インタビュー 尾崎 雄飛さん|更新され、より深まっていく靴の魅力「Meets your J.M. WESTON 2025」
春の恒例、伊勢丹新宿店の人気イベント<J.M. WESTON/ジェイエムウエストン>のポップアップストアが今年もやってくる!
本記事ではイベントの開催に伴い、いま<ジェイエムウエストン>が気になっているという3人のファッション賢者に取材を実施。
2人目は豊富な<ジェイエムウエストン>コレクションを持つ、デザイナーの尾崎雄飛さん。それは靴そして装いに対する探求の軌跡といえるでしょう。未だ靴への情熱が冷めやらない尾崎さんに、今回登場するモデルと、<ジェイエムウエストン>とご自身の装いについて、お話を伺いました。
セレクトショップでバイヤーとして勤務後、高品質カットソーブランド<フィルメランジェ>を立ち上げる。その後独立し、自身のブランド<SUN/kakke(サンカッケー)>を設立。ウェルメイドでウィットが効いた服づくりで定評があります。昨年には尾州の織物工場を買収し、「ウィーバー・サンカッケー」として事業承継。日本の産地支援にも取り組んでいます。
Instagram:@yuhiozaki0411
「ロシアンカーフ」は、馴染みある存在
<ジェイエムウエストン>をはじめ、既製靴からビスポークシューズに至るまで、豊富なシューズコレクションを持つことで知られる尾崎雄飛さん。
「先日自分が持っている革靴を俯瞰して見る機会があって、その時はもう十分とも感じていたのですが、実はその後も相変わらず買っていますね。」
苦笑しながら、尾崎さんはそんな風に話します。取材当日は、2022年の伊勢丹新宿店でのポップアップにて入手した、コニャックカラーのコードバンを使った「#180 シグニチャーローファー」を履いていました。
「このコードバンの『#180 シグニチャーローファー』は、履き心地よく感じます。アッパーの質感がムニュっとしていて、シワの入り方も大きく緩やかです。通常のカーフの『シグニチャーローファー』に硬さを感じる方も、また違った印象を持たれるんじゃないでしょうか。」
さらに今年のポップアップで展開予定の、タンブラウンのコードバンにも、関心を持っている様子。ただ、伊勢丹新宿店の紳士靴担当の鏡バイヤーは、今回注目はコードバンだけではありません、と言います。

*今回のポップアップで展開予定のコードバン(左から)「#180 シグニチャーローファー」「#641 ゴルフ」(ブラック/バーガンディ)
*本会期では、タンブラウンを含む新色2色が登場予定。計4色展開でご紹介予定。
「<ジェイエムウエストン>での品名『ロシアンフィニッシュカーフ』を復刻して、展開します。実はこのロシアンフィニッシュカーフ、昨年の『ウエストン・ヴィンテージ』などでも、お客さまのお問い合わせがとても多かった革なんです。
ロシアンフィニッシュカーフは油分を多く含んだ革で、『#677ハントダービー』や『#641 ゴルフ』、『#690 ヨット』など、アウトドア感があるモデルで使われていたのですが、近年『ゴルフ』や『ヨット』では使われなくなっていました。そこで<ジェイエムウエストン>本社に直接掛け合って、当初は難色を示されたのですが、実はシャンゼリゼ店にも同様の問い合わせが多いことがわかり、復刻することになったんです。」

*今回のポップアップで展開予定のロシアンフィニッシュカーフ(左から)「#641 ゴルフ」「#180 シグニチャーローファー」「#690 ヨット」(タンブラウン/ブラック)
「今回のポップアップでは、ブラックとタンブラウンのロシアンフィニッシュカーフを使った『#690 ヨット』と『#641 ゴルフ』、そして『#180 シグニチャーローファー』を販売します。ロシアンフィニッシュカーフを使った『シグニチャーローファー』は、初の展開です。」
こうした鏡バイヤーの説明を、冷静な様子で聞いていた尾崎さん。
「僕は20数年前に『ヨット』を両色入手しているので、それらはロシアンカーフなんです。なのでどちらかというと普段から馴染みのある素材で、復刻の価値をいまひとつ実感できていないかもしれません」
さらに、例えば「ゴルフ」に関しては、現行のボックスカーフの感じが気に入っている、と尾崎さん。ただ、次のようにも付け加えます。
「ロシアンフィニッシュカーフの『シグニチャーローファー』は魅力的ですね。これまでになかったものということで、興味があります」
そして今回のポップアップで選びたいものとして、タンブラウンのロシアンフィニッシュカーフを使った「シグニチャーローファー」を尾崎さんは挙げました。
「タンブラウン」で着こなしに上品さを
今回、ロシアンカーフもコードバンも、タンブラウンというカラーに食指が動いた尾崎さん。<ジェイエムウエストン>の靴の中でも特に好きな色で、現状でもいくつか持っているそうです。
「3番目に購入した『ヨット』、そして『ハントダービー』や『#705 サイドゴアブーツ』などがタンブラウンです。なんか独特な色ですよね。いわゆるブラウン系の革の中でも、品のよさが出やすいと思います。デニムに合わせてもいい感じだし、カーキやオリーブグリーンなどミリタリーカラーとも相性がいいと思います。ミリタリー系のパンツに、ワークブーツではなくて<ジェイエムウエストン>を合わせるのが、僕の中のカジュアル感というか、誰かと会うときはそんなバランスがいいのではと思っています。」
このように語る尾崎さんに、最近<ジェイエムウエストン>の靴をどのように着こなしているかを伺いました。
「実は最近、スーツやジャケットをよく着ています。年齢的なこともありますし、自分のデザイナーとしての仕事でスーツなどのテーラードウエアを扱うことが多くなっていて、今更ながら勉強中というか、自分が着用した体験をもとに服づくりをしようと心がけています。そして、そうしたテーラードウエアに<ジェイエムウエストン>の靴を合わせる際、僕の場合は間にどうしてもヴィンテージの服を入れたくなります。シャツでも、ニットでもいいですが、ジャケットとの着こなしの場合は、ヴィンテージのカジュアルなパンツを選ぶことが多いです。例えば今日履いているような5ポケットのものだったり、ミリタリーのグルカパンツだったり。そういう合わせが、僕としてはなんか落ち着きます。」
この日の尾崎さんの装いは華やかなタイドアップスタイルですが、どこかリラックスした雰囲気です。さらにカジュアルなシーンでの装いだと、逆のバランスになるといいます。
「上にカジュアルなものを持ってくる一方で、ボトムはテーラードなスラックスに<ジェイエムウエストン>を合わせる感じです。そこで、今回のタンブラウンの『ヨット』を軸に、コーディネイトを考えてみました。上はヴィンテージの<パタゴニア>のマウンテンパーカ、そこにこれもヴィンテージのアメリカテイストのチェックシャツを合わせて、パンツは<ベルベスト>でオーダーしたコットンパンツを選んでいます。ちょっと往年のヨットマン的なムードですね」
こんな風にスタイリングの説明をしながら、だいぶ古くなってきたから、買い換えるのもいいかもと、ロシアンフィニッシュカーフの『ヨット』を手にとっていた尾崎さん。<ジェイエムウエストン>のコレクションはまだまだ増えそうです。
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- 開催期間:4月30日(水)~5月13日(火)
- 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館1階 ザ・ステージ
ジャズライブ
■開催日時:5月10日(土) 午後2時/3時/4時 *各回約20分間の演奏を予定しております。
■開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館1階 ザ・ステージ
Photograph:Tatsuya Ozawa(Studio Mug)
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