を有する「水の都」として栄えてきました。あんこ作りには、大量の水を使うため、水の善し悪しはあんこの味に影響すると考えています。弊社のあんこの秘訣(?)は、おいしい水です。

  • フォンダン水羊羹の画像

    岐阜県<柏屋つちや>
    フォンダン水羊羹 濃い茶 1個 324円

    [販売場所]日本橋三越本店 本館7階 催物会場
    [販売期間]2025年1月29日(水)〜2月4日(火)