【伊勢丹新宿店】吉本 ばななさんが通いつめる、地下食品フロアの歩きかた。

吉本 ばななさんが通いつめる、地下食品フロアの歩きかた。メインビジュアル
吉本 ばなな
吉本 ばなな/よしもと・ばなな
小説家
1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『ミトンとふびん』がある。noteで配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「私のポリシーとして、1字でも文字を書かないお仕事は基本受けないのですが、伊勢丹新宿店にはあまりにお世話になっているので、今回ばかりはお断りできませんでした(笑)」
沿線に住んでいた数年前まではほぼ毎日、引っ越した現在も頻繁に伊勢丹新宿店へ通っていると話す、小説家・吉本 ばななさんは、言うなれば“地下食品フロアの猛者”。
「このお店はコレが有名だけど、私はこっち!」と吉本さんが“通”の視点で選んだ、溺愛商品をご紹介します。

まずは<ダ・ローマ>でギフト用のオイルやバルサミコを

  • <ダ・ローマ>のスタッフ山田さんと吉本さん

    <ダ・ローマ>のスタッフ山田さんと。
    吉本さんが手に持っているのは2021年秋に搾油された「アグレスティス社」
    ネッタリブレオ エキストラヴァージンオリーブオイル 250ml 3,780円

食品フロアへはいつも、混みはじめる前の夕方や、友達とのランチ後に伺うのですが、だいたい最初に足を運ぶのは<ダ・ローマ>です。
ここ数年はナッツ系の量り売りも人気ですが、私にとっては昔から、ギフト用にシチリア産のオリーブオイルやバルサミコ酢を買う場所。
<ダ・ローマ>の品揃えや雰囲気は、大好きなローマを思い出させてくれます。あまりに懐かしくなるので、ついつい予定になかったものまで買ってしまうんです(笑)。

  • <ダ・ローマ>店頭

    手前中央が、吉本さんお気に入りの「アグレスティス社」の『フレーバーEXVオリーヴオイル レモン』。吉本さんご自身もオリーブオイルにとてもお詳しい! 

    <ダ・ローマ>
    「アグレスティス社」フレーバーEXVオリーヴオイル レモン 250ml 3,780円 商品を見る

自宅用に買い足しているのは、魚などにかけてレモンの香り付けができる『フレーバーEXVオリーヴオイル レモン』。レモン果汁を使うとお料理が水っぽくなってしまいますが、これなら魚でもサラダでもたっぷりかけられるんです。

ちょうど『コラトゥーラ』も切れたところなので、山田さんが紹介してくださった3年熟成のものを買って帰ろうかな。コラトゥーラとはイタリアのいわゆる“魚醤”なんですが、イカ墨のパスタなどにちょっぴり垂らすと、深みが出るんですよ。

<ダ・ローマ>
「アグレスティス社」コラトゥーラ ディ アリーチ 100ml 5,400円 商品を見る

  • <ナヴァラサ>の棚の前で

    <ナヴァラサ>の棚の前で、「お茶は結構詳しいんですよ!」と吉本さん。バイヤーの五藤さんともお茶談義が弾みます。
  • <ナヴァラサ>ラプサンスーチョン小缶

    <ナヴァラサ>ラプサンスーチョン (小缶65g/アルミ缶) 810円 商品を見る

<ダ・ローマ>の隣、<ナヴァラサ>は、紅茶はもちろん中国茶や和紅茶の種類も豊富。なかでも『ラプサンスーチョン』はすごく好き。取扱っているところが少ないので、見かけたらすぐに買ってしまいます。国産のレモングラス茶もいいですね。

菓子パンは<銀座木村家>の『あんバターホイップ』で決まり!

銀座木村家店頭にて
「これこれ~。これが大好物なんです!」 「デリ エ ブーランジュリー」の<銀座木村家>では、大好物の『あんバターホイップ』を必ず買って帰るという吉本さん。

粕漬は『汐彩』、お茶は『しゃん』がお気に入り

  • <京粕漬 魚久>汐彩 4品入

    <京粕漬 魚久>汐彩 4品入 1,296円
  • <京粕漬 魚久>店頭にて

    <京粕漬 魚久>では、『汐彩』以外に、『ほたて貝京粕漬』を買うことも。 商品を見る

京粕漬 魚久>では、ぎんだら・銀鮭・縞ほっけ・かれいの4種が詰め合わせになっているお買い得パックの『汐彩』と、さば・銀鮭・銀ひらすの京粕漬と、本さわらの酒粕白味噌漬が入った『四人家族』をよく買います。4種のお魚を家族でちょっとずつ食べられるのが魅力なのですが、とくに『汐彩』はすべて同じ粕漬なので、我が家ではホットプレートでまとめて焼いちゃいます(笑)。『汐彩』『四人家族』は小さい切り身が食べやすいんですよね。

  • <うおがし銘茶>店頭にて

    「茶の道」にある<うおがし銘茶>にて
  • <うおがし銘茶>しゃんとにゅう

    <うおがし銘茶>
    しゃん (80g) 1,296円 商品を見る
    にゅう (80g) 864円 商品を見る

日本茶のコーナーにある<うおがし銘茶>のお茶が好きなんです。特に『しゃん』がお気に入り。後から教えてもらったのですが、『しゃん』のパッケージイラストは和田 誠さんが描いているんですって。『うぬぼれ』のイラストは宇野 亜喜良さんと聞いて、たしかにどこからどう見ても宇野 亜喜良さんだし、もう、ほんと素敵ですよね!
『しゃん』の隣に並んでいる『にゅう』も飲んだことがあったので、お店の方に味の違いをたずねたところ、「『しゃん』の方が甘み、香り、コク、渋みのバランスが良いのでなんでも合わせやすく、お食事の時などにさっぱり飲めるのが『にゅう』です」とのこと。
もちろん『にゅう』もおいしかったんですが、個人的には『しゃん』の方が香りが感じられて好きなんです。

出来立ての和菓子は、お買い物の合間の自分用

  • <円果天>窯出しモンブラン

    <円果天>の『窯出しモンブラン』は伊勢丹新宿店から徒歩圏内の工房で毎日焼きあげており、各日午後1時と午後4時に販売。熊本県産の和栗と生クリームに香り豊かなラム酒を使用。1個 378円。
  • <円果天>店頭にて

    リニューアルしたばかりの和菓子「甘の味」コーナー

和菓子エリアではこれまで、お遣い物選びに安定・安心の<豆源>や<豊島屋>を見ることが多かったのですが、大幅にリニューアルされていて、とくに、出来立てのお菓子が買えるのは新しいですね!
観察してみると、<円果天>の『窯出しモンブラン』は、意外と1個、2個で買っていくお客さまが多くて、自分用に買っているのかなと思いました。出来たてが1個ずつ買えるなら、お買い物の合間に食べたくなりますもんね!

<円果天>の窯出しモンブランを手に持つ吉本さん
購入した<円果天>の『窯出しモンブラン』は、吉本さんも初体験。「めちゃくちゃ、栗です(笑)。月餅屋さんが作っているとは思えないほど、洋菓子のような味わいですね。」

ここの『インゲン炒め』が、伊勢丹新宿店に通っている理由の一つ

  • <中華飯店 富麗華>店頭にて

    惣菜エリアでは、<中華飯店 富麗華>で『インゲンと干し蝦(えび)の炒め』と『春巻き』、<点天>の『ひとくち餃子』をマストで買います。

<中華飯店 富麗華>の看板メニューといえば『黒酢の酢豚』や『黒チャーハン』なのですが、私はそちらには目もくれず(笑)、『インゲンと干し蝦(えび)の炒め』にまっしぐら。地味に見えて、“名作”だと思っています。麻布にある本店にも行かせてもらっていますが、そこで必ずオーダーするのがこれ。家族全員が好きなメニューなんです。それほど好きなメニューが、本店以外で、しかもお惣菜として買えるというのが、伊勢丹新宿店に通っている理由の一つかもしれませんね。
<点天>の餃子は都内に何店舗かあると思うのですが、<中国飯店 富麗華>隣り合っているのが、私なりのポイントで。だから、伊勢丹新宿店で買わないとダメなんです(笑)。

だしや煎り酒・ポン酢など、調味料のセレクトも一流

  • シェフズセレクション店頭にて

  • <味の兵四郎>あご入 素材だしを手に持つ

手に持っているのは、
<味の兵四郎>あご入 素材だし 180g 2,484円 商品を見る

「シェフズセレクション」エリアにも、調味料の買い足しによく立ち寄っています。
とくに<味の兵四郎>は、数ある出汁ブランドの中でも一番のお気に入り。『あご入 素材だし』はお味噌汁に、『野菜の旨みだし』は洋風スープにと使い分けて、2種類を常備しています。

ここのコーナーには、ほかにもおすすめがたくさんありますよ。
<銀座三河屋>の『煎酒』は、ドレッシング代わりに使ったり、お浸しにかけたりと、万能です。<馬路村農業協同組合>『ぽん酢しょうゆ ゆずの村』は、いろいろなポン酢を試した中で、どのポン酢よりも一番おいしいと思っています。<鎌田醤油>『だし醤油』のパックも常備。我が家の子どもは、<点天>の餃子をこのだし醤油で食べています。

  • <銀座三河屋>商品

    <銀座三河屋>『煎酒』 300ml 864円
    <馬路村農業協同組合>『ぽん酢しょうゆ ゆずの村』 500ml 843円
    <鎌田醤油>『だし醤油』 500ml 681円

生鮮エリアで必ず立ち寄る<ワールドミートバルニッシン>

  • <ワールドミートバルニッシン>店頭にて

    <ワールドミートバルニッシン>で、「撮影後に『ジャンボンブラン』を買いに来るので」とお取り置き。
  • <ワールドミートバルニッシン>ジャンボンブラン

    <ワールドミートバルニッシン>ジャンボンブラン 100gあたり 627円から 商品を見る

生鮮エリアでは、まずはぐるっとひと回り。魚・お肉・野菜・・・、目についたものを何かしら買っているのですが、必ず立ち寄っているのは加工肉の<ワールドミートバルニッシン>。ここはローストビーフが有名だと思うのですが、私はいつも『ジャンボンブラン』を何枚かいただいて帰ります。今日はうちのアシスタントにも買って帰ってあげようっと(笑)。
<日進>さんって、今は麻布にある直営スーパーのイメージが強いですが、まだ日本にハムの種類があまりなかった頃に、ドイツハムのような海外製法のハムを取扱ったことで会社が急成長したと聞いたことがあって、やはりパイオニアなんですよね。

ディスプレイにも子どもと一緒に大興奮<ノワ・ドゥ・ブール>

  • <ノワ・ドゥ・ブール>焼きたてフィナンシェを手に持つ

    <ノワ・ドゥ・ブール>焼きたてフィナンシェ 1個 216円 商品を見る

洋菓子では、やっぱり<ノワ・ドゥ・ブール>でしょうか。
子どもを連れていくと、山のように積まれた『フィナンシェ』を見ては大興奮。毎日行列ができる人気店の理由は、ディスプレイからもわかりますよね。
表面がサクサクで、焼きたてももちろんおいしいのですが、期限内であれば日が経ってもしっとりおいしく食べられるのが嬉しいですね。今日購入したのは自宅用で、誰にも渡しはしませんよ(笑)。我が家には、食後にデザートを食べる習慣があって、普段あまり甘いものを食べない私でも、くだものやケーキ・フィナンシェみたいな焼菓子をこの時間にいただくんです。

ノワ・ドゥ・ブール フィナンシェ
  • <アンリ・シャルパンティエ>店頭にて

    <アンリ・シャルパンティエ>では、手土産にとひと口サイズのフィナンシェ、マドレーヌを詰め合わせたギフトボックスをお買いあげ。

    <アンリ・シャルパンティエ>プティ・ガトー・アソルティ 36個入 3,240円 商品を見る

地下へ続く「グランド カーヴ/ヴィンテージセラー」へ

グランド カーヴ店頭にて
お買物の最後にじっくり見て回る「グランド カーヴ」

ワイン・洋酒のフロアでは、友達や知人のお宅へ伺う時、「こういう(食事の)メニューで、このくらいの予算で」と相談して、見合ったワインを提案してもらっています。いつもしっくりくるワインを提案してくださるので、自分であれこれ選んだことはほぼないですし、とても信用しています。
カウンターの奥にあるヴィンテージセラーは気になっていたのですが、これまで一度も入ったことがなくて、今日取材させていただけると聞いて、楽しみにしていました。

  • 地下のヴィンテージセラーにて

    「グランド カーヴ」奥の階段をくだり、地下のヴィンテージセラーに初めて足を踏み入れた吉本さん。最適な温度と湿度、照明の当たり具合まで完璧に調整されている。
  • スタッフから熱心に話を聞いているご様子

    大のワイン好きということもあり、スタッフから熱心に話を聞いているご様子。

奥まった場所だけに、高価格のボトルのみを置く敷居の高い場所だとばかり思っていましたが、3,000円くらいのボトルもあるんですね。ここは、価格ではなく保存状態を管理している場所だということがわかり、勉強になりました。恐れず行くべきですね(笑)。

吉本ばななさん

今日の取材中に思い出したんですが、いつも買物の途中で<プレミアム マリオ ジェラテリア>のフルーツジュースを飲んでいるんですよね。夏はジェラートも挟んだり。
伊勢丹新宿店は、一つのフロアでギフトやお惣菜・デザートや調味料、お酒まで、欲しいものがすべて調達できるので、その間に休憩を入れる意味で。私はお買物をするうえで、素材・味・価格が適正であるものしか買わないと決めているのですが、伊勢丹新宿店で扱っている商品の並びは華やかですし、当然ながらおいしいものに詳しいことが一目瞭然。素材・味・価格のバランスを知っているラインナップなので、ついつい予定していなかったものまで買ってしまうんです。今日もフロアを回ってみて、買いたいものがそれはたくさんありましたよ。これからもう一度同じルートを辿って買物してきますね。

\おすすめフロアの歩き方/

おすすめの歩き方マップ

撮影 和田 裕也
取材・文 藤井 存希