愛と幸せを運ぶ手作りガラス<幸愛硝子>の世界

愛と幸せを運ぶ手作りガラス<幸愛硝子>の世界のメインビジュアル

小樽の海を見渡す、高台にある木々に囲まれたアトリエは、まるで絵本の中から飛び出てきたかのよう。ここは「幸愛硝子 (ゆきえがらす)」。女性ガラス作家の木村 幸愛さんが生み出す、宙吹きガラス作品を制作しているアトリエです。四季折々の空気・色彩・日常をインスピレーションにし、香りを調合するかのように繊細に、かと思えば大胆に、色合わせを楽しんで作られたガラスの表情と個性はとても可憐で、美しい輝きを放ちます。そんな木村 幸愛さんの、ガラスとの出会いや作品に込めた思いとこだわり、日常の彩りを小樽のアトリエよりお届けいたします。

  • 小樽の海の画像

    アトリエから見える小樽の海
  • 高台にある木々に囲まれたアトリエの画像

    高台にある木々に囲まれたアトリエ

ようこそ!幸愛硝子の世界へ!

北海道小樽の海が一望できる高台のアトリエより
私、木村 幸愛がガラスを作り、夫が写真やアトリエのDIY・作品制作補助などを担当し、看板犬のサモエド犬「ざらめ」(♂8歳)は気まぐれで接客をしております。看板を掲げてから、今年で約15年が経ちました。「アトリエ全体も作品」というような気持ちで、日々少しずつ手を加え続けています。何度も訪れてくださる方には、「来るたびに変わってるね」とか「未完成なのが楽しい」なんて言っていただくことがあります。そして私たちもその変化を楽しんでいます。

  • 「波をモチーフにした棚」と「森をモチーフにした棚」で小樽の自然をイメージする画像

    「波をモチーフにした棚」と「森をモチーフにした棚」で小樽の自然をイメージ
  • 自然の光がたっぷり入るアトリエの様子

    自然の光がたっぷり入るアトリエ

【幸愛さんと硝子】

1. 出会い

吹きガラスに出会ったのは17歳の頃でした。高校時代の恩師が地元(大阪)の工場に連れて行ってくれて、最初にそれを見た印象は「熱いしとても扱えそうにないので自分には絶対無理」というものでした。しかし、その後もずっとその「衝撃」を忘れられず、18歳でガラスの街「小樽」へ来ることになりました。
職人の世界は自分が想像していたよりずっと厳しいもので、当時はまだ携帯電話も持っていなかったので、公衆電話からテレフォンカードで母に電話越しに励ましてもらっていました。
「手に職をつけなさい」という母の言葉がずっと根底にありましたので、いつか自分の工房を持ちたいという夢を持つようになりました。そして小樽・大阪・横浜と土地を変えてガラスを続けながら、30歳の時に念願の工房を小樽に開設することができました。

  • 自身の作品を身に着けてチェックしている画像

    自身の作品を身に着けてチェック

2. 作品について

作品は大きく分けて、グラスウェアとアクセサリーの2種類があります。作品にはたくさんの色を混ぜますが、例えば暖色系は素直だけど、寒色系はじゃじゃ馬のように暴れるなど、色によって性格が異なります。それらの色々を一つの作品のなかでうまく折り合いをつけて共存させるのが特徴です。色のチョイスや偶然も合わせた、色をたくさん重ねることによる「化学反応」は無限の組み合わせがあり、さらに自分でも同じものがないようにと意識して作っているので、手に取ってくださる方にはそれらの個性を楽しんでいただきたいと思っています。
芸術性を強く押し出したようなものよりも、身近なものを作りたいという想いは一貫して持っています。自分の興味があるもの、自分が好きで使いたいものを作っています。

  • グラスウェアの画像

    ビタミンカラーのグラスウェアで心も明るく
  • アクセサリーの画像

    洞窟の中で見つけた、神秘的な泉をイメージした碧色

【幸愛さんのこだわり】

1. 制作へのこだわり

制作のこだわりは?という質問には、「好きなものに囲まれて作りたい」と答えています。
自分が楽しく作ったものでなければいけないと思っているんです。工房には数千枚のレコードがあり、気分で聴きながら作ったりもします。ディスコミュージックが好きで、そんな曲をモチーフに作品を作ることもあります。また一歩外に出れば、日々刻々と表情を変える海を見渡すことができます。100本以上の果樹の手入れをしたり、ちょっとつまんでみたり、そんな自然からの影響もあると思います。アトリエ全体のDIYや果樹園などはもっぱら夫がやってくれていますが、そんな風に好きなものに囲まれた環境を作っていくことには、こだわりを持っているのかもしれません。

  • 制作の様子

    好きなレコードを聴きながら制作

2. 幾重にも重なる、こだわりの色

好きな色がたくさんあり、ガラスに色をつける「色ガラス」もドイツやニュージーランド・チェコなどさまざまな国のいろいろなメーカーのものを集めています。まったく使わずに飾ってあるだけのものもあったりします。それらをただ眺めているのも好きなんです。ガラスの色は、色ガラスの状態の色と、透明のクリスタルと合わせた際の色は異なるので、作ってみなければ「どんな色」になるか分かりません。また相性が悪い色同士が隣にくると、割れてしまったりすることもあります。工房を開設してからのこの十数年間で、そんな色の相性や選別などはずいぶんと進みましたが、日々新しい組み合わせにもチャレンジしています。
ちなみに、アトリエの外壁には杉の板を3000枚貼ってあり、すべて自分たちで塗装をしました。同じ色がないように、少しだけ白を混ぜたり、配分を変えたりしながら塗りました。たくさんの色を使うガラス作品の特徴をファサードでも表現したいと思いました。

  • 幾重にも重なる色使いの画像

    幸愛さんならではの幾重にも重なる色使い
  • 色とりどりのカラーの画像

    色とりどりのカラーに魅せられて

3. 人との出会い

モノづくりの方には少なからず同じような気持ちがあるのではないかと思いますが、作ったものを売っているので買ってくださる方には、お客さまというよりは広い意味での「ファミリー」のような気持ちになります。要するに、認めていただけたような気がしてすごく嬉しいのです。ガラス工房を生業としていくには、何らかの形でその作品や活動なりを評価していただいて、お金に変えて、それをまた未来の糧に活動していく必要があります。
ですので、私たちの活動を支えてくださる方がアトリエにいらっしゃった際には、作品とともにそのひとときが楽しい思い出にもなってほしいなと、そんな気持ちでいます。

  • 人との出会い画像

    アトリエを開設してから、たくさんの笑顔に出会いました

【幸愛ファームでの日常】

アトリエにはブルーベリー・カシス・ブドウなどの果樹が100本以上植えてあります。また、ミント・タイム・マロウ・レモンバーム・ローリエ・セントジョンズワート・オレガノなどなど、ハーブも多数育てています。東京から移住し、小樽に工房を開設して一番最初にやりたいと思ったのは「畑」でした。移転前はほとんどスペースがなかったのですが、それでも野菜も作ったりしていました。今のアトリエに移転してからは、思い切り畑も果樹も育てることができるようになり主に作品を好いてくれている方に、リーフティーやコンポートの販売もする予定にしています。私たちにとって、畑は創作活動にピッタリと寄り添って互いに支え合う、不可分のものです。

  • お気に入りの庭で、くつろくざらめの画像

    お気に入りの庭で、くつろくざらめ
  • 収穫したブルーベリーの画像

    毎年の収穫が楽しみ!

現在のアトリエは大小さまざまな木々に囲まれていて、その様子から「小さな森のなか」と呼ぶようになりました。移転当初は室内にギャラリーを設けていましたが、近年は外の海が見えるデッキや、木々が風で揺れる音の聞こえるテラスなどにご案内して、そこにご覧になりたい作品をお持ちして選んでいただくというスタイルになっています。
私たちも多くの時間を外で過ごしているので、それはすごく自然な移行でした。たくさんの草木・太陽の様子・温度・虫・風・空・海の色・鳥・木々や葉が揺れる音、パッとみたアトリエの色・・・それはさながら、日々、季節の変化を敏感に感じ取るセンサーがたくさん備えられているような、そんな気がしてきます。

  • 海の見えるデッキで作品をお持ちして選んでいただく様子

    海の見えるデッキで
  • 並べられたアクセサリーの数々の画像

    並べられたアクセサリーの数々
  • 太陽の光を浴びながら商品画像

    自然光に彩られた作品

【彩り豊かなアトリエの四季】

アトリエの四季を看板犬の「ざらめ」(サモエド犬・8歳・♂)と共にご紹介します。
ざらめは道東で暮らす石川さん(かつてのムツゴロウ王国)からお譲りいただきました。その時に生まれた仔犬のなかから、「小樽の坂道にも負けない大きくなりそうな子を送ります」と、ここで暮らすことになりました。訪れる方々とほぼ毎回写真に収まっています。

  • アトリエの看板犬、ざらめ画像

    アトリエの看板犬、ざらめ

:アトリエにある蝦夷山桜・チューリップ・カタクリ・スイセン・クロッカスが咲きます。長い冬を超えた歓喜の歌声です。
:工房作業は暑く大変ですが、短い夏を楽しみます。アトリエへの来訪客も多い季節、また果樹の水やりなどもあり、一年でも特に忙しい季節です。

春夏秋の様子画像

:果樹の収穫、加工などの季節です。過ぎゆく夏とこれから迎える冬の準備に追われます。
:外は真っ白。雪かき以外に外でやることがないので、一年で最も創造的な時間を過ごします。新作が生まれたりするのも、たいていは冬です。作業前は凍てつく寒さの工房ですが、グローリーホールに点火すると、心地よい温度で制作に向いています。

冬の様子画像

幸愛さん、素敵なお話をありがとうございました。
北海道展では、幸愛さんが制作した美しい作品をオンラインストアで販売いたします。あなただけのお気に入りを探しに、ぜひ覗いてみてください。

「北海道展」

Part1:2025年1月8日(水)~1月13日(月・祝)[最終日午後6時終了]
Part2:2025年1月15日(水)~1月20日(月)[最終日午後6時終了]
□日本橋三越本店 本館7階 催物会場

※<幸愛硝子>の出展はございません。
※1月14日(火)は会場準備のため終日閉場いたします。
※諸般の事情により、営業日・営業時間、予定しておりましたイベントなどが変更・中止になる場合がございます。必ず事前にホームページを確認してからご来店ください。

木村 幸愛プロフィール画像
木村 幸愛/Yukie Kimura
ガラス作家
1978年大阪府生まれ。
「見ているだけで笑顔になれるようなガラス作品を作っていきたいです。」子どもが遊び方も知らないのにきらきらのビー玉に興味を奪われるような、お気に入りのおもちゃに囲まれているような幸せな感覚、大人になってもそんな感覚に浸れる時間が多ければ良いと思います。子どもがまくらもとに置くぬいぐるみのような、そんな存在になれたらいいなという気持ちです。
17歳で初めて触れた吹きガラス制作の「衝撃」が忘れられず、18歳で小樽へ修行に。その後、大阪や横浜など土地を替えガラス制作を続けながら、2010年9月に海を見渡すことのできる高台にある木々に囲まれたアトリエ「幸愛硝子 小さな森のなか」をオープン。今日も灼熱の真っ赤なガラスと格闘しています。